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再す誕ふ者ん🍜 @hfsm_ABIDING
群青に血肉をぶち撒けた戦場に、純白の躯体が舞い踊る。 ギガベース鎮守府主力艦隊。鎮守府最高戦力の一角と評される大和型、長門型、赤城、加賀を中心に構成された離島攻撃部隊は、たった1隻の深海棲艦に翻弄されていた。 #ギガベース日誌
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赤城と飛鷹の艦載機を瞬く間に撃ち砕いたそれは、必中の殺意を艦娘達へと向けた。 海軍解体戦争、ピーコック島占拠事件、マザーウィル3番機、ミッドウェー。地獄を幾層にも重ね合わせたような戦場を生き抜いてきた彼女達は、目の前の敵の性能に共通の確信を得た。 #ギガベース日誌
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自分達に死があるとすれば、目の前のそれが現状最も相応しいものなのだろうと。 #ギガベース日誌
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「長門!」 「おうよ!」 詳細を排した合図による同時砲撃。経験と直感が近いもの同士故に成り立つ武蔵と長門による連携が、艦隊のド真ん中へ潜ろうとしたそれに直撃した。 最新のコジマ技術で祝福された艦砲による双撃も、その敵にとってはちょっとした足止め程度としか作用しない。 #ギガベース日誌
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「へぇ、今の僕に当てるか」 最大火力が足止めにしかならないと理解すれば、それを足止めとして活かすのが精鋭の戦争である。高射砲の射線を避けるように接近した加賀によるコジマブレードの一閃が、湿る大気ごとその躯体を凪いだ。 #ギガベース日誌
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立て続けに愛宕の砲撃が海面を抉る。夾叉や散布界を考慮した修正はしていない。愛宕は、自分には死を避けながらそれを行う時間的な余裕もセンスも無いことを理解していた。 なにより、砲弾の直撃も、巻き上げられた海水によるPAへの侵害も、目の前の敵相手では大した差がない。 #ギガベース日誌
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伊勢と日向にとっても同様だった。 それが通りそうな海域に先んじで砲撃をばらまいておく。それが精一杯だ。 だが、それでも。 爆炎と水蒸気の坩堝から、その棲姫級個体は躍り出る。 傷一つついていない肉体と、輝きを失わない防護壁を見せつけるように。 #ギガベース日誌
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「飛鷹!スキャンまだか!」 「奴さんが速すぎて私のセンサーじゃおっつかないっての!」 敵の狙いは明確だった。早々に艦載機隊を失い、間に合わせの一般武装のみを残した飛鷹に対し、執拗な攻撃が向けられる。 #ギガベース日誌
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何より武蔵達を恐怖させるのは、それが展開するPAの異常な強度だ。 いくら砲撃やコジマ粒子を叩き込もうが、その粒子装甲は無尽蔵の供給を以て強度を維持される。 不可解にして理不尽。自分達の纏うそれがあまりにも頼りなく思える盾へ、ただ無意味な攻撃を続けることしか出来ない。 #ギガベース日誌
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「興味あり、と言いたいが……嫌な感触だ。どこか似ている」 焦燥と苛立ちに顎の力を強めていく艦娘とは対象的に、棲姫級深海棲艦『防空棲姫』は冷めきった声で言葉を漏らす。 「オブライエンの忘れ形見……しかもその駒だろう?飼い主の戦いをよく見ているのか、あるいは……」 #ギガベース日誌
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「突っ立ってくっちゃべってる場合かよぉ!」 無意識のうちに静止していた防空棲姫に伊勢が接近し、日本刀を模した対艦ブレードを突き刺した。 弾丸や破片以上の体積とそれなりの耐コジマ加工を施されているにも関わらず、PAに触れた部分から刀身が崩壊する。 #ギガベース日誌
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「実体剣でもっ……?!」 「あぁ、悪いね。適正が高すぎるのも考えものだな」 離脱する伊勢の方向に合わせたQBと同時に、防空棲姫はその右腕を掴んだ。粒子光の内側から伸びる純白の手は、防空の凶悪さとは裏腹に少女らしい細指を携えていた。 #ギガベース日誌
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「機体が思考を反映し過ぎるんだ。恐怖も、嫌悪も」 「ぎっ?!」 細指が一斉に伊勢の腕に食い込み、肉が断裂し骨に別れを告げる。ささくれ立った竹のようにへし折られた伊勢の腕が、先端から黒く染まっていく。 #ギガベース日誌
