にこさんの「長谷部に副部隊長に任命された山姥切」

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にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

「はっ?」山姥切はついぞ出したことのない間抜けな声を上げた。周囲の男士達の視線がこちらに集中していることにも気がづかないまま、目を丸くして口を半開きに、今己の名を呼んだ長谷部を呆然と見返す。ただ一人皆の前に立ち書面を手にしている長谷部は、相変わらずのすました表情でこう繰り返した。

2015-09-22 19:00:38
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 「聞こえなかったのか?」「いや、間違いじゃ」「間違いではない。大一部隊の副部隊長はお前だ」周りが密やかに耳打ちしあっていることからも、やはりその判断は間違っているのではないかと山姥切は思った。確かに己の練度はそれなりではある。元より第一部隊に籍を置いているし、

2015-09-22 19:03:33
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 末席でありながらも、それなりに腕は立つつもりだ。しかし、副部隊長となると、(要するに長谷部の副官……ってことだよな……)つまりは、戦いの行く末をそれなりに握る立場になるということである。第一部隊が再編されるという話は聞き及んでいたが、しかし己にはさほど

2015-09-22 19:05:36
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 関係はあるまいとたかをくくっていただけに、長谷部のその宣言は山姥切にとって青天の霹靂であった。「以上だ。第一部隊の隊員はこのまま残り、打ち合わせに入る。第二以降の者達は追って沙汰が出る。それまで待機。では解散」立ち上がらない他の者達の顔ぶれは、錚々たるものだ。

2015-09-22 19:07:28
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 三日月、蜻蛉切、燭台切、江雪、蛍丸。並々ならぬ練度の持ち主達である。これまでにも本丸の戦いを率いてきた長谷部は隊長として申し分ないが、しかしこの中で己が副部隊長というのは、あまりにも場違いであるような気がした。山姥切は布で己の顔を隠すのも忘れて、ただ唖然と

2015-09-22 19:09:17
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 涼しい顔の長谷部を凝視していた。 「…………」広い訓練場のどまんなか、特上の軽騎馬に囲まれて、山姥切はやはり気が遠くなるような思いをしていた。遠くには訓練相手として用意されてた仲間たちがやはり騎馬隊を編成して陣を組んでいる。(どうして俺が……)

2015-09-22 19:13:55
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 何度目かの自問をしていると、長谷部が馬を寄せてきた。「特上の刀装は初めてだったか」「え、……ああ、そうだな」「ならまずは説明よりも先に、適当に走ってみろ。それですぐに分かる」山姥切が何かを返す前に、長谷部が遠くの陣に向かって右に一度刀を回し、更に二度

2015-09-22 19:16:24
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 刀を左に回した。相手陣地の一部の部隊が離れていく。「燭台切をつける。好きにやってみろ」「は、はぁ?」「よろしくね、山姥切くん」長谷部の説明不足は今に始まったことではないが、やはり説明が足りないと山姥切は心の中で叫んだ。ただ隊員の一人であれば説明に不足していても

2015-09-22 19:17:54
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK あまり問題にならないが、今は副部隊長の立場なのだ。(も……もうやるしかない……どうなっても知らないぞ、俺は)山姥切は青い顔しながらも、馬に鞭をくれた。「!」思ったよりも、力強い駈け出しだった。飛び出しすぎたかと後ろをみやったが、しかし騎馬兵は遅れずについてきた。

2015-09-22 19:20:08
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 横を見れば、燭台切が並走していた。指示が無いので、とりあえず隣に位置をとったらしい。周りをざっと眺めれば、向こうからは同じく二人が騎馬隊を率いているようだった。もうあまり距離がない。並や上の騎馬に慣れている身としては、あまりにも馬の足が早く感じられた。

2015-09-22 19:24:43
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 相手が左右二つに分かれた。山姥切は部隊をぎりぎりまで燭台切に寄せ、一つになったように尚もまっすぐと駆け抜けていく。燭台切がすぐ隣を走っていた。手で合図を出すことを忘れて、追え、と口を動かした。燭台切の口は、オーケイと動いているように見えた。

2015-09-22 19:27:57
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 燭台切はぐいと外向きに曲がり、あっという間に離れていく。そのさまを見送ってすぐ、山姥切も逆側に旋回した。強く鞭を入れると、ぐんと体が後ろに振り下ろされそうになった。堪え、姿勢を低く、歯を食いしばって馬に張り付いた。景色が風のように流れていった。

