『アフター・ア・ストーム・カムズ・ア・カーム』#4

ジュセー @shiroboshi2

☆☆☆☆☆☆☆☆☆ #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

『アフター・ア・ストーム・カムズ・ア・カーム』#4 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「「イヤーッ！」」交差する二つの影。アソシエーテとミリピード。何度目の交差であるのか、二人にはわからぬ。ラオモトの生放送がハッキングされてから、それなりに時間は経っているはずだ。((遊んでやがるな、ミリピード=サン……！))アソシエーテは舌打ちする。1 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

ミリピードのカラテは、先程までとは明らかに質が違う。「なめやがって！イヤーッ！」アソシエーテのケリ・キック。「イヤーッ！」ミリピードもまた、ケリ・キックを放つ。互いの脚が衝突し、両者に無視できぬ衝撃を与える。「グワーッ！」「ンアーッ！」二人の視線が交錯する。2 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「ザッケンナコラー……本気を出せよ、さっきみたいなのをよ！」アソシエーテは素早くケリ・キックの交差から離脱すると、カトン・パンチを振るった。ミリピードは涼しい顔をしながら、それを流麗に躱す。「それは無理です。本気は疲れますし、もう少し楽しみたいので」3 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

楽しむ、か #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

回避動作を終えると、彼女はクナイ・ダートを投擲した。アソシエーテはブリッジ回避。「それに、そんなことしたら、あなた死んじゃうじゃないですか」「ッ……！テメッコラー！」アソシエーテは激昂し、常人の三倍を誇る脚力を活かし、跳躍。そして、「イヤーッ！」トビゲリ！4 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「イヤーッ！」ミリピードは後方へのステップによってこれを回避。だが、「イヤーッ！」アソシエーテは地面を蹴り、その反動で突撃。カトン・パンチを放つ！「ンアーッ！」ミリピードの腹部に直撃。彼女は素早く地面に転がり離脱。そして、カトンが燃え広がる前に鎮火。5 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

アソシエーテのカトン、その火力は低い。彼は歯噛みし、再びカラテを構えた。彼が唯一習得できたカトン・ジツは実際ベーシックなジツであり、習得だけならば容易なジツだ。だがそれを強きジツに出来るかどうかは、使用者のソウルの格や、カラテに左右される。6 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

アソシエーテは、個人的にソンケイを抱いていたソウカイ・ニンジャ、アーソンのカトン・パンチを想起する。彼の使うそれは、触れたものをタイマツめいて炎上させる非常に強力なカトン。当たりさえすれば敵無し。カラテとの相性もいい。「ハァーッ……ちょっと焦りましたよ」7 #S57Ninja

柊 @hiiragi_r_t_d

憧れと劣等感。 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

ミリピードが眉をひそめながら立ち上がった。カトンを受けた腹部周辺は破れてしまっており、彼女の白い肌を露出させている。「初めて当たりましたよ、あなたのその……ニンポ？」「ジツだ！カトン・ジツ！」「シツレイ。ニンポでなく、ジツ。結構、ヤバイと思いました」8 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

破れただけなのか #S57Ninja

柊 @hiiragi_r_t_d

褒めてるつもりかもしれないがアーソン=サンのそれを知っている身では嘲りとしか取れない言葉だ #S57NINJA

ジュセー @shiroboshi2

彼はミリピードの言葉を聞きながら、確かな焦燥感を味わっていた。この状況において、明らかに精神的優位に立っているのは彼女だ。((焦るな……焦るな……冷静になれ……))アソシエーテは冷静さを取り戻そうと努めた。だが、周囲の雑音が邪魔をする。9 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

ラオモトの生放送演説、その終り際に起こった放送事故……その混乱が、ネオサイタマ中に狂騒を生んでいる。それに、彼自身も、今の状況に酷く混乱しているのだ。ラオモト・カン。ソウカイ・シンジケート。もしも……もしも、ソウカイヤに大ダメージが与えられれば……自分は？10 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

彼の心中に、漠然とした不安や恐怖が浮かぶ。もしも、もしも。((待て、待て……落ち着け……万が一にも、ソウカイヤが……ラオモト=サンが……ダイジョブだ))「？……アソシエーテ=サン？」((仮にトコロザワ・ピラーに何者かが攻め入ろうと、シックスゲイツがいる))11 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

そのシックスゲイツがニンジャスレイヤーに殺害され、今やヘルカイトただ一人になっている事など彼は知らぬ。((ダイジョブ……ダイッジョブなんだ……ラオモト=サンの強大さを考えてみろ……俺が路頭に迷うことにはならんはず……))「アソシエーテ=サン」12 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

((落ち着け……落ち着くんだ、ゲバタ…))「……イヤーッ！」「グワーッ！？」アソシエーテの身体が宙を舞った。ミリピードのハイキックを直撃したからだ。「さっきから様子がおかしいですよ？ここで私を見逃し、家に帰って憩った方が良いのでは？」彼女は涼しい顔で言う。13 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「……アー」アソシエーテは空中でクルクルと回転し、着地。頭を掻いた。「実際、テメェをここで始末したかったんだが」彼は遠く離れたトコロザワ・ピラーの方角を見やる。その天守閣で、今まさにニンジャスレイヤーとラオモトのイクサが繰り広げられている事など彼は知らぬ。14 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「……いいか、ミリピード=サン。明日だ。明日、ま」「ではオタッシャデ」ミリピードは跳躍。建物群の屋根に飛び乗り、ネオサイタマの夜闇へと消えていく。「……やっぱりダメだ！腹が立って仕方がねえ！スッゾコラー！」アソシエーテも跳躍。彼女の背を追う。15 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「え？ナンデついてくるんです？もしかして、家こっちですか？」「違……いや……そうだが！」アソシエーテはチャカ・ガンを構え、発砲。ミリピードはそれを難なく回避。アソシエーテは発砲し続ける。ミリピードの回避方向を調整し、逃亡ルートを固定させる。16 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

家そっちなのかよ #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「やはり、今日！この夜に！決着をつけるんだよ、テメェと！」「はぁ。そうですか……はぁ」ミリピードは大きな溜息を吐くと、急停止した。アソシエーテは不意を打たれたものの、急停止。カラテを構える。「やる気になったか」「……できるだけ、使いたくはなかったんですが」17 #S57Ninja

ジュセー @shiroboshi2

「ア？なにをブツブツと……」「イヤーッ！」刹那、ミリピードが猛接近。そして、「イィヤヤヤーッ！」連続ケリ・キック！あたかも千本の足があるかのように見える、実際ハヤイすぎるケリだ！「虚仮威しが！……！」アソシエーテは受け流しながら、この状況に既視感を覚えた。18 #S57Ninja