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「伊勢っ!!」 割り込んだ日向が振るったブレードが、まだ侵されていない伊勢の二の腕を叩き切る。日向はそのまま伊勢にしがみつきながらオーバードブーストを起動。深海棲艦化の進行は止まっていた。 「流石に熟れてるか」 「させないでありますよぉ!」 #ギガベース日誌
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伊勢達への追撃を阻むは、赤城とあきつ丸の2隻。戦艦達は攻撃手段をコジマキャノンに限定し、敵のPAが強度を維持できる限界点を迎えるまで汚染を拡大させる方針へ移行する。 「艦娘のくせに接近戦特化とは。君達は特段嫌な感触だよ」 「ハァ!怖気づいたでありますか!」 #ギガベース日誌
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「嫌気が近いかな」 4門の高角砲による攻撃を中止し、防空は執拗に追い縋ってくる赤城とあきつ丸の2隻を撒くための移動に注力する。 「僕はね、近接武装が嫌いなんだ。弾丸より早く動ける機体にわざわざ近寄って斬りつけようなんて不合理だろ」 「急に何をっ!」 #ギガベース日誌
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「だけど、そういうのを無視して、全て切り伏せてしまうような奴らもいる。君達は“それ”じゃないけど……思い出させるんだよ!その動きが!こびりついた動きがさ!」 収束する粒子光。致命的濃度のPAをそのまま突破力に変え、防空は爆発的な急加速で2隻を振り切る。 #ギガベース日誌
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実体ブレードすら通さない濃度の粒子を纏った相手との不意の接触は、船体そのものへのダメージと成り得る。刹那の判断で避ける2隻だが、その先にいるのは手負いの伊勢と日向だ。 「野郎、来やがった……!」 「腹括るよ、日向っ!!」 #ギガベース日誌
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赤城と飛鷹の艦載機隊の末路を踏まえ待機させていた瑞雲隊が一斉に発艦する。 発艦して間もなく尽くが撃墜されるが、伊勢と日向にとっては撃墜の際に撒き散らされたものが本命だった。 「煙幕だと?悪あがきにも質ってものが……いや、これは……」 #ギガベース日誌
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撃墜された瑞雲が今際に撒き散らした気体は2隻の艦影を包み隠すだけでなく、防空棲姫の電子制御系統へ明らかな悪影響を与えていた。 「……今はこんなものがあるのか。けれど」 漆黒と朱を貴重とした防空の艤装。その口蓋部が絶叫するように開き、蓄えた光を鉛色の雲の中に漏らした。 #ギガベース日誌
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「悪あがきの域は出ない」 聞き慣れない轟音がECMスモークの中から鳴り響いた直後、伊勢と日向は自分達の目を疑った。 コジマ粒子の収束阻害にも一定の効果を発揮する筈の煙幕の中から、アサルトアーマーと見紛う程の閃光が煌めき、自分達に向け再度の急速接近を開始したのだ。 #ギガベース日誌
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「あいつ、何を!」 「知るか!それより、どっちかが死ぬのは確実のようだ!散開して残ったほうが姉妹の敵討ち、といくか?」 「賛成!」 伊勢と日向は進行方向を大きく変えた。どちらかが標的となる事を前提に、同時にその命を失うリスクを避ける為に。 #ギガベース日誌
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防空から見て右方向。大和と陸奥のカバー範囲内に出た日向は、急激な減速を全身で感じた。 「何っ……?!」 真っ先に疑ったのは、先の接触の際に被ったコジマ汚染である。明確に光の壁として視認できるPAに近接したのだ。干渉に留まらない被害があってもおかしくはない。 #ギガベース日誌
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しかし、異常は推力の低下に留まらない。 PAの減衰。艤装全体の出力低下。インジケーターが示すコジマ粒子量の急激な低下。 回答は、煙幕の中から躍り出た緑光によって代えられた。 「馬鹿なっ……!」 #ギガベース日誌
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口蓋部に粒子を凝集させながら迫る防空棲姫の左手には伊勢の頭部がしかと握られ、身体は綿の足りていない人形のように揺れていた。 細指が圧入された伊勢の顔面が表情の認識がままならない程に壊れ、張り詰め裂けた皮膚組織が眼孔付近に集まり花弁の如く窄んでいる。 #ギガベース日誌
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