７歳上の従兄に恋する浦風ちゃんの話＆その浦風ちゃんに同級生として振られたい話＋その妹浜風ちゃんに言い寄られる話

ゑのがみ @ybtelec

「そんじゃ意味なくなるじゃろ」「大丈夫、のはずです」「根拠は」「……女の、勘？」と真面目な顔で答えた妹浜風に爆笑する浦風ね……「あっははは！　なあに言うとるんじゃ自分！」ってお腹抱えてひいひい言う浦風……「それじゃあ信じるしかないね。うん」って目尻の涙を拭う浦風……

ゑのがみ @ybtelec

「少なくとも卒業まではこれまで通りでいいかと」「思たより長いんじゃな」「そこをタイムリミットにするので」と、勝手に決めちゃう妹浜風ね。でも同時に確信もしてるんだよな、彼はそのときまでに何かしらの結論を語ってくれるだろうと信頼してるんだよな。だから普段通りの二人に戻って欲しいんだよ

ゑのがみ @ybtelec

妹浜風は別に二人の仲を割きたいわけでもないんだね……初めて彼を家に連れてきたときのような心地良い空間を失いたくはなかったんだよね……そりゃ高校も卒業すれば必然的に崩壊はしちゃうんだけど、一緒に遊びながら彼がくれた安心感を、姉と同時に失うことにも耐えれなかったんだと思う……

ゑのがみ @ybtelec

結果的に状況をかき回して、どころか自分自身も傷ついてしまうことになってはしまったけれど、でも何もしなければ想い人はかつての姉の姿に囚われたまま自分に振り向きもしてくれなかったし、誰もが少なからず傷ついて悲しんだけれど、これからを考えれば悪くない出来事だったのかも、と思えるのかな…

ゑのがみ @ybtelec

「あの子、傷ついてた？」と確認するように尋ねられたから、黙ったままこくりと頷く妹浜風ちゃんね。「やつあたりとかされんかったよね？」と心配されて、まさかその傷心に付け入ろうとしてたことなんて言えるわけもなくて、目を逸らしながら「大丈夫」とぼそり呟く妹浜風ね。秘密にしちゃったね。

ゑのがみ @ybtelec

あのことは墓場まで持っていこうと強く誓い、そういえばお兄さん、ブラも外そうとしなかったですねと途端冷静に思い返すから妹浜風ちゃんは可愛い……どう転んでもリードするのは自分になるんじゃないかと考えて「あの、浦風。腑抜けにしていいとは言ってませんからね」「はえ？　何が？」みたいな姉妹

ゑのがみ @ybtelec

そうこうしていると湯沸し器の音が鳴って「久しぶりに、一緒に入ろうか」「嫌ですよ狭いですし」「ええからええから。うちも頑張ったんじゃから、わがままに付き合うてよ」と今日の出来事をほとんど知らない浦風が満面の笑みで妹浜風をぐいぐい引っ張るんだね…浜風はとんでもなく頑張ったんだけどね

ゑのがみ @ybtelec

で断りきれず脱衣所に引きずられ、一緒に湯船に浸かって一呼吸置いてから「……よかった。ほんまに痛いことされてなかったんじゃね」といきなり抱きついてくる浦風……うう……突然目合わせてくれなくて不安で仕方なかったんだ……もしかしたら彼を変に庇ってるんじゃないかって疑っちゃったんだ……

ゑのがみ @ybtelec

まあ純粋な意味では微妙に違うんだけど、目立った外傷もないしでどっと安堵の息が漏れちゃって、それにつられて涙も出てきちゃったんだね……お風呂場に泣き声がわんわんと反響しちゃうんだ……「大丈夫って言ったじゃないですか」「でもぉ……服着てたらわからんじゃろ……」な姉妹素敵……

ゑのがみ @ybtelec

「ごめんねぇ……うちが後先考えんから浜風苦しめたんじゃあ……」ってもはや加害妄想の域まで達した懺悔を始めて狼狽える妹浜風な……「いえ、その、私も生き急ぎすぎましたから、浦風が悪いわけじゃ」「ごめ゛ん゛ん゛……ずずっ……ごめ゛ん゛浜゛風゛ぇ……」って号泣する浦風ちゃん天使だと思う

ゑのがみ @ybtelec

あまりに純心で優しい姉の気持ちに胸がちくちく痛んじゃって「お願いですから謝らないでください……」とお願いする妹浜風……でも浦風は聞く耳を持たず、気が済むまで謝り続けるんだ……そうやって謝罪をやめられない姉の姿を見ていて、ふと、彼のことを好きになった理由を感じてしまう妹浜風な……

