- eighter_rieko83
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51 ―――――― 「あれ?すばるくんは?」 電車を降りて徒歩で会社へ向かう道、背後からりえこの声。 振り返るとりえこと安田くん。 「おはよぉ~♪」 眉間に小さくシワを寄せてキョロキョロするりえことは違って、安田くんは穏やかに笑って朝の挨拶。
2015-10-07 19:20:1452 “あいつらに色々イジられるんイヤやからな、俺1本遅いのんで行くわ。” そう言ってホテル近くの駅で彼と別れた。 …とは言えないから…。 「なっ、なんで…?///」 赤くなる顔を見られないように、前を向き直す。 「わはぁ♪へぇ~♪」 安田くんは何かを妄想して喜ぶ。
2015-10-07 19:20:1953 「えっ?えっ?まさか、そのまま家に送り届けられた…とかじゃないよねっ?!」 りえこが焦ったようにわたしの顔を見ようとする。 「相手はしぶやんやでぇ~?ないない!(笑)」 でも…そうなりそうだったんですけど…。 「ほんとにぃ?あたし、聞かれ損してないっ?!」
2015-10-07 19:20:2454 「“聞かれ損”…?!」 思わず足を止めて、2人を見る。 2人はハッとしたような顔をして、明らかになんだか様子がおかしい…。 「やっ…その…俺酔っ払ってもぉてぇー、なんかそのー…ちょっと…なっ?なんか、なっ?いらんことしようと…して…?」 …もしかして…。
2015-10-07 19:20:3155 「…もしかしてだけど…あれ、ワザとだった…?」 目をまぁるくする2人。 「えっ?やっ…やから、酔っ払って…、」 「昨日のん成功して良かったなー?!」 「りょ、りょお!!」 りえこと安田くんの間に来た錦戸くん。 わたしがいることに気付いて固まった。
2015-10-07 19:20:4456 …ははぁ~ん…あれは…仕組まれたことだったわけね…。 「せやから、なんやねん!」 錦戸くんの更に後ろから、大好きな人の大きな声が聞こえた。 「なんやねんてなんやねん!人がせっかく色々あいつらと相談して…あれ…?」
2015-10-07 19:21:1257 すばるくんの肩を抱いて、喋っていた横山さんが錦戸くんの後ろで、彼と同じように固まった。 「えっとぉ…俺ら先行くわ~朝揃えとかんといけん書類あったからぁ…。」 安田くんがりえこの手を引っ張って、ゆっくりとその輪から離れていった。
2015-10-07 19:21:4158 「よっ、横山くん!!俺らもアレやないっ?!」 「えっ?!おっ、おー!!そーやな!!アレやな…!!アレ!!」 2人もそそくさと離れて行った。 「…なんなんやもー…。」 「……………。」 キレイに締めたネクタイを少し緩めながら、溜息をつく彼。
2015-10-07 19:22:1859 「イジられるもなんも…俺らきのうから既にイジられとったんやんけ…。」 ガッカリしてるみたいな隣の彼を見つめる。 チラっとわたしを見て「行くで」って歩き出す。 慌てて後に続く。 「わざわざ電車遅らせたん、全然意味なかったやん…。」 ヒトリゴトをぶつぶつ言う。
2015-10-07 19:22:3360 「あ………選んどいてアレやけど…、」 彼がまたチラっとわたしを見る。 それからまた顔は前に向けて、わたしの首元を指差した。 「それ、めっちゃ似合うてるで…。///」 彼が選んでくれたネックレス…そっと触れて、彼のあとを歩いてく………。 Fin.
2015-10-07 19:23:00