フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ #3

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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

【フォロウ・ザ・コールド・ヒート・シマーズ】#3

2015-09-05 22:45:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(あらすじ:ネオサイタマを離れ、荒野にフジサン麓をまわって戻ってくる3日間の大非合法自動車レース「ハシリ・モノ」。武装霊柩車ネズミハヤイDIIIのオーナーにして運び屋デッドムーンは、ニンジャスレイヤーと共にこの危険なイヴェントに参加していた。)

2015-09-05 22:47:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(大金持ちのレースマスターが参加レーサーをカネで釣って危険行為を行わせる壮絶な殺し合いレースに彼らが参加したのは単に賞金目当てではないのか?では一体何が……?謎をはらんだまま、一日目の短距離コースはネズミハヤイ、ホット・チックのホット19、前回優勝サンライザーが同着一位となった)

2015-09-05 22:50:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ホー、ホー……バイオフクロウたちの鳴き声が夜空に木霊する。ゴーストタウンの中央部に建てられたオオサカ城レプリカ廃ホテルは白くペンキを塗り直され、幾つもの垂れ幕やノボリやボンボリ・ライトアップで飾られて、サツバツたる街並みにそぐわない命の温かみを感じさせた。ここが初日宿泊施設だ。1

2015-09-05 22:58:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

フェー……城内では笙リード音がみやびやかに鳴り響き、大ホールにおいては豪勢なビュッフェ形式ディナー。スモトリが相撲を取り、オコトが演奏され、裸の男女にスシやサシミが盛られている。「なんとも素晴らしい大宴会の場だ!」ヘリで現地入りしたビッグユージが歩きながらカメラを振り返る。2

2015-09-05 23:03:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「命がけで今日を生き延びた珠玉のレーサーたちの疲れを癒し、生きる喜びと馬のニンジン……シツレイ!ハッハッハ!とにかく大きなホスピタリティで翌日の活力にしていただく!それが我々レース運営の務めです!」通りがかったマイコのもつ盆からサケ・グラスを取って呷り、「皆さん楽しんでいる!」3

2015-09-05 23:07:15
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ビッグユージはスシを頬張るリーゼントの男の卓に近づいた。「ドーモ、レイコ・カミ=サン。ビッグユージです。5位入賞ですな!」「ファック・オフ!俺は3位みたいなものだ」「まあ先頭が同着でしたからね!」「まとめて一台だ、あれは」「とにかくすごい自信だ!明日の意気込みを」「ファック!」4

2015-09-05 23:10:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

切断前のカリフォルニア・ロールにかぶりつくレイコに会釈し、ビッグユージはヘルトリイ999の卓に向かう。卓上には自前とおぼしきろうそくが立てられ、血塗られたバイオイノシシの生首が中央に飾られている。「さすがDIYだ!」ビッグユージは笑いかけた。「ヴォイド……」首領がチャントする。5

2015-09-05 23:15:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「貴方がたはかなり殺しましたね?リタイアしたアーミーセヴンを除けば、一位ですよ!」「ヴォイド……」首領は白塗りの顔を虚ろに天上に向け、呟いた。「ヴォイド……」「明日の意気込みは!」「……ヴォイド」「アリガトゴザイマス!さあ次の卓にいこう。アストロ・スターモンキーだ!」 6

2015-09-05 23:18:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「俺達はクオリティ・オブ・ライフ向上の為にここに来た」アストロはローストビーフを山盛りにした自皿に顔をつっこむようにして貪り食いながら言う。「命あっての物種」スターモンキーが歯をフロスでせせりながら言った。「優勝を狙う奴など、自尊心に囚われたバカよ」「流石だ、俺にそれを仰る!」7

2015-09-05 23:24:40
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ビッグユージは笑い、カメラを向いた。「こちら、アストロ・スターモンキーは第一回から継続出場の猛者なんだ、これでもね!枯山水も山、とミヤモト・マサシも言った事だ」「俺達を殺したところで、ヒック、カネにはならんぞ」アストロはサケをおかわりした。「だいぶ出来上がっていらっしゃる」 8

2015-09-05 23:27:27
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ビッグユージはスパイキーパイソンの面々とディープキスをするシスターオブマーシーを横目で見ながら、階段を上がる。カメラに向かって芝居がかった「静かに」のジェスチャーをし、廊下をしめやかに歩き進むと、「風流」のノレンをくぐった。特別に用意された勝者のサービス・ルームである。 9

2015-09-05 23:33:46
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ご覧ください。ここは勝者だけが入場を許される特別室……失礼しますよ!ああ、この馨しいゼン・インセンスの香り。タタミはわざわざこの日の為に運び込まれています。なにしろ廃墟です。そして露天風呂が、ほら、ベランダの向こうに。この天国を使えるのは一位入賞者!今年は三組いるわけだが」10

