海老名市立中央図書館の風俗店ガイド問題

海老名市教育委員会教育指導課はこう説明する。
「ご指摘の本（タイ夜遊び地図）は教育長も確認していますが、前半部分は観光やグルメなどの解説で、後半部分に問題の内容があり、確認不足だったのは確かです。この本は新宿区など複数の区や市の図書館にも置かれており、海老名市だけではありません。ただ、市民に疑念を与える内容なので、今後、貸し出しは控える予定です」

週プレNEWS(2015/10/07追記)

再選書作業に携（たずさ）わった海老名市教委の担当者がこう話す。
「指摘されている本は、当館の選定基準内に収まっており、他市の公立図書館にも入っていますが、今回は様々なご指摘を受け、市民の方に疑惑を持たれることのないよう、書架から取り除くことに決めました。現在は“貸出中”ですので、戻り次第、外します」

朝日新聞 その2(2015/10/09追記)

市教委は７日、これらの本を書棚から撤去することを決め、事実上の貸し出し中止にした。
他の公立図書館に収蔵例があるが、公立の図書館にふさわしくない蔵書との意見で一致、撤去を決めたという。
７千冊を手にとって調べたとしていた伊藤文康教育長は「細部まで確認できなかったものがあったことは申し訳ない」と話している。

25日から30日にかけて7千冊を手にとって細部まで確認できるはずもなく。

週刊朝日2015年10月23日号(2015/10/14追記)

市教育委員会は「選定基準内で問題はないと判断した。他自治体での選定実績もある」（10月4日産経新聞）と回答していたものの、翌日には…3冊の貸し出し中止を決めたのだ。
「貸し出しを中止にしたということは、不適切な選書だったと認めたということで、やはりオープンを延期してでも十分に精査すべきだった。…それに、風俗紹介本や海老名の選書基準の対象外になっている本は、3冊だけではないのです」（山口市議）

『夜のバンコクマップ&ガイド』の内容、選書基準外のタレント本、タレント写真集も納品済みなことに触れている。市教委への質問は締め切りまでに回答を得られず、疑惑の本が検索に出なくなったこと、猪谷千香氏の検閲を懸念するコメント、司書について長年勤務したスタッフがわずかなことを紹介。

結局何がどうなっているのか

市（教委）「基準に適合していた」（産経、テレ朝）(2015/10/07追記)（産経2、共同、週プレ）

基準で抵触しそうなものには「アダルト本」「その他公共図書館の蔵書としてふさわしくないもの」がある。18日山口議員が質問したタトゥ本は基準の上では「その他公共図書館の蔵書としてふさわしくないもの」しか当てはめられそうにないが所蔵に至らなかった（市側の説明では、購入しなかった）。

市教委「不適切」（朝日新聞、神奈川新聞）(2015/10/07追記)（TBS2、ゲンダイ）(2015/10/09追記)（朝日2）

CCCが不適切な本を挙げ、教育長及びTRCのチェックを漏れたということになる。

そもそも教育長が自分で手に取って確かめたというのは時間的にも無理があるし、手に取れるなら既に現物があることになるので辻褄があわないのだけど。

(追記)神奈川新聞が教育長のコメントとしてチェックできていなかったことを明記。

市（教委）・CCC「他の図書館にもある」（産経、テレ朝、TBS）(2015/10/07追記)（共同、ゲンダイ、週プレ）(2015/10/09追記)（朝日2）

他の自治体にはそこの基準があり、海老名市の基準と同等のものだというのでもなければ何の理由にもならない。

とくにCCCはそもそものはじめから基準に対象外と明記されているコミックをリストに入れるなど、基準をまったく尊重していない疑いがある。武雄市では規約が条例に優先するとした企業なので、本気で基準を無視している可能性もある。

(2015/10/07追記)朝日にも記述があったが「チェックが甘くなった」理由としてであり、正当化まではしていない。

どうすると言っていたか(2015/10/07分離)

「閲覧禁止」（テレ朝）

海外の風俗店ガイドであり、海老名市の図書館で閲覧禁止にしたまま保存しておく意味はないだろうから、これなら除籍した方が早そうにも思う。

「貸し出し中止」（朝日新聞、神奈川新聞）(2015/10/07追記)（産経、TBS2、共同、ゲンダイ）

風俗店ガイドを問題視する側にとって、貸し出しを禁ずるだけで開架しているのでは例えば未成年でも閲覧し放題なままとなり、解決策とならないと思う。

(2015/10/07追記)これだけ多くが報じているのだから、教育委員会は「貸し出し」と言っているようだ。

「閉架」（ブロック市議）

一番信用のない発言者による報告らしきものがもっとも現実的というのでは、本当はどうするのかまったく見えない。

「書架から取り除く」（週プレ）(2015/10/07追記)(2015/10/09追記)（朝日2）

開架されている書架から取り除くなら閉架だが、図書館の書架から取り除くなら除籍か。

実際どうなったか(2015/10/07追記)

「所蔵なし」

普通に検索するともう見つからず、除籍されたのと区別がつかない。

本来、市の定めた基準に外れているというなら除籍も分かる。朝日やゲンダイの記述はそのように解釈できるが、しかしそれ以外の多くの報道が市教委が基準内と言っていることを伝えている。

基準の上では問題ない本を閉架等の制限どころか除籍したというのであれば、とんでもないことのはずだが。

(2015/10/09追記)上記措置が取られた後に報じた8日付け朝日の続報でも「書棚から撤去、事実上の貸し出し中止」となっているが、検索に出ないのだから貸し出し中止どころか館内での閲覧も困難なのではないか。また理由として一致したという「公立の図書館にふさわしくない蔵書」は結局基準の「その他公共図書館の蔵書としてふさわしくないもの」に該当すると認めたのかどうか。タトゥ本を認めなかったのは「古本だったから」という理由だと思いたいくらいだが、基準で一番曖昧な項目の濫用になっているのではないか。

(2015/10/14追記)産経の記事があったものの、これまでの取材をまとめたものらしく新しい情報がなかったため割愛。検索に出なくなったことを週刊朝日が掲載、市教委への質問が回答待ちなので次号に期待。

(以下、2015/11/14追記)

ハフィントンポスト 10/31

また、タイの歓楽街ガイド本が購入されていた問題については、神奈川県内の他の自治体や東京都内の自治体の図書館でも蔵書があり、海老名市立図書館の選書基準でも問題はないため、貸出は行う。ただし、未成年の利用者が手に取ることがないよう、通常は閉架書庫で管理すると指定管理者から申し出があったという。

さらにまた変更