【ヤクザ・アンド・プラウド】

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しまな @cimana_ns

「ザッケンナコラー!」「アイエエエ!」「ノルマ足りてねえぞッコラー!」「スンマセンオヤブン!明日から…いや今日から!ジアゲしてくるんで!」「御託はいいからとっととイッコラー!」「アイエエエ!」……バタン。「…ウェー…」ハルオはドアを閉め、雨空を見上げた。

2015-10-05 21:01:20
しまな @cimana_ns

「あー言っちまったけどノルマはエート…一、ニ、……」ハルオはしばし固まった。元々彼は計算が得意な方では無いのだ。「……無理では?」「ハルオお前とっとと行けッコラー!」「アイエエエ!」ハルオの背後のドアが跳ねた。「ス…スンマセン!」ハルオは慌ててヤクザモービルへと駆けこむ。

2015-10-05 21:03:02
しまな @cimana_ns

事務所の中、オヤブンが口を開いた。「…今じゃ若いのもアイツぐらいか」「ハイ、オヤブン」「アイツには骨がある」オヤブンは葉巻に点火。「……最近が物騒だがな、アイツには」ポーン。「客か?」「私が出ます」グレーターヤクザがドアへと向かう。

2015-10-05 21:06:24
しまな @cimana_ns

「イヤーッ!」アンブッシュだ!「グワーッ!」グレーターヤクザが吹き飛び、あろうことかマホガニー製高級ドアの下敷きに!そして…おお、ナムサン!「イヤーッ!」「アバーッ!」ドアの下から鮮血が溢れだす!「誰だテメッコラー!」オヤブンが即座にチャカを抜き打つ!

2015-10-05 21:12:24
しまな @cimana_ns

BLAMBLAMBLAM!フルオートで吐き出された重金属弾丸が「イヤーッ!」一つ残らず摘み取られた!「ドーモ、スペキュレイションです。ジアゲに来ました」

2015-10-05 21:14:04
しまな @cimana_ns

「ウェー…」ハルオは今日何度目か分からないため息を吐き、白塗りヤクザモービルのドアを閉めた。「ジアゲ先がジアゲされてりゃ話にならないンだよ…」事務所のドアを開けようとし、「…ン?」ドアが無い?「ドシタンス!」ハルオは駆け込んだ。「ククッ」事務所の中は荒れ果てていた。

2015-10-05 21:31:09
しまな @cimana_ns

「モスキート・ダイブイントゥ…チョージョーだ」「…オヤブン」「「ハルオ!バカ!逃げろ!」ハルオは一瞬で状況を把握し、「…ザッケンナコラー!」チャカを構え突撃した!…はずだった。「イヤーッ!」「グワーッ!?」ハルオはフロアを舐めていた。「ザ…ザッケンナ」「イヤーッ!」「グワーッ!」

2015-10-05 21:35:35
しまな @cimana_ns

オヤブンが青ざめる。「丁度いい、身の程知らずのヤクザ風情にソウカイヤのルールを教えてあげましょう…イヤーッ!」「グワーッ!…アバッ…!」意識が飛びかける…が、「…ン?」「アバッ…オヤブン、逃げ…」「イヤーッ!」「グワーッ!」「…気が変わった」

2015-10-05 21:43:00
しまな @cimana_ns

ニンジャは後ずさるオヤブンへとゆっくり近付き、「イヤーッ!」「アバーッ!」サッカーボールめいて首を蹴り飛ばした。「オ…オヤブン!」スペキュレイションはハルオの襟首を掴み上げる。「この事務所は私がいただきます」「ザ…ザッケンナ」「イヤーッ!」「グワーッ!」「ドゲザしろ」

2015-10-05 21:47:33
しまな @cimana_ns

「そうすればコブンにしてやる」「アバッ…畜生、誰がお前なんかに…」「イヤーッ!」ハルオが宙を舞い、「グワーッ!」壁へと叩きつけられる。(((…畜生、オヤブン…)))ハルオの視界が減速する。ソーマト・リコールか。だが目の前に映るのは非常な現実だ。

2015-10-05 21:53:40
しまな @cimana_ns

崩壊した事務所。オヤブンを始めツキジめいた死体の山。宙を舞うトロ粉末。8袋。コーベイン。9枚。札束。3つ。ハルオの頭に何かが落ちた。天狗のオメーン。ジゴクの垂らされたブッダの糸めいた啓示か?「8…9…3……天狗…」「ほう、ソーマトか?」ニンジャの声は遠い。

2015-10-05 21:58:27
しまな @cimana_ns

何らかの啓示めいた散乱物、ツキジの惨状、何処かで聞いたフォークロアがハルオの中で加速し…叫んだ!「…ヤクザの!ソンケイの!危機だ!助けてくれ!ヤクザ天狗=サン!」ニンジャが哄笑する。「気でも狂ったか!今楽にしてや」CRAAAAAAASHHH!!

2015-10-05 22:01:38
しまな @cimana_ns

ハルオの目の前にあった窓が飴細工めいて割れ、漆黒ヤクザスーツに憤怒のテング・オーメンの男が現れた。夕明りをバックに男が着地する。「何者だ」ニンジャが問うた。男、いやヤクザ天狗は立ち上がり論理ヤクザガンを構える!

2015-10-05 22:09:29
しまな @cimana_ns

「…神々の使者!ヤクザ天狗参上!」

2015-10-05 22:09:58
しまな @cimana_ns

「ヤクザ風情がオーメンを被って天狗だと?笑わせてくれる!ドーモ、スペキュレイションで」「ザッケンナコラー!!」オジギ終了直前、論理ヤクザガンの斉射。「アババババーッ!」ニンジャは余りにもあっけなくスイスチーズめいた蜂の巣へと変わり、「サヨナラ!」爆発四散した。

2015-10-05 22:12:51
しまな @cimana_ns

排莢、そして沈黙。「…私がお前らを解き放ってしまったのだ。すまんな、本当にすまん」ヤクザ天狗は懐からスキットルを取り出し、粛々と儀式を執り行う。「ア…」呆然とするハルオへとヤクザ天狗は近付き、「贖罪の聖戦には積極的ドネートが必要なのだ。払えるか?」「…そこにあるので全部、です」

2015-10-05 22:22:07
しまな @cimana_ns

ヤクザ天狗は振り向き、頭を振った。「…これでは足らぬな。払えるか?」「…スンマセン」「イヤーッ!」「グワーッ!?」「払えぬなら…」ヤクザ天狗はハルオを抱えた。「アイエッ?」「お前を天狗の国へと連れてゆく」「アイエッ…お、お願いします」「何?」

2015-10-05 22:24:26
しまな @cimana_ns

「お願いします、俺…ヤクザなのに、オヤブンも守れないで、全部ニンジャに…アイエッ!」ヤクザ天狗はハルオを投げ捨てた。「…オヌシは贖罪の戦士とは足り得ぬ…ドネートは足りぬが仕方ない」ヤクザ天狗は手際よくアタッシュケースへと札束、トロ粉末、コーベインを詰める。「ではサラバだ」

2015-10-05 22:29:18
しまな @cimana_ns

「待っ…」既にヤクザ天狗は飛び去った後だ。ハルオはヤクザ天狗の飛び去った窓を暫く眺め、やがて事務所の奥、甲冑の置いてある部屋へと消えた。

2015-10-05 22:34:28
しまな @cimana_ns

【ヤクザ・アンド・プラウド】 終わり

2015-10-05 22:34:59