2015-09-05 23:38:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

金のビヨンボで仕切られたスペースをしめやかに歩きながら、ビッグユージは人の気配を探る。「よろしいかな?コメントを……」「ウーン。なんだい。ユージか」しゃがれた声が返って来た。サンダリイ・ライラだ。「ご苦労なこった」「入らせないでよ」ホット・チックだ。「かまやしない」とライラ。11

2015-09-05 23:41:55
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ビッグユージが覗き込むと、ベッドの上に並んでうつ伏せになったライラとホット・チックは、老いた鍼灸師に針を打たれている最中だ。「ウーン……たまらない」「オプション料金もかからない」ビッグユージはカメラに囁いた。「勝者ですからね」「勝者?ブッチギってない」ホット・チックが呟いた。12

2015-09-05 23:45:17
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「立派なものですよ!」ビッグユージは頷いた。「貴方、15歳で華々しくデビューして以来やってきたモデル業界を捨ててレーシングの世界に大転換?どうしてか、皆さん知りたがってますよ」「チッ」ホット・チックは舌打ちしてユージを見た。「ママの話はしたくない」「黙りな、ユージ」とライラ。13

2015-09-05 23:52:38
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「色々あるようだ!プライバシーに立ち入るには、少し放送の尺が足りないね!」ビッグユージはカメラに向かっておどけると、ビヨンボ・パーティションを移動した。「さあ、こちらにはネズミハヤイDIIIのデッドムーン=サンが……?」ビッグユージはエントリーした。 14

2015-09-05 23:56:11
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おおっと!」ユージは驚いて飛び下がった。床でアグラ・メディテーションをする男にぶつかりかけたのだ。男は目を閉じ、深い呼吸を繰り返す。「スゥーッ……ハアーッ……」「イチロー・モリタ=サンはザゼンだ!ナビに集中力は欠かせない!そして、さあ寝台をご覧ください。ワオ!」15

2015-09-05 23:59:32
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

デッドムーンは寝台にうつ伏せになり、オイラン・マッサージャーによる念入りなマッサージングとサイバネ技師による腕部メンテナンスを同時に受けている。たくましい背中のデッドムーン・オン・ザ・レッドスカイの刺青が汗で光る。「ヨオ……司会のアンタ」デッドムーンは呟いた。「大変だな」16

2015-09-06 00:02:36
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「ハッハッハ!なあに、これで食っていますからね!大興行でね!」ビッグユージはにこやかに言い、横目で床のイチロー・モリタを気にする。オイランは豊満なバストを背中にあてながらマッサージをつづけ、サイバネ技師は額に汗でファンクション調整の仕上げにかかる。「レースへの意気込みを是非」17

2015-09-06 00:08:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「カネが要る」デッドムーンは言った。「いつも貧乏でね……」「成る程、真っ当な理由だ。是非一攫千金してほしい。同着となった2チームについての印象はいかがですか?」「さあね。とにかく必死さ」「フーム……奥ゆかしい?」「カメラを一回止めてくれるか」ふいにデッドムーンは言った。 18

2015-09-06 00:14:48
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「おおっと?何か私がシツレイをしたのだとしたら……」「いや、平気さ」デッドムーンは穏やかに言った。「カメラを一度止めてくれ」「一体……」その時、ザゼンしていたイチローが呼吸を止め、カッと目を見開き、ビッグユージを見た。「アイエッ!」ビッグユージは後ずさりし、失禁しかかった。19

2015-09-06 00:17:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

イチローはビッグユージに無言の目配せで、従うように促した。キュウウウン……デッドムーンのサイバネ腕が音を立てた。「終わったか」「ハイ」サイバネ技師がオジギをした。デッドムーンは不意に身を起こした。「アイエッ!」豊満なバストを押し付けていたオイランが転びかかった。20

2015-09-06 00:19:54
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ハイヨロコンデー!」ビッグユージは額の汗を拭い、カメラマンに映像と音声を止めさせた。技師はオジギを再度して足早に退出。オイランはデッドムーンの肩を揉み始める。「別に聞かれたって構いやしないが、不特定多数に中継する内容でもないんでな」デッドムーンは言った。「訊きたい事がある」21

2015-09-06 00:24:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「と、仰いますと」「武装霊柩車乗りに、ゲバタ・テルコって婆さんがいてな……」デッドムーンは切り出した。「知ってるかい……」「ゲバタ」ビッグユージの額に汗が流れる。「テルコ」「そうだ」その場を沈黙が支配する。幾つかビヨンボ仕切りを越えたホット・チック達も耳をそばだてているか。22

2015-09-06 00:32:17
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コメント

オスツ🍣 @alohakun 2015年9月17日
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