クソ童話第二団『スペース•キャンサー物語』第一章『旅のはじまり』

魔法瓶@27歳ぽっちゃり喪女💦🍑 @ushijimaou

クソ童話第二弾 『スペース•キャンサー物語』 第一章 旅のはじまり ① むかしむかしの話ですーー ガキの頃よりワイは母親（オカン）ちゅうモンの姿を思い出せんかった。ワイから数えて200匹上、言い換えれば一番上の兄貴がおりまして、何でもサルっちゅう奴に殺されたそうですわ。

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② ワイは一番小さかったらしく、そのサルの仇討（あだうち）には参加させられへんかったらしい。

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③ ーーー ある時、やさグレ度マックスだったワイはキレたんですわ。どこかの歌唄いが言っとった15才の夜、いや、ワイらは「皮を脱ぐ回数」で一つ歳をとるとみなされとるから、15脱皮才の頃でしたわ。 ④に続く

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④ 「もうこんな家でたるわぁ！」理由は覚えとらんけど、些細な話やったと思う…兄貴たちと大げんかして最後にそう叫んだことだけはハッキリ目の前で今も思い出せる。 ⑤に続く

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⑤ 風呂敷に地図、水、小魚の干物…必要そうなモン入れて、背中に背負って、さかさか行きましたわ。横目で見ることしかできんので、振り返ることはできひんし、するつもりもなかったわ。 ⑥に続く

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⑥ 森は深くて暗うて、夜は何が出るかわからんし、ワイらを食べる身体のデッカイ奴らがおるかもしれんから、森を抜けるのに数ヶ月かかりましたわ。夜は朽ちた木にできた洞穴か岩のトンネルで休んどった。 ⑦に続く

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⑦ 本来夜はワイら得意やし、時折散歩したり、走って小さな虫をとって食べたりしたけど、それでもあんま動いたことにならんかったみたいで、節々が痛なってたわ。 ⑧に続く

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⑧ 森を抜けてしばらくたったある日、地面が硬い場所に出たんですわ。森でも林でもなかったからその時はただただ不思議やったけど、ワイらより大きなケモノがよう通る道だからだ、という風には考えとった。 ⑨に続く

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⑨ 疲れたし、ちょっと休もう思うて 自分の身体より高くて大きい、木の板が組み合わさって出来た四角いフタのない箱に、丸い枠が沢山の柱を束ねる軸と繋がって両端についとる、台があったんすわ。 ⑩に続く

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⑩ 台の中底にはゴザが敷いてあったし、何かの動物の皮で荷物を固定しとった。「これはエエ休みどころちゃうかな？」そう思うた。 ⑪に続く

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⑪ 丸い枠をよじ登り…隅っこで脚をたたんで一休みしよかと思った時、ガタン！って音がしたと思うたら、大きく揺れ始めたんですわ。「こいつ…動きよるがな！？」 …台は台でも、台車やったんやね。 ⑫に続く

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⑫ 青二才のワイはこの時、この車がどこへ行くかわからんかったし、自分がどうなるんかまだ知る由もなかったですわ。 そう…これがワイの旅の始まりですわ。 第二章『カニ、ギリシャへ行く』に続く…