こしみずあかりマスターの総集編@宣伝週間のまとめ

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Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

【どらあわ参加者向けのお知らせ】来週10日(月)から14日(金)の5日間、当アカウントにおきまして総集編&全リアクション集の宣伝ツイートを行ないます。時間は各日共に22時台。一日5ツイート、合計25ツイートの予定です。ツイートは一連なりのちょっとしたお話になっております。

2011-01-07 22:00:03
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

【どらあわ参加者向けのお知らせ】なお、宣伝ツイートは総集編&全リアクション集の中身には一切関係ありません。オフィシャルではなく、当アカウントで勝手にやっていることです。総集編&全リアクション集にかかわるお問い合わせにも答えられませんので、その点はご了承ください。

2011-01-07 22:05:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

【どらあわ参加者向けのお知らせ】クジラが出た場合は時間がずれるかもしれません。いずれにせよクライアントソフトの予約機能でポストする予定です(このお知らせもそうです)。宣伝ツイートはこちらでまとめ読みができます。http://twilog.org/AkariKoshimizu

2011-01-07 22:10:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

ありがとうございます。あえてお知らせにはハッシュタグを付けませんでした。ひとつは宣伝ツイートの内容と伝播速度の関係から。そしてもうひとつの理由は……。

2011-01-07 23:15:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

そろそろですね。宣伝になっていれば幸いです。

2011-01-10 21:55:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

【第一話:島、揺れる】冬の通学路は生徒達も心なしか背が低い。カバンを持つ手を制服の袖に引っ込め、総集編買う代[そうしゅうへん・か-よ]は黙々と道を急いだ。長い黒髪はツヤと不思議な軽さゆえ、遠くからも一目で判る。それを目印にひとり二人と、彼女の周りには友人が集まる。

2011-01-10 22:00:21
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

「おはよう、買う代!」「あっ、おはよう……」「なに? 元気無くない?」異変を見抜かれ買う代は愛想笑いを返した。昨夜の夢は最悪だった。その余韻が今でも彼女をむしばんでいる。高校二年生特有の「来年の身の振り方」という悩みではない。ある“家庭の事情”が、夢にまでも現れたのだ。

2011-01-10 22:05:03
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

俯き加減に足元を確かめながら、リズミカルに歩みを刻む。その単調さに買う代は意識をまどろませた。この冬をもって、彼女の父――総集編高久根[そうしゅうへん・たかくね]は“海力”(かいりき)を引退する。海力とは船乗りのことであり、父の齢と仕事の過酷さを考えれば無理もなかった。

2011-01-10 22:10:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

海力は、ここ十数年で伸張してきた“空力”(くうりき)に取って代わられ、産業として立ち行かなくなりつつあった。毎年この時期には引退を控えた海力が、苦楽を共にした船を後進に譲る。その資格は十五歳を迎えた子供達に与えられるのが島の慣わしだった。「だった」という、栄えある過去の話である。

2011-01-10 22:15:05
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

近年、海力達は愛する船を、誰に渡すこともなく廃棄し続けている。次代の担い手がいないのだ。父もまた、そうした寂しい終わりを迎えるのか。そう思うと、買う代の心は重く沈んだ。しかし――この時の彼女には、ひとりの少年が総集編家の船を受け継ぐことになるのを、まだ知るよしもなかった。【続く】

2011-01-10 22:20:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

昨日判った。この企画最高に恥ずかしい。まぁだからこそやるんだけど。

2011-01-11 21:55:04
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

【第二話:ふたりの、友情】時折放たれる教師の視線が痛い。それにも構わず、前の席の友人は堂々と机に伏している。勉学励美[べんがく・はげみ]は眼鏡越しに前方を窺い、シャーペンを持つ手をゆっくりと伸ばした。そして教師が黒板に向かったその隙に、友人の首筋目掛けて芯の先を爪で折り飛ばした。

2011-01-11 22:00:05
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

「なんでボクまで……」廊下に立たされ励美がぼやく。一方で友人は「許してくれ!」と拝むように頭を下げる。大仰ながら嫌味にならない仕草に、励美の毒気は不思議と抜けていった。良くも悪くも感情をあからさまにするのが、この少年、全リア集予約太[ぜん-しゅう・よやくた]の“らしさ”であった。

