- eighter_rieko83
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【シナリオ】 1 「来週の水曜日?」 同僚で親友のりえこからのお誘い。 「そう、ウチでさ、みんなで飲み会しよって章ちゃんが。」 「みんなって?」 「あたしとー、章ちゃんとー、大倉くんとー、もちろんすばるくん!章ちゃんに呼んでもらうから♡ねっ?来るでしょっ?」
2015-10-05 20:22:412 わたしがすばるくんのこと好きなのは彼女しか知らない…いや、これで安田くんにもバレたってことか…。 しかも、来週の水曜日っていったらわたしの誕生日じゃん…りえこは分かって誘ってるのかな? それとも偶然?? 「じゃー、決定ねっ!!」 結局返事聞かないまま、決定された。
2015-10-05 20:22:483 ―――――― 当日、仕事が終わり、車で来ていた安田くんの車でりえこの家に向かうことに。 運転はもちろん安田くん。 助手席には彼女のりえこ。 「奥乗りや。」 ぶっきらぼうなすばるくんの言葉に、静かに頷いて、素直に言うことをきく。 「おまえはデカイねんから端じゃ。」
2015-10-05 20:22:574 「なにそれぇ~!あっはっは!」 わたしの後に乗り込もうとした大倉くんを押しのけて、すばるくんがわたしの隣に。 なんか…こんな近くに座ることなんてないから…なんだか緊張するな…。 同じ会社とはいっても、部署も違うし、こうやってりえこや安田くんに誘われないと会うこともないし。
2015-10-05 20:23:005 だから、勝手に片思いしてるけど、彼がどう思ってるかなんて…知りたいけど知りたくない…。 たまに会う、友達の彼女の友達…。 遠いなぁ…。 車がカーブを曲がるとドンってすばるくんの肩がぶつかった。 「あっ…すまん…。///おい、ヤス!運転荒いぞ!///」
2015-10-05 20:23:036 「ごめんごめん~!」 安田くんとりえこが前方でケラケラと笑う。 もぉ~…もしかしてワザと??/// りえこの家に到着すると、車のドアを何気におさえてわたしを降ろしてくれるすばるくん。 顔はこちらを見てないけど、わたしが降りるのを確認して、ドアを閉めた。
2015-10-05 20:23:097 彼は別に無意識なんだろうけど、片思い中の身としては、こういうの、嬉しくて嬉しくて堪らない。 「あ…ありがとう…。」 「ん…。」 振り絞ってお礼を言うと、無表情のまま小さく返事してくれた。 「おっじゃましまーす!!うわぁ~キレイにしとる~♪」 大倉くん何故かはしゃぐ。
2015-10-05 20:23:148 「きのう、めっちゃ掃除したもんねーっ!」 「俺も手伝わされてん!」 「ちょっと、でしょ~っ!」 そんな3人の後ろで、無言のすばるくんの背中を追ってわたしも部屋に入る。 「大倉くーん!野菜切ってぇ~!」 「えっ?!俺ぇ?」 「料理得意やろ?大倉は調理要員やから!」
2015-10-05 20:23:269 「その為に呼んだんかぁ~!」 手伝おうとキッチンに近づくと、りえこにビールを2本渡された。 「すばるくんと飲んでて♡」 耳元でそう囁かれる。 えっ?! びっくりして顔を見ると、うんうんと頷きながら背中を押された。 押されるまま、すばるくんの前へ。
2015-10-05 20:23:3210 「あ、あのぉー…先に飲んでてって…。」 「おー?ありがとう…。」 ひとつ渡して、彼がプルタブ引くのを確認して、わたしも開ける。 「じゃ…かんぱい…。」 ちっさな声で、ちょっとだけ照れたようにして、缶をぶつけるすばるくん。 「か…かんぱい…。///」
2015-10-05 20:23:3711 だめだ…照れすぎて、緊張しすぎて絶対顔赤いし、手は震えるし…。 静かなわたしたちなんか、気にもしない様子で、キッチンの3人は騒がしい。 「できたでぇー♪」 大倉くんが鍋をかかえてやって来る。 「もー、寒くなってきたからね~!」 そう言って鍋の蓋を開けるりえこ。
2015-10-05 20:23:4212 「うわぁ~♪めっちゃうまそー!」 「つかさ?鍋って野菜切るだけやん!俺必要やったぁ?」 「必要!必要!ありがとうございましたぁ!」 「大倉ぁ、ありがとぉ~♡」 「あっ、章ちゃん飲み物っ!」 2人が飲み物を持ってきて乾杯…。 「「「お誕生日おめでとー!!」」」
2015-10-05 20:23:4613 えっ…?! 驚いて、差し出したまま止まったグラスに、みんながグラスを合わせる。 「おめでとぉ…。」 最後にすばるくんのグラスがぶつかる。 「あっ、ありがとぉ…!///」 りえこがちょっと悪戯な顔をして「びっくりした?」って。 「すごく…!すごくびっくりした!」
2015-10-05 20:23:5114 てっきり忘れてるかと…。 自分だってすばるくんと一緒なことに舞い上がって、ちょっと忘れてたくらい…。 「飲も飲も!食べよ食べよ!」 「その前にプレゼント!!…はい!これ、みんなから♡」 「えっ…あっ、ありがとぉ…!!」 中には手触りのいいストール。
2015-10-05 20:23:5515 「これ…わたしの好きなブランドの…。」 「でしょでしょ!新作らしいよ!」 「ありがとぉ…!」 「よしっ!食べよっ!」 そこからわいわいと盛り上がる。 「ぁあっ!よこちょからテレビ電話ー!はいはーい?よこちょー?」 安田くんがスマホに向かって手を振る。
2015-10-05 20:24:0416 『おー!ヤス!ちょ、うるさいて!』 電話の向こうも何やら騒がしい。 「横山さん、お疲れさまでぇす!」 りえこが隣から安田くんの手元を覗く。 『おー!お疲れー!〇〇ちゃんはぁ?おまっ、痛いやろ!』 『おっつかれー!!』 この声は…村上さん?
