偉丈夫、西へ〜『兄』との道行き〜

デセオに向けて旅立つユベール以下、ブールモン国民の道行きをイクスが護衛するRP
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ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma ユベール殿たちがデセオに着くまでの、護衛RP ある晴れた日。 街道に、レガリアより西進する一団の姿があった。率いるのは偉丈夫、ユベール・アンリオ。傍らには歴戦の勇士たち。その中には、伴侶たる少女の姿もある。彼らは一路、幻想詩連合勢力圏内を目指していた。⬇️

2015-08-31 22:35:17
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 二つの大戦が終結した今、西進の目的は武力侵攻では決してない。その証拠に、武装した兵士たちばかりでなく、戦う力を持たぬ民たちの姿も多く見受けられる。 アルトゥークが陥落、祖国を喪った彼らは、新天地を求めたのだ。その目指す先は、希望の国と謳われる地、デセオ。⬇️

2015-08-31 22:39:23
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 彼らの顔には期待と同時に、決して少なくない不安の色が窺える。それでも、その地に、その未来に希望があるものと信じ、助け合いながら一歩一歩、歩を進めていた。 そして彼らが、アルトゥーク条約勢力圏内を抜け、幻想詩連合の勢力圏内に入ろうとしていた折のこと。⬇️

2015-08-31 22:45:01
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 勢力を分かつ国境の砦に、彼と、彼の率いる一団がいた。金髪の少年。 彼は、ユベールに近付くと口を開く。 「お待ちしておりました。貴方がたを、途中まで護衛致します。……しばらくぶりだね、ユベール」 恭しく一礼。頭を上げた直後、口調を崩して、イクスは笑いかけた。

2015-08-31 22:53:27
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 ユベールは驚いたように瞠目した。 「イクス」 どうしてここに、と言い掛け、首を振る。”影”としての訓練を受けた彼にとり、この程度の情報を得るのは造作も無いことだろう。 「ああ……久しぶりだな」 代わりに、笑って友との再会を喜んだ。↓

2015-08-31 23:14:19
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「元気そうで何よりだ」 かの時間障害の魔境の中で会ったきりだ。もう随分と前のことのように懐かしい。 「護衛?ありがたいが……どうしてまた」

2015-08-31 23:18:45
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「理由は幾つか挙げられるけれど……」 即ち、亡命とはいえ、条約に所属していた国の人間が連合の領土内を通ることへの対策。あるいは逆に、未熟な連合の君主が先走るのを抑止すること。デセオという国の特殊性を、連合の古くからの貴族たちの多くが危険視していること。⬇️

2015-08-31 23:27:43
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「私がいれば安全だから、かな」 脳裏を過った諸々を凝集した結果として出た返事は、平生の彼らしからぬ、冗談のような文言で放たれた。もっとも、彼自身に、冗談を言っているという意識は皆無だったりするのだが。

2015-08-31 23:30:04
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「違いねえ」 彼の言葉に呵呵と笑った。武力行使の意思は無いとはいえ、他領を横切る道行き。元は敵対する勢力として前線で戦っていた身だ。襲撃を受ける危険は十分にあった。だが、連合の者、かつ猛将と謳われる彼が同行してくれるのならば。滅多なことは起こらぬだろうと頷く。↓

2015-09-01 16:22:14
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「実際のところ、うちの手勢だけじゃ心許無いと思ってた。助かる」 深い感謝の意を込めて、イクスの肩を一つ叩いた。 「それにしても、少し雰囲気変わったか?」 良い顔で笑うようになったな。先程彼が浮かべた笑顔を思い出し、笑いながら言う。

2015-09-01 16:38:59
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「帰国してから、色々な事が落ち着いたからね。それは、あるかもしれない」 公にフォルモーレの姓を、セイアの兄を名乗る事を許されたこと。彼が纏う外套は、いつものように質素なものだ。けれど、フォルモーレの家紋が縫い取られている。⬇️

2015-09-01 17:23:48
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 事が収束するまでの間、妹には膨大な心配をかけてしまった。右手に刻まれた、星を象る邪紋に触れる。 「続きは、歩きながらにしようか」 連れて来ていた兵たちに指示を出す。全員が配置に着いたのを確認してから、一団に歩調を合わせ、歩き出した。

