『アフター・ア・ストーム・カムズ・ア・カーム』#2

ジュセー @shiroboshi2

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『アフター・ア・ストーム・カムズ・ア・カーム』#2 #S57Ninja

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右の椅子には、紫色の上等な法衣を着て金縁サイバーサングラスをかけたボンズが。「ドーモ、カスミガセキ教区のアークボンズ、タダオです」 「ドーモ、本日はお忙しい中、大変恐れ入ります」オイランレポーターが、正座の状態から顔を上げる。1 #S57Ninja

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オイランレポーターは、視聴者にその艶めかしい尻を向けたまま、マイクを持って質問を開始した。「本日付でラオモト＝サンをブディズムの名誉聖人に認定されたとのことですが、今回のネオサイタマ市長選挙との関係は？」2 #S57Ninja

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「ムハハハハ、全くありません」ラオモトは笑いながらキューバ産の葉巻を吹かした。「時期が偶然重なっただけのことです」ＴＶ画面の右下には、ジンジャ・カテドラル内に新たに追加された、聖ラオモトのマンダラ・ステンドグラスの最新映像がカットインしてきていた。3 #S57Ninja

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「ラオモト=サンの仰るとおり以前から決まっていたことです」とタダオ大僧正。「常日頃からの彼の貧民救済活動などを評価してのことです」彼の口元が微かに緩む。「ラオモト=サンはほとんどブッダに近い」タダオはここで一度、間を置いた。4 #S57Ninja

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「以前、匿名でネオサイタマ市内の孤児院や養護施設に寄付があったが、あれも実は……」「ムハハハハ、実はワシなのです」……生放送は続く。アソシエーテは、ハッとして、ミリピードの方を見た。居ない。「ブッダファック！逃しちまったか」彼は舌打ちした。5 #S57Ninja

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ミリピードは繁華街を抜けていた。アソシエーテの視線に気づいていたわけではない。タダオの発言の辺りで生放送の視聴を止め、歩き出していた。ただそれだけだ。彼女のニンジャ第六感は、タダオの言葉に欺瞞の色を感じ取っていた。「嘘つきばかりです、世の中なんて」6 #S57Ninja

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彼女は、止まぬ知事選映像と音声に辟易していた。どれもこれも、欺瞞。ここはネオサイタマ。欺瞞に溢れた街。それはわかっているつもりだ。だが、それでも。こうもありありとその様を見せられれば、不愉快にもなるというものだ。7 #S57Ninja

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繁華街を抜け、暗い道を歩く。ぼやけた街灯の明かり、壊れた電子看板の散らす火花。僅かな光だけが、すべてだ。思えば、こんな道ばかり歩いてきた。ニンジャになったあの時の全能感は何処へやら。今はもう、無意識のうちに暗い所へ、暗い所へと、隠れるように。8 #S57Ninja

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ミリピードは己のなかに熔けていったニンジャソウルを、ヤスデ・ニンジャを想う。彼女はこのような生き方を望んでいたのだろうか？……わからない。「好きに、生きていくんです、私は。あなたがどんな生き方を望んでいても、私の体は私のもの……」ミリピードは、一人、呟く。9 #S57Ninja

鹿奈しかな a.k.a SS @RiverInWestern

これもまたエゴだろうか #S57Ninja

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(9番のツイートでかなりの数の誤ツイート、そしてそれの修正をしてしまったのでケジメします) #S57Ninja

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……「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、デビルフィッシュです」「ドーモ、デビルフィッシュ=サン、ニンジャスレイヤーです、イヤーッ！」……「グワーッハハハ！無駄だ！ニンジャスレイヤー=サン！無駄なのだ！」……「ニンジャ殺すべし！イヤーッ！」「サヨナラ！」……11 #S57Ninja

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……「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン、レイザーエッジです」「ドーモ、レイザーエッジ=サン、ニンジャスレイヤーです、イヤーッ！」……「馬鹿め、ニンジャスレイヤー=サン、貴様の負けだ！」……「イヤーッ！」「グワーッ！サヨナラ！」……12 #S57Ninja

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……「コーッ。ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。ウォーターボードです」「ドーモ、ウォーターボード=サン。ニンジャスレイヤーです」……「コーッ。これがアクアカラテだニンジャスレイヤー=サン」……「サヨナラ！」……「スゥーッ！ハァーッ！」…… 13 #S57Ninja

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……(((ニンジャ……スレイヤー……私は誰だ……お前のせいで……教えろ……私は……)))……「トチノキ！トチノキ？」……「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。アルマジロです」「ドーモ、アルマジロ=サン。ニンジャスレイヤーです」……「アバッ……アバッ……」……14 #S57Ninja

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ミリピードが進む道の先に、通行止めめいてヤクザモービルが停まった。ドアが開き、中から男が一人。紫色のヤクザスーツ。染め残しの目立つ金髪オールバック。簡易なメンポ。その姿を認めた途端、ミリピードは大きな溜息を吐いた。そして気怠げにオジギをした。16 #S57Ninja

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「ドーモ。はぁ……アソシエーテ=サン。はぁ……ミリピードです。はぁ……」不遜な態度のアイサツを終えると彼女は、仕方なし、というようにカラテを構える。「……ドーモ、ミリピード=サン。アソシエーテです」アソシエーテは片眉を吊り上げながらアイサツを返した。17 #S57Ninja

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「アソシエーテ=サン。私はそろそろあなたの顔に飽き飽きしてきました」ミリピードは気怠げに言う。「それはこっちの台詞だ。何度も何度も逃げやがってッコラー！ブッダはとうに怒ってカラテ振ってるぞ！」アソシエーテもまた、カラテを構える。その拳を炎が纏う。18 #S57Ninja

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「ブッダはとうに怒ってる。いい表現ですね。三度を軽く超えてる、ということですよね」「……イヤーッ！」アソシエーテが先に踏み込んだ。カトン・パンチ！「イヤーッ！」ミリピードは足を振り上げ、彼の腕へとケリを繰り出した！「グワーッ！」「イヤーッ！」追撃のクナイ！19 #S57Ninja

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「イヤーッ！」アソシエーテはこれを逆の腕で振り払う。同時にスリケン投擲。「イヤーッ！」ミリピードは後方回転跳躍しこれ回避。同時にクナイ投擲。「イヤーッ！」アソシエーテは後方回転跳躍し回避。互いの視線が交錯する。20 #S57Ninja

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二人の攻防の中、ネオサイタマに轟くラオモトの知事選スピーチ生放送は、CMに入っていた。「イヤーッ！」「ンアーッ！」アソシエーテのスリケンがミリピードの白い太腿に突き刺さる。「……イヤーッ！」彼女はクナイを四本投擲した。「イヤーッ！」アソシエーテは回避！21 #S57Ninja