フォガットゥン・フューチャー #3

言い忘れたが三笠は作中一の変態だ
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劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

2015-10-06 21:01:57
劉度 @arther456

【フォガットゥン・フューチャー】#3

2015-10-06 21:03:14
劉度 @arther456

(これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。投下中はTLを余り見ないので、感想・実況などを #ryudo_ss に書いて頂けると、後でチェックして小躍りします。では、宜しければ暫くの間お付き合い下さいませ)

2015-10-06 21:03:43
劉度 @arther456

ソロモン諸島南西、バヌアツ島。ここに配置された港湾棲姫はいつも暇だった。ここはFS作戦の主戦場からはやや離れたところにある。日本海軍は一度もこの島に近づいていない。オーストラリア海軍も、手前のニューカレドニア島を攻略できずバヌアツまでは辿り着けない。 1

2015-10-06 21:06:37
劉度 @arther456

そういう訳で、この日もぐっすり寝ていたバヌアツ生まれの港湾棲姫は、明け方に上陸したタウイタウイ第3艦隊に気付けなかった。彼女が目を覚ましたのは、聞き慣れない太鼓の音によってだった。トン、トコトントコトン、トトン……。軽快ながらも儀式めいたリズムが、バヌアツの海に響く。 2

2015-10-06 21:09:53
劉度 @arther456

「なんだ……?」目を覚ました港湾棲姫は、のそのそと海岸に歩いて行き、そこで驚くべきものを目にした。「なんだこれ」昨日まではなかった、立派な土俵が海岸に作られていた。櫓の上では知らない人間が一心不乱に太鼓を叩き、土俵上には行司が控えている。 3

2015-10-06 21:13:10
劉度 @arther456

どうしたものかと考えてから、港湾棲姫は行司に近づいた。見たところ艦娘のような物騒な武器は持っていない。追い返すにしても、砲撃するのは大げさだ。「おい、早く出て行け」「ひぃがしぃー、港湾棲姫ぃー」行司が勝手に名乗りを上げる。「相撲をする気は無い」 4

2015-10-06 21:16:25
劉度 @arther456

「にぃしぃー、明石ぃー」行司が軍配を振り上げる。港湾棲姫とは反対側の方向から、艦娘が歩いてきた。セーラー服と袴を折衷させた不思議な服を着た工作艦、明石。背中の作業用クレーンが示すように、戦闘向けの艦娘ではない。「何がしたいんだ、お前ら」「スモウです」 5

2015-10-06 21:19:40
劉度 @arther456

明石は港湾棲姫の呆れた視線を無視し、土俵に入り、塩を撒き仕切り線につく。「相撲をすれば帰るのか?」「ええ、もちろん」丸腰の相手に要塞砲を撃ち込むのは、流石に気が引ける。しぶしぶ港湾棲姫は位置についた。体格差は歴然。相撲をやっても負ける道理はない。 6

2015-10-06 21:22:53
劉度 @arther456

「見合って見合って……ハッキョーイ……」港湾棲姫は今になっても気付いていない。この土俵は結界であり、自分が相撲をするよう無意識のうちに誘導されていることを。意を決して港湾棲姫が飛び出した次の瞬間、彼女の体はバヌアツ上空1000mまで吹き飛ばされていた。 7

2015-10-06 21:26:12
劉度 @arther456

《こちら『野見宿禰』。本日の大一番、TSUKIDASHIで明石の勝ちでごわす》TSUKIDASHI。基本技だが横綱明石の一撃ともなれば、相手を雲の上まで吹き飛ばす必殺の一撃である。「バヌアツ攻略、了解。……しかし凄いなあ、タウイタウイのSUMOU結界は」 9

2015-10-06 21:29:33
劉度 @arther456

SUMOU結界。一握りの横綱艦娘にのみ許された必殺空間だ。この中ではあらゆる現象がSUMOUに置き換えられ、たとえ相手が不死身の怪物であろうと、SUMOUに負ければ翌日まで行動不能となる。未だに殺害方法が見つからない陸上型深海棲艦に対する、最も有効な対処法だ。 10

2015-10-06 21:32:46
劉度 @arther456

「こっちも使えたら良かったんだけど」提督は羨ましげに呟く。この艦隊にも大鳳や不知火など、SUMOUのできる艦娘はいるが、まだSUMOU結界を展開することは許されていない。「無い物ねだりしても仕方がありません。深海棲艦を倒せなくとも、モアイを破壊すればよいのですから」 11