2011-01-11 22:05:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

連帯責任として出された廊下はしんしんと冷える。「また夜中まで勉強してたのかよ」「そうなんだけど、やっぱ難しいな!」目をこすりながら予約太は言う。この“勉強”は義務教育と何ら関係が無い。船舶の操縦技術の話なのだ。予約太は毎夜の如く、寝る間も惜しんでテキストに向かっているのだとか。

2011-01-11 22:10:03
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

それもすべて、この冬に新たな海力として島の数少ない船を継ぐためである。「俺、明日、買う代先輩のところへ挨拶に行こうと思うんだ」「いよいよか」「あぁ」「……わかった。ボクも付き合うよ」「いいのか?」「もちろんだとも」励美がひ弱な手でグーを作り、予約太のこぶしにコツンと当てた。

2011-01-11 22:15:03
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

名前の響きと小学校高学年頃から額が目立ってきたこともあって、励美はクラスメイトの大半から不名誉な呼ばわり方をされている。ところがなぜか予約太は、初めから励美に対して真摯に接してきた。二人は行動を共にするたび、その心の結び付きを、きつくきつく新たにしてきたのであった。【続く】

2011-01-11 22:20:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

【第三話:立ちはだかる、壁】総集編家は島の中でも高い部類の家柄なのだろう。玄関までの飛び石の数がおよその格式を表している。門をくぐり、キョロキョロと浮き足立つ勉学励美に引きずられることなく、何食わぬ顔で全リア集予約太は呼び鈴に手を掛けた。その時、内側からガラリと戸が開けられた。

2011-01-12 22:00:04
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

家の中からは、予約太とほぼ同じ背格好の少年がゆらりと姿を現した。ぶつかりこそしなかったとはいえ、眼差しは予約太を見据え、先を譲ろうという様子を一向に示さない。予約太や励美のブレザー姿とは異なり、少年は学ランを身にまとっており、長い前髪の間から片方の目だけを冷たく覗かせている。

2011-01-12 22:05:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

と――、脇を通り過ぎようとした少年の肩が、わずかながら予約太の左腕の付け根にぶつかった。出会い頭の衝突。だが少年は何も言わずただ立ち去っていく。「なんだあいつ……!」不躾かつ喧嘩腰の態度にグラグラと沸き立つ予約太。その諍いの最中にも、励美の心中には何かが引っ掛かり始めていた。

2011-01-12 22:10:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

上りかまちに買う代が立っていたところをみると、件の少年を見送りに来ていたのだろう。快活に挨拶を述べ、予約太と励美も中へと上がる。案内に従い、廊下で一度正座しふすまを引くと、奥には家長たる総集編高久根が控えていた。人生を海力として全うした男の威厳は、凪いだ水面のように穏やかである。

2011-01-12 22:15:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

自ら進み出て、予約太は高久根の真向かいに着座した。一切の物怖じが見られない。男子の未来ある姿を目にし、高久根は喜ばしげに告げる。「引退する年に二人も海力を継ぎたいという少年が現れたことは、何よりのはなむけだ」その“二人”という言葉に、励美は全身の血の気が引くのを感じた。【続く】

2011-01-12 22:20:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

【第四話:影の、形】海力を継ぐ十五歳の子供は、その冬引退する船乗りのもとを訪れ、型通りの挨拶を済ませなければならない。それが儀式のほぼすべてであり、あとは引継ぎが島に認知されれば晴れてスタートとなる。「ただし、あくまでも候補者がひとりであればの話だ」総集編高久根は語気を強めた。

2011-01-13 22:00:04
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

「もし海力を継ぐ者が複数現れた場合は、決闘により勝者を決める。それがこの島の伝統である」「決闘?!」厳粛な場に不似合いな声を、買う代は無意識に挟んだ。彼女が物心付いてからは、一度たりともそのような前近代的かつ暴力的な争いが島で起きたことはない。ひとえに海力の衰退が原因といえよう。

2011-01-13 22:05:02
Akari Koshimizu @AkariKoshimizu

全リア集予約太は初めこそ目を見開いていたものの、乾いた地面に水が染み込むように事態を飲み込んでいった。双眸に静かな炎が灯り、「わかりました」と揺ぎ無い契りを結ぶ。その言葉に高久根は相好を崩した。黒い所が少なくなった角刈りが夕日に映える。買う代と勉学励美は眉根を寄せるばかりである。

2011-01-13 22:10:03