2015-10-05 20:24:0917 「〇〇ちゃんに代わるなぁ~。はい!」 回ってきた安田くんのスマホ。 画面を見ると、総務部の横山さんと村上さん…と、後ろに生田さん…? 『〇〇ちゃん、お誕生日おめでとぉ!』 『おめっとさーん!』 『やから、おまえ押すなって!』 小競り合いの後ろから生田さんが手を振る。
2015-10-05 20:24:1318 『〇〇ちゃん、お誕生日おめでとー!俺と同じ誕生日なんだってねぇ!』 「あっ、はい!ありがとうございます!生田さんも、おめでとうございます!」 『ありがとー♪』 予想してなかった電話に、思わず早口。 生田さんはそんなわたしにも余裕で、ニコッと笑ってから手をヒラヒラさせた。
2015-10-05 20:24:1919 確か、この3人…とすばるくんは同期…。 向こうは向こうで盛り上がってるってとこか…。 『ほんなら、また会社でなー!』 『来年は合同でお祝いしようねー!』 「はっ、はいっ!」 そのまま電話は切れた。 「来年は合同かぁー!もーすんごいことなりそーやなぁ!」
2015-10-05 20:24:2720 スマホを受け取りながら、安田くんが楽しそうに笑った。 その時、ピンポーンって音が。 「誰か来た!」 りえこが慌ててモニターを確認しに行く。 その間も何度もなるインターホン。 「あっ!亮ちゃんとまるちゃんだよ!」 「えっ!あいつら来たん?!」
2015-10-05 20:24:3021 程なくして部屋に入ってきた2人。 入ってくるなり怒った声の錦戸くん。 「もーなんで呼んでくれへんねん!!」 「あーごめんごめん!亮忙しそうやったからさー!」 「それは1週間前の話やろー!とりあえず声かけてくれたら良かったやん!!」 「ごめんてぇ…。」
2015-10-05 20:24:3522 拗ねる錦戸くんが、ちょっと落ち着いた頃、丸山くんが。 「僕は?僕はなんで呼んでくれんかったん?!」 「まるー…忘れとった…。」 「えぇっ?!」 「あっはっはっは!!」 2人が来たことで、より一層盛り上がる。
2015-10-05 20:24:4023 ―――――― 気付いたら…………あれ?? 真っ暗…飲み過ぎちゃったな…どうやって帰ったんだろ…? …あれ…? 寝息が聞こえる…。 てか…自分の家じゃない…。 暗闇に慣れてきた目を凝らしながら、寝息の聞こえた右へカラダを向けた。 …錦戸くん…!!
2015-10-05 20:24:4624 長い睫毛だなぁ…。 って、ちがうちがう!! そんなこと考えてる場合じゃない!! えっと…ベッドの上…ではないね…ホッ…。 でも毛布…りえこが掛けてくれたのかな…。 あれ…? 寝息は錦戸くんの向こうからも聞こえる…そっか…リビングでそのまま、みんな寝ちゃったんだ…。
2015-10-06 20:36:5325 そっか…ようやく全容が…って…すばるくんはっ?! 確か隣に座って…あっ…! 背後で…誰か動いた…。 寝返りうったのかな…わたしの上の毛布がモソモソと動いた…ってことは…同じ毛布掛けて寝てるってこと…? か、確認しなきゃ…。 すごく…ドキドキするけど…。
2015-10-06 20:36:56