2015-10-06 21:36:27
劉度 @arther456

不知火が窘める。今回の作戦目的は、あくまでも龍脈からの魔力供給を止めることだ。それを忘れて敵の殲滅に夢中になってはいけない。「『蔵王』より霧島へ。準備はいい?」《ええ。ご指示通り配置につきました。三式弾の準備もバッチリです》別働隊隊長の霧島が応える。 12

2015-10-06 21:39:40
劉度 @arther456

提督率いる本隊はフィジー島北西に展開している。一方、霧島と比叡を中心とした別働隊は、南西後方に待機している。敵の主力を釣り出した隙に高速艦隊が突入。島の周囲を一周しつつ三式弾を撃ち込む。どこにモアイがあるか分からないため盲撃ちになるが、これだけやれば当たるはずだ。 13

2015-10-06 21:42:58
劉度 @arther456

万一モアイの破壊を確認できなかった場合、後方で待機している陸軍揚陸部隊が強襲、島に乗り込む。これは危険なので、できれば提督は艦砲射撃だけで終わらせたいと思っている。《提督!横綱彩雲が敵艦隊を発見したわ!》「来たか!対空戦闘用意!赤城さん、大鳳、頼むよ!」 14

2015-10-06 21:46:16
劉度 @arther456

赤城と大鳳から航空機と航空力士が発艦する。少し経ってから、水平線上の空が黒く濁り始めた。敵の航空部隊だ。「あの量……陸上型がいるな。皆、気を引き締めて」陸上型深海棲艦は、空母とは比べ物にならない量の航空機を操る。また、要塞砲の一撃は絶対に食らってはならない。 15

2015-10-06 21:49:31
劉度 @arther456

《慢心してはダメ。全力で参りましょう》《そうね。ガンガンやっちゃいましょう!》赤城の烈風が敵爆撃機を阻み、大鳳の力士が塩を撒いて敵戦闘機を撃ち落とす。混戦を抜けた敵機が赤城を狙うが、秋月の対空砲によって吹き飛ばされた。 16

2015-10-06 21:52:50
劉度 @arther456

「流石、長10cm砲ちゃん!」「次行ってみよう!」秋月が砲身を手早く交換し、対空砲火を途切れさせない。そうこうしているうちに、敵艦隊を目視できる距離にまで近づいた。「……提督ッ!?」オペレーター妖精さんが切羽詰まった声を上げたのは、その時だった。 17

2015-10-06 21:56:04
劉度 @arther456

「どうした!?」「これは……この敵は!」「何なの!?」「離島棲鬼ですっ!」「何ィ!?」CICのモニターが、海上の敵を映す。黒いゴシックドレスを潮風に靡かせる女。提督が見間違えるはずがない。かつてピーコック島攻略で散々苦しめられ、息のかかる距離まで追い詰められた、離島棲鬼だ。 18

2015-10-06 21:59:15
劉度 @arther456

「他人の空似……じゃない、ね」前方の離島棲鬼のドレスは腹部が大きく避け、無残な傷跡のついた白い腹を大きく晒している。以前、武蔵がつけた傷だ。「……霧島!」《お呼びですか?》「計算違いだ!離島棲鬼が出てきた!急いで三式弾持ってきて!」 19

2015-10-06 22:02:29
劉度 @arther456

《落ち着け。別働隊を動かしたら、誰が島を攻撃するのだ?》通信が入る。後方に待機しているあきつ丸からだ。「あの離島棲鬼ですよ!?武蔵でも倒しきれなかったんですよ!?今の戦力を全部投入しても、勝てるかどうか……!」提督はかつての強敵に怯えている。 20

2015-10-06 22:05:44
劉度 @arther456

《……武蔵と渡り合ったのか。興味深い》「はい?」《分かった。ならば我々がそちらに合流しよう》「えっ!?いや、しかしそれは、その……」思わぬ申し出に提督は喜ぶが、同時にためらう。《どうした?》「いや、その、正直言って戦えます?あれと」 21

2015-10-06 22:09:01
劉度 @arther456

揚陸部隊の戦力は戦艦2、航巡1、軽空母1、そしてあきつ丸。バランスは取れているし、それなりの戦果もあるが、離島棲鬼に立ち向かえる気がしない。《提督よ。我々の所属を言ってみろ》「陸軍です」《そうだ。ああいう陸の魔物については、海軍よりも知識がある》 22

2015-10-06 22:12:15