2015-09-22 19:30:42
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK (は……)山姥切はぎゅうと強く手綱を掴みながら、みるみるうちに近づいてくる相手の騎馬隊を見据えていた。(速い!)後ろから響いてくる馬蹄の音が、後続が遅れずついてきていることを教えてくれる。相手騎馬隊の戦闘は、獅子王だった。左に旋回しようとしているのを感じ取り、

2015-09-22 19:34:40
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 山姥切も左に舵を取る。それでますます、距離は縮んだようだった。真っ直ぐに走っていても、これで追いつけないはずがない速度で、この騎馬隊は走っている。山姥切は体の奥底から湧き上がった衝動のままに、刀を抜き払った。天にかざせば、太陽の光がすうと刀の線にそって駆け上がり、

2015-09-22 19:37:48
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK その先端できらりと光り輝いた。獅子王の騎馬隊の、その最後尾が、もう手の届く距離にあった。叫んだ声は、獣のようであった。相手のど真ん中を貫くように、力任せに断ち割るように、突っ込んでいく。握りつぶされるように、獅子王の部隊は後ろから崩れていった。

2015-09-22 19:41:41
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK なんとか逃れようと、獅子王は部隊を急旋回させる。山姥切は一拍遅れて逆側に、同じくきつい弧を描いて部隊を旋回させた。これは逃げの動きではない、と直感していた。獅子王ならば、逃げるぐらいなら攻めてくる。再び敵部隊に向き直った時、山姥切は獅子王と真正面から相対していた。

2015-09-22 19:44:50
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 後ろを取り返すつもりであったのだろう獅子王が、驚愕に目を見開いているのがよく見えた。疾駆する馬がすれ違う一瞬の合間、刀が交わった。馬が駆け去ったあとに地面に突き立ったのは、獅子王の刀であった。 「どうだった」長谷部が出迎える。ぽくぽくと馬を歩かせながら、

2015-09-22 19:48:36
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 山姥切は、まだ夢心地であった。「……すごかった」と言うだけが精一杯な状態である。長谷部は口元を緩め、自身も隣に控えていた馬に跨った。「これが、特上の騎馬だ。とはいえ、いつまでもそれに浸ってはいられんぞ。とにかく走って、とにかく慣れろ。これが当然だと思うまでな。

2015-09-22 19:52:00
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK でなければ、広い視野をもつことはできない。途中から、燭台切のことを忘れていただろう」言われて、山姥切ははっとした。よく見れば、少し離れたところで馬上の燭台切がにこやかに手を降っていた。あの様子なら、もう一つの相手部隊は問題なく倒せたのだろう。追えという指示だけで

2015-09-22 19:53:21
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK それを成したことには、やはりその練度と刀装の高い質を感じさせる。「あいつらは、ただ敵を倒すことに尽力させたい。それを動かすのは俺の役目だろうし、お前にもそういった目があると思っている」思わず、長谷部の顔を見返した。長谷部は相変わらず感情の読めない顔をしているが、

2015-09-22 19:55:34
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK しかし言葉の節々には己に対する信頼が感じられた。(……どうしてだろう)腹の底が、じんわりと熱くなっていた。始まる前の辟易していた気分は、馬で駆け抜けている間に全て吹き飛んでしまったようだった。それも仕方のないことだ。ここまで力強く、速く走ったのならば、

2015-09-22 19:57:27
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK 戦うこと以外には何も残りはしない。「日が落ちるまで駆ける」長谷部が端的に述べた言葉に対し、山姥切は考える間もなく頷いていた。今は、ただ駆けたいと思った。藤色の翻るその先に、新しい何かが見えるような気がしたからだ。

2015-09-22 20:00:07
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

@253_SK みたいなやつをずっっっっと書きたいな~って思っててなんかもう 好きなもん書けばいいじゃんってなるけども、真面目に書くとアホみたいな長さになるしちゃんとは書ける気がしないし、んじゃまあ140区切りでっつったら、いや~これ適当に書きたいとこだけ書けていいね

2015-09-22 20:01:26
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

こういうの大好きなんでワイもやでって人はご一報下さい 私も好きなんで あと燭台切ほんとこういうとこに出してこいつめっちゃカッコイイなって思うの好きだわ~~……オーケイって言う時の顔ちゃんと微笑んでましたか?書き忘れましたがここでかっこ良く微笑んでるんだよぉ

2015-09-22 20:02:22
にこさん@急にTRPGしてる @253_SK

私も超かっこいいと思うしそこを通じて長谷部の格好良さとか燭台切の格好良さとかまでもう全面に押し出していく ここで長谷部が山姥切ちゃんに燭台切をつけるってとこが私的にはドチャシコじゃんって

2015-09-22 20:06:03