- yubarisamidare
- 572
- 0
- 0
- 0
「お腹すいた…」 現時刻はフタマルマルマル。 提督が『ちょっと夕飯調達してくるわね』と言って執務室から出て行ってはや1時間。 「あの人絶対私のこと忘れてるでしょ。」 今日は鎮守府の秋祭り。 巡洋艦の艦娘達が中心となって屋台を出店している。
2015-09-20 00:39:09今日の私は秘書艦なので秋祭りには行けず、こうして執務室で雑務をこなしている。 「もう限界。間宮さん今日やってるのかな…。」 そんなことを考えていると、執務室の扉が控えめにノックされた。 「はーい?」 急いで立ち上がり、扉を開ける。
2015-09-20 00:50:43廊下に立っていたのは浴衣姿の五月雨ちゃんだった。 「五月雨ちゃん?なした?」 「提督が夕張さんに、って」 「え?」 焼きそば、焼きイカに焼きとうきびもある! …提督ごめんなさい。忘れられてなかったわ。
2015-09-20 01:04:42「ありがとう!」 受け取ろうと手を出したら 「失礼しますね。」 と、五月雨ちゃんが執務室に入ってきた。 「夕張さん、奥からちゃぶ台持ってきてくれますか?」 言われた通りにちゃぶ台を用意する。 五月雨ちゃんが抱えていた”2人分”の夕飯をちゃぶ台に並べる。
2015-09-20 01:20:06「いただきます。」 ちゃぶ台に向かい合って座り、焼きそばを食べ始める。 「五月雨ちゃん、浴衣なんて持ってたの?」 「いえ、鳳翔さんに涼風と一緒に着付けてもらいました。」 あー、この前鳳翔さんが全艦娘のスリーサイズこっそり聞いてきたのはそういうことか。
2015-09-20 01:40:16そう呟きながらイカ焼きを箸で解体する。…焼きそばにのっけちゃえ! 「もう夕張さん、イカ焼きはイカ焼きだけでも美味しいんですよ?」 「シーフード焼きそばっていいじゃない?それに、私は載せすぎる縛りから逃れられないの。」 なんちゃって。
2015-09-20 01:50:27「ところで五月雨ちゃんは秋祭りもういいの?」 焼きとうきびを齧りながら尋ねる。確かフタヒトマルマルまでだったはずだ。 「いえ、そろそろ戻りますよ。」 五月雨ちゃんはそう言うと立ち上がった。 「提督に『執務室からお姫様を連れ出しなさい』って言われたんですよ。」
2015-09-20 23:50:31「お姫様?そんな人いなわいよ?」 「私の目の前にいますよ?今は焼きとうもろこしかじってます。」 えっ、私? 「さぁ姫様、秋祭りに行きますよ。」 五月雨ちゃんがひざまずいて手を差し伸べる。 「いや、でも私秘書艦の仕事あるし…」 「戻ってきたら私も一緒に手伝いますから。ね?」
2015-09-21 00:18:39「それじゃお言葉に甘えて。」 立ち上がり五月雨ちゃんの手を取る。 五月雨ちゃんはにっこり微笑み、いつもの調子に戻る。 「ほら、急がないと終わっちゃいますよ。」 時計をみやるとフタマルサンマルになるところだった。
2015-09-21 00:39:26五月雨ちゃんに手を引っ張られながら秋祭りへと向かう。 「五月雨ちゃん、そんなに急いだら危ないよ。」 「私、そんなにドジじゃないですよ!」 そう言って振り返った瞬間 「きゃぁ」「おっと。」 五月雨ちゃんがつまずいてしまったが、転ぶ前に抱きとめた。
2015-09-21 01:03:25「大丈夫?」 「大丈夫です…あ。」 五月雨ちゃんの下駄の鼻緒が切れてしまっていた。 「どうしましょう。なおしている時間はありませんよね。」 「うーん…えいっ!」 五月雨ちゃんをお姫様抱っこする。 「ちょっと夕張さん?何するんですか?」 「これなら鼻緒が切れてても問題ないしょ?」
2015-09-21 01:13:41「どっちがお姫様かわからなくなっちゃいましたね。」 可愛さといい、この格好といい、誰がどう見てもお姫様は五月雨ちゃんだ。 「さぁ行くわよ!」 ----- 提督「あら?お姫様を連れ出せとは言ったけど、お姫様になれとは言ってないわよ?」 ゆうさみの秋祭りはこれからだ! …完
2015-09-21 01:20:38