2015-09-01 17:32:32
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@iks_gc2 ユベールも、傍らの臣下に目配せをする。弓を背負った邪紋使いは一つ頷き、イクスに一礼すると、部下と共に民達に出発を促した。 「セイアは元気か?」 イクスと並んで歩く。風にはためく外套の、そこに鮮やかに縫い取られた紋を目に捉え、目元に笑みを浮かべながら問うた。

2015-09-02 15:08:13
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「えぇ、お陰様で。大変そうだけど、がんばっているみたいだ」 近々、同年代の友人が納める隣国、エステリアに自分共々、視察に赴く予定がある。これまでずっと街娘として生きて来て、戸惑うことばかりだろう。できうる限り、支えたいと思う。⬇️

2015-09-02 23:06:31
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「大変といえば、ユベールたちもじゃないかな?」 歩を進めながら、率いている一団に改めて目を向ける。 先の大戦では、アルトゥークは最も激しい戦いが繰り広げられた地の一つだと聞いている。ようやく戦が終わったとて、まだ混乱も収まらぬ状況下にあることだろう。⬇

2015-09-02 23:17:18
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma その中にあっての、移住の決断。豪放磊落を地で行く彼と言えど、悩まなかったはずはあるまい。

2015-09-02 23:28:48
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 イクスが見詰める方向へ、ユベールも視線を移した。 「力が及ばなかったばかりにな。うちの領民には苦労を掛けさせちまった」 望むと望まざるとに関わらず訪れた状況に、対応するのが自分の役目だ。役目を果たしきれなかった、これがその結果なのである。↓

2015-09-03 12:51:16
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「この先は、まあ何とかなるさ。アルトゥーク人はしぶといからな」 殊に、混沌災害に揉まれたブールモンの民は、新天地であろうとも強く生き抜いていくだろう。ただ……、と僅かに目を伏せる。↓

2015-09-03 12:51:45
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「コルネーロ卿には申し訳無い結果になっちまったのが、悔やまれるが」 所属を離籍するにあたり、咎めは無かった。その心遣いが有難くもあり、却って心苦しくもある。

2015-09-03 12:53:19
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma やはり、強いな。 眩しげに目を細め仰ぎ見る。 この人も、彼を慕う民たちも。君主も民も、相手を信じる気持ちが垣間見える。それが、力となっているのだ。これほど強い結びつきがあれば、住む地がどこであれ、やっていけることだろう。↓

2015-09-03 16:05:34
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma そして最近、この輪に加わった少女に目を向けた。彼女は快活に走り回り、子供や年老いた人びとを励まして回っている。元気な様子であるというのに、不思議と女性らしい、柔らかさを帯びているようにも感じられた。 「遅くなってしまったけれど。結婚おめでとう」

2015-09-03 16:10:44
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「ありがとうな」 祝福の言葉に、やや照れたように破顔する。まさかこの歳になって身を固めることになるとはな。頭を掻きつつ、しかし心底幸福そうな様子で言った。 「お前は?良い人はいないのかい?」 金髪の若者に目を遣り、問う。

2015-09-03 23:56:30
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「目下、予定はないかなぁ」 微苦笑を浮かべる。 「これまで、そういうことを考える余裕がなかったからね」 家督に関わる君主であれば、許嫁を用立てられることもあったかもしれないが、そういうことも考えにくい。自由に決めることも可能な立場では、あるのかもしれないが。

2015-09-04 00:06:01
たいやきねこhinoe @hinoe_uma

@IKS_gc2 「お前なら引く手数多だろ」 心根の真っ直ぐな良い男だからな。そう言って笑った。イクスと、そして彼が率いる兵に視線を巡らせ、感慨深げに目を細める。 「お前と戦りあったのが懐かしく感じるよ」 よもやこうして行動を共にすることになるとは、思いもしなかった。

2015-09-05 00:03:23
ほりしゅー @IKS_gc2

@hinoe_uma 「もう、随分経つね」 連合と条約が現状、積極的に敵対関係にあるわけではないのもあるが、初めて対面した時から、命の奪い合いを行うと言うよりも、好敵手という言葉の方が相応しい関係だったような気がする。それは偏に、この偉丈夫の人柄によるところがある。⬇️

2015-09-08 14:43:03