『博士と弟子』第８集

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『パーフェクト・ストレンジャー薬』！これで少女は別れた相手と完全に縁を切ることが出来る！」「博士……？そういうことって、簡単に割りきっていいものなのだろうか……私にはわからないよ……」パリン！「この薬は廃棄する」「はかせ！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『チェンジリング薬』！これで少女は全く新しい少女になることが出来る！」「博士、確かに自分を否定したいときは、私にもあるよ？けれど、そこで本当にすべてを否定してしまったら、悲しいじゃないか……」パリン！「この薬は廃棄する」「はかせ！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成だ！『ジャズ・シンガー薬』！これで少女はトーキー、おしゃべりになるのだ！」「博士。耳を澄ませてご覧？ほら、物静かな少女が、何かを語っているね……？」パリン！「この薬は廃棄する」「はい、博士」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『良い子は真似しないでね薬』！これで少女は良い子には真似できないことができちゃうのだ！」「博士……」「え、ちょ、まっ、う、うわあああああ！」 （現在、良い子には見せられない映像が流れているよっ☆） 「この薬は廃棄する」「はい、博士！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『ひとりでできるもん薬』！これで少女は何でもひとりで出来る！」「博士。確かに、少女にはひとりでも生きられる強さを身に付けてほしい。けれど、誰かの助けを求めることもときには必要だということを―」パリン！「この薬は廃棄する」「はい、博士」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『ハンガー薬』！少女よ！君の心をきちんとハンガーに掛け、シワを防ぐのだ！」「大きなお世話だよ！博士、たまに人の心はシオシオのパーになっちゃうけれど、それで心のバランスを取っているのかもしれないよ」パリン！「この薬は廃棄する」「はかせ！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『ダプネ薬』！これで少女は誰にも汚されることはない！」「博士！確かに人は生きていくうちに、汚れていく。けれど、それでも、生きることのなかには美があると、私は信じたい」パリン！「この薬は廃棄する」「はかせ！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『child's pray薬』！さぁ少女よ、子供の頃に戻って、懐かしい野原を駆けずり回ろう……」「博士！少女は必死に大人になろとしているのに、それを邪魔しちゃダメだよ！」パリン！「この薬は廃棄する」「はかせ！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『クラシック薬』！これで少女は古典の世界に生きることが出来る……！」「生きているうちから古典扱いですか、博士。特別扱いされる少女はさぞかし『楽しい』でしょうね」パリン！「この薬は廃棄する」「はい、博士」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『ライター薬』！これで少女は恋の種火を作り出すことが出来る！」「博士！小さい火を侮らないで！それはともするとどこまでも大きくなって少女自身を焼いてしまうかもしれないんだ！危険だよ！」パリン！「この薬は廃棄する」「はかせ！」

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#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『エコー薬』！これで少女は大切な言葉をいつまでも胸に抱くことが出来るのだ！」「ははははは！わかっていないね、博士！少女はいつでも、たった今生まれる愛の言葉を求めているのさ！」パリンリンリンンンンンン……「この薬は廃棄する」「はい、博士」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「よし、完成だ！『サンタへの手紙』！これで少女はサンタ・クロースへ思いのたけをぶつけることが出来る！」「博士、なんだよ、そのファンタジーは……」「なにか彼に書き送るか？」「いい。いつか私がサンタ・クロースになって、それを彼らへの恩返しにするから」「そうか」

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#twnovel 「よし、完成したぞ！『テンプレート・トースト』！これを口にくわえて走ると、曲がり角で運命の相手とぶつかることが出来る！」「博士、私が試してきます！」　（数十分後）　「博士！」「どうだった」「はい、この可愛い猫さんとぶつかりました！」「返してこい」「はい……」

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#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『王子様薬』！これで少女は男装の麗人になれるのだ！」「やめたまえ！博士！」「お、お前は！」「それでは少女が王子様に迎えに来てもらえなくなってしまうではないか！」パリン！「この薬は廃棄する」「ははは！博士、敗れたり！」「いい加減にしろ」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『ミュージック・プレイヤー薬』！これで少女は聞いた音を聞いたように再生できる！」「ばかだなぁ、博士。少女は、その口から、新鮮な果実のようなさわやかな、生きている歌を歌うことが出来るというのに」パリン！「この薬は廃棄する」「はい、博士」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『お手玉薬』！これで少女は男なんてポイ・ポイ・ポーイだ！」「博士。恋に不器用な女の子の一生懸命さには萌えませんか？」パリン！「この薬は廃棄する」「はい、博士」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 男が部屋に入ると、そこは雪の国だった。「あ、博士。おかえりなさい」「これは、一体……」「ホワイト・クリスマスを演出する薬を作ろうとしたのですが……」「失敗して、この大量の雪か」「すみません」「まあ、いい。……これで雪だるまを作ろう」「博士」「返事は？」「はい！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「よぉし、完成だ！『黄金比率雪だるま』！そう、ここに世界一美しい雪だるまが完成したのだ……！」「博士。それって本当ですか」「ああ、『俺の感覚がそんなに狂うわけがない』」「『はぁ？なにそれ、ありえないんですけどっ』」「似てる」「言い過ぎました」「いや、いいんだ」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「博士、これは？」「意思を具現化する薬。クリスマス・プレゼントだ」「どうして、こんなもの」「さぁね」「……せっかくですが、いただけません。こういうことで、あなたに頼りたくないから」「ふん、上等」パリン！「この薬は廃棄する。さぁ、ケーキでも食べよう」「はい、博士」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 博士と大掃除をしていると、古ぼけたホウキを見つけた。「博士、これ、捨てていいですか」「いいよ」「随分古いですね」「うん、魔女のホウキをつくろうとしたんだけれど、それは失敗作」。私はそれを捨てることが出来なかった。冗談だろうと思うのだけれど、あきらめきれなくて。

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ハンプティ・ダンプティ。割れた卵の王様は、どんなにしても、元通りにはならなかった」。どうして、と彼はつぶやいた。思わず私は声をかけた。「博士、少し休みません？私、疲れちゃって」「そうか、もう、こんな時間か」「コーヒー入れますね」「頼む」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 博士が机の上に、小さい雪だるまを置いた。「博士、これは」「解けない雪だるま」「ほほう」「やるよ」「どうして」「クリスマス・プレゼントを上げそこねた」。妙なことに律儀な人だ。しかして、その雪だるまは冷蔵庫の片隅で眠っている。白い壁に、よく似合う。

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 「ははははは！完成したぞ！『ラスボス薬』！忘れるなよ浅薄な人間ども！これで少女は倒れても、第２第３の少女がお前たちの前に現れるのだ！」「やめてよ博士！少女に代わりがいるわけないじゃない！全ての少女が一度限りの奇跡なんだ！」パリン！「この薬は廃棄する」「博士！」

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel 雪見桜を見たいと思い、そのための薬を作っていた。けれど、途中で嫌になってしまった。それは自分勝手で、なんだか桜に悪いと思ったのだ。「博士ならどうするかなぁ」。窓の外は雪景色。春がだんだん近づいていた。

Shimada Yuichi @chimada

#twnovel ｢ははははは！完成したぞ！『クロノス薬』！これで少女は時を越える！｣｢ばかだなぁ、博士。好きな人と同じ時代に生まれて、同じ時間を生きることの素晴らしさを見逃していないかい？｣パリン！｢この薬は廃棄する｣｢はい、博士｣