偉丈夫、西へ〜『兄』との道行き〜

デセオに向けて旅立つユベール以下、ブールモン国民の道行きをイクスが護衛するRP
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ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 懐の広さと心の強さが、この好漢には感じられるのだ。そして、凝り固まった心を解きほぐすだけの真っ直ぐさがある。 初めて出会ったのは戦場であったが、酒場で悩みを聞いてもらったこともある。聞けば妹も、彼を頼ったことがあったとか。兄妹揃って頼りきりだ。⬇️

2015-09-08 14:48:55
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma この人のような人間になりたいと。そして、この人を超えたいと。年の離れた兄のような感覚で、ユベールと接していたように思う。 「でも結局、ユベールには負けたままだったなぁ」 ぽつりとそう呟き、笑う。

2015-09-08 14:56:06
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「辛くも、ってところだったろ」 笑って肩を竦める。あと一度斬り結んでいたならば、どうなっていたかわからない。横を歩く金髪の若者を見下ろした。しばらく会わぬ間に、一回り大きくなったように感じる。いろいろな事が落ち着いた――彼自身もそう言っていたが。↓

2015-09-12 06:56:51
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 自分のこと、家族のこと……自分には知れない本当に多くのことを、この短い間に乗り越えて、今この場に立っているのだろう。逆境にあってなお折れず、血と聖印のしがらみにも屈せず立ち上がり、背を伸ばして立つ、その強さ。↓

2015-09-12 06:57:16
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「お前の心の強さは、時々眩しいよ」 前方に視線を遣る。煉瓦の道が延びるその先に、広がる鮮緑の原。良く晴れた空。イクスの髪と同じ色をした陽光に、眼を細めた。

2015-09-12 06:57:29
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「私なんてまだまだだよ」 苦笑する。 強くなれたとすれば、勢力を超えて、多くの人々に出会えたから。心配をかけたににも関わらず、支えてくれた。 そんな人々に、受けた恩を返したい。護ってくれた人たちを、自分が護りたい。そんな思いが、今の少年を動かしている。⬇️

2015-09-13 21:59:14
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma この護衛も、そんな気持ちから出たことだ。政治的な思惑は確かにあるが、そんなことを度外視して、自分にできることがしたかった。恩返しと言うには、実に些末なことだと思うけれど。だから。 「だから、もっと強くなるよ」 いつか貴方と、堂々と並び立てられるくらいに。

2015-09-13 22:06:11
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「楽しみにしてるぜ」 目の端に微笑みを浮かべて、彼の肩を叩いた。若い彼には大きな伸び代がある。一廉の人物となるだろう。自分などよりも、ずっと大きな人間に。感嘆と喜悦と、そして僅かな羨望と。それらを込めた眼差しを、蒼穹の空へと投げかけた。↓

2015-09-15 12:51:49
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「新しい村には、いつでも来てくれよ」 お前ならいつだって歓迎だ。そう言って、破顔した。家屋の建設、土地の開墾、することは山積みだ。だがそれも、一年もすれば大体のところは落ち着くだろう。

2015-09-15 12:55:59
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「えぇ、もちろん。セイアも行きたがると思う。むしろあの子は、忙しい時分にこそ、手伝いに行きたがりそうだ」 笑う。 デセオは、連合にとって色々複雑な国ではあるが、視察という名目であれば、そうそう白眼視もされまい。なんとなれば、こっそりとお忍びで赴いたっていい。

2015-09-15 16:58:25
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「それは頼もしいな。セイアが来てくれたら、皆も喜ぶ」 くるくると表情が動く愛らしい彼女の姿を見れば、それだけで領民達は笑顔を浮かべることだろう。形になるどころか、まだその地に着いてもいないが、新たに村を築くことを想像し、心が躍った。↓

2015-09-15 23:45:21
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 互いの近況、家族の話、思い出話。他愛も無い話を続けながら、歩いた。日は傾き、烏の声が谺する。茜に染まった道の向こうに、関所の影が黒く浮かんだ。そこを越えれば、願望の国――デセオ。どちらからともなく、言葉少なになる。一歩一歩、ただ、歩いた。↓

2015-09-15 23:49:35
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 関所の前で足を止める。 「イクス」 振り返って、拳を突き出した。

2015-09-15 23:50:35
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 声に振り返り。すぐに意図を察した。顔が綻ぶ。 素晴らしい好敵手となってくれたこと。自分や妹を気にかけ、支えてくれたこと。兄弟のような関係になれたこと。多くの感謝と、今後のユベールの、ブールモンの人々の幸せを願い。 コツン。 己の拳を、彼の大きな拳に当てた。

2015-09-15 23:56:33
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「ありがとう」 ニッと笑った。少年じみた、いつもの笑みで。数奇な運命に翻弄された兄妹――親友達の未来に、幸あらんことを。拳を下ろして、片手を挙げる。 「またな」

2015-09-16 00:05:31
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「えぇ、また」 いつでも気軽に会える。身を置くのが条約だろうと連合だろうと、デセオだろうと。それに変わりはない。 友として、兄弟として。彼らの幸せを願おう。手伝いに赴き、時には腕試しを乞うたっていい。彼の伴侶となった少女も、喜んで加わってくることだろう。⬇️

2015-09-16 00:15:47
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 一人、また一人と、黄昏に染まる関所へと吸い込まれて行く。その様子を、最後の一人となるまで、少年は笑顔で見送り続けた。 「では、これより帰投する」 号令一下、踵を返す。良い土産話ができたと思いながら、歩み始める。妹の、家族の待つフォルモーレへと。 了

2015-09-16 00:23:34