中国がユネスコに申請した南京事件の被害者数は「30万人」だけではない！？

中国の現代社会を専門に研究している社会学者・天児慧氏による現代中国史の概説書。辛亥革命から本書が書かれた2004年までの中国の歴史を描いた教科書的な本であるため、南京事件に関する記載はあくまでもほんの一部。
この天児慧氏の著書から刊行が始まった講談社の『中国の歴史』シリーズは中国語に翻訳され、中国で大ヒットするが、この天児慧氏の「巨龍の胎動」は検閲の関係により、中国では出版されていない。

　天児慧『中国の歴史11 巨龍の胎動』76ページには南京虐殺（南京事件）の虐殺の数に関して、4万人（秦郁彦説）、5～6万人説（ラーベ日記）、11万9千人説（極東国際軍事裁判説）、30万人（中国公式数字＝おそらく戦死者を含む）が紹介されている。

　なお、本書の380ページには、この南京虐殺（南京事件）に関して、天児氏の考えを中国の学生たちに述べた所、この問題について、なるほどとうなずいていた学生がいたことを認めつつも、日本とのかなりの溝を感じたという。

　また、東京裁判の被害者数は当初、11万9千人とされていたが、最終的な判決では20万人となっている。

NNNのドキュメント番組『南京事件 兵士たちの遺言』について

中国がユネスコに提出したっていう南京事件関係の文書はどこで見れるの？

中国がユネスコに提出した文書では東京裁判の20万人説も・・・・・・！？

中国がユネスコに提出した文書では、9ページ目に「The International Military Tribunal for the Far East confirmed in
its judgment that over 200,000 Chinese were killed(極東国際軍事裁判では20万人以上の中国人が殺されたと判断された)」と書かれており、冒頭の要約にもこちらが採用されている。

以下、訂正

http://d.hatena.ne.jp/scopedog/20151016/1445013319
とんでもない勘違いをしておりました。

　当初、勘違いをして次のように書いておりました。

　「中国がユネスコに提出した文書には上記の東京裁判の判決の他、「The Nanjing War Criminals Tribunal concluded that “at least
300,000 Chinese were killed（南京国際軍事法廷では少なくとも30万人の中国人が殺されたとした）」と異説として紹介されているのみにとどまっている。
　つまり、この文書の中では南京事件の被害者は中国政府公式見解である30万人とは決めつけていないのである。多くの人が南京事件の「世界記憶遺産」への登録を以て、「ユネスコが中国政府の主張する南京事件の被害者は30万人という主張を認めた」と誤解しているように思うのだがそうではないのである。

　また、このことから中国政府が安直に自分たちの主張を押し通したのではなく、少しは登録申請が通りやすいように慎重にこの文章を検討したのではないだろうか？」

きちんと確認をしてみたところ、下の記事で指摘されている通り、確かに東京裁判の20万説と南京軍事法廷の30万を並記したうえで、南京軍事法廷の数字の方が正しいというものでした。申し訳ございません。これにともない、このまとめのタイトルをはじめ、見出しや最後のまとめなどを変更いたしました。

　また、誤りのご指摘、たいへん感謝いたします。

訂正ここまで

もちろん、南京事件の被害者には20万人か30万人かだけでなく、他にいくつも説があり、ここには問題があるが、元来の日本政府の考え方などを合わせてみると、いきなり拠出金を停止するのは危険ではないか？

それじゃあ、日本政府は南京事件についてどう考えているの？

外務省のホームページには歴史問題について、日本政府の考え方が示されている。