ゑのがみ @ybtelec

そこでようやく、そういえば私、お兄さんに謝りましたっけ、と気づく妹浜風ちゃんな……きっかけこそ彼だけど卑怯な手に出たのは自分なわけで、後悔の念にとらわれちゃう妹浜風な。か細い声で「……ごめんなさい」って呟くけど、「浜風は何も悪くないよぉ～……」と見当違いな姉の抱擁しか返ってこない

ゑのがみ @ybtelec

そうしてお風呂から上がって髪も濡れたままにスマホを手に取り、ただ一方的に「今日はごめんなさい」って送る妹浜風な……「これ以上今日の話はしない約束で」と身勝手なメッセージをぶつける妹浜風な……そしたらただ一言「わかった」って淡白な返信が来て、そこで会話が終わる感じな……好き……

ゑのがみ @ybtelec

で、翌日。浜風に言われた通り、これまで通りを心がけて同級生くんに声をかける浦風ちゃん……ちょっと緊張してるのが隠せてるのか不安でそわそわしてる浦風ちゃん……そしたらいつもみたく朗らかな声が返ってきて、またこみあげてきた涙をなんとか耐える浦風ちゃん……

ゑのがみ @ybtelec

「あのね」って、隣の席につきながら。気まずかった昨日のお詫びもこめて、すうと深く息を吸って。泣いたら勝手に同級生くんが悪者になってしまうのは目に見えてるから、一回下唇を噛み締めて。そうして頭を上げて、意を決して口を開く浦風ちゃん……「一昨日は、ほんまにごめ」「ストップ」

ゑのがみ @ybtelec

せっかくの覚悟もむなしく彼に言葉を制されて、きょとんとする浦風ちゃん可愛いよね……「謝るのは、なしにして」と先制を奪われちゃってさ……「そんな、うちの気が済まへんよ」「俺もだから」って言われてな……「傷ついたし、立ち直れないとも思った」と正直に言われて「じゃあ」って立ち上がる浦風

ゑのがみ @ybtelec

がたりと響く椅子の音で教室が静まり返って、少し落ち着きを取り戻す浦風ちゃんな……「でも、本当は俺からお礼を言わなきゃいけないし、ここで土下座しても足りないくらい謝らないといけない」「そんなことない」「ある」と頑なな同級生くんを打ち崩せない浦風ちゃん……戸惑う浦風ちゃん可愛い……

ゑのがみ @ybtelec

彼はもう謝られることなんて目に見えてたし、昨晩浜風がわざわざ謝罪のLINE入れてきたときにこうしようって決心したとかさ……「浦風は間違ったことは言ってない」って、「でも傷つくって分かってて言ったんだろ？」って尋ねるんだ……浦風はいたたまれなさそうに俯いて、頷くんだ……

ゑのがみ @ybtelec

「ならそれを言わせた俺も悪いから」って真正面切って言えるようになってるんだ……浦風ちゃんの機嫌を伺いながら、彼女の笑顔ばかりを求めていた同級生くんはようやく別の選択肢が見えるようになっているんだ……「だから、どちらも謝るの、なしにしよう」って言い切るんだ……

ゑのがみ @ybtelec

お互いにできてしまった生傷を、絆創膏で塞ぐことを彼は拒んでさあ……それを浦風にもお願いしてさ……将来痣になるかもしれないそれを、でもそのままにしておこうって彼は思ったんだろうなぁ……時間が経つのに任せて、かさぶたになるのを待ってしまおうと思ったんだろうなぁ……

ゑのがみ @ybtelec

だって今から謝り合いでもしたら、浦風の生暖かい優しさに包まれてほだされて、その傷が跡形残らず癒えてしまいそうだったからって……これまで勝手に惚れて傷ついた部分なんてどうでもよくて、彼女に直接深く深く刻まれたその傷だけは、そう簡単になかったことにしてはいけないって感じたのかなあ

ゑのがみ @ybtelec

そんな説明もなしにただ謝るなと言われて浦風はもちろん不服なんだけれど、でも真剣な目で語る同級生くんのその表情は告白のとき以来で、ああ、浜風の言ってたことは信じても良さそうだなと感じて、「……わかった。謝らん。そう言われたなら、意地でも謝らんことにする」と折れるんだよね……

ゑのがみ @ybtelec

その返答を咀嚼するようにゆっくりと聞き入れて、ため息ついてぐったりする同級生くんを見て笑う浦風ちゃん可愛いなぁ……「なんね。そんなでだれたら男が廃るで」とからかうから可愛い……理由聞かれたら上手く伝えられる自信なかったって吐露した彼に、浦風ちゃんは笑ってこう言うんだろうなぁ……

ゑのがみ @ybtelec

「別に聞く必要もないって。女の勘がそう告げとるからねっ」