とある臓器移植の患者について

深夜のつぶやきが目に留まったので、まとめました。
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安東量子【告知専用】 @ando_ryoko

日本で最初の肺移植手術の対象になった女性がいた。その頃は、臓器移植手術に懐疑的な意見も強く、反対する人も多かったけれど、彼女は、自分の闘病経験とアメリカでの同病の事例をよく勉強して、確たる信念を持っていた。長い長い登録待機時間を持ちこたえて彼女は手術を受けることができた。

2015-09-27 23:18:49
安東量子【告知専用】 @ando_ryoko

待機入院の間、下の名前で「ちゃん」付けで呼んでいた執刀医と徹夜で、日本ではなぜ臓器移植が普及しないのか語りあった、と聞いた。移植前の辛うじて生きながらえているあの体力でよく、と思ったけれど、後から考えると、眠ることさえ困難な中、か細い息でゆっくりゆっくり語りあったのだろう。

2015-09-27 23:21:25
安東量子【告知専用】 @ando_ryoko

移植手術は順調に終わり、その経過も素晴らしく順調で、彼女は、ほとんど完璧に社会復帰を果たした。けれど、おそらくは、元々の疾患に長くかかっていたことを遠因とする体調不良で、手術から数年後に、突然になくなってしまった。

2015-09-27 23:23:31
安東量子【告知専用】 @ando_ryoko

彼女は移植医療が日本に普及することを心から願っていた。その後、しばらくして、彼女の執刀医が、彼女の症例報告を出しているのをネットで検索して見つけた。彼女との約束を果たしたのだな、と思った。

2015-09-27 23:25:54
安東量子【告知専用】 @ando_ryoko

もう15年以上前。彼女を知る共通の知人も、故人になってしまった人も少なくない。私が書き留めておかなければ、彼女のことも忘れられてしまうのかもしれない、と、唐突に思った。

2015-09-27 23:27:53
安東量子【告知専用】 @ando_ryoko

いまも、彼女が生きていたらなんというだろうか、としばしば考える。彼女が亡くなって15年も経つけれど、いまでも、彼女に生きていてほしかった、と思う。

2015-09-27 23:32:18
安東量子【告知専用】 @ando_ryoko

あれだけ、生きることを強く意志し、また愛した人もいない。自分だけでなく、他人の生も。

2015-09-27 23:33:55