アンド・ストライク・ア・ゴング　＃３（再放送）

劉度 @arther456

◇◇◇◇◇◇◇ ←九十一式徹甲弾

劉度 @arther456

（これからSSを投下します。TLに長文が投下されますので、気になる方はリムーブ・ミュートなどお気軽にどうぞ。感想・実況などは #ryudo_ss をお使いいただけると大変ありがたいです。忙しい方はまとめ版をどうぞ。それでは暫くの間、お付き合い下さい）

劉度 @arther456

《お待たせいたしました！》暗殺拳同士の激闘によって荒れた闘技場を修復するまで、少しの時間がかかった。提督が遅い夕飯を食べる余裕があったほどだ。アナウンスを聞いて、提督は弁当箱の蓋を閉める。《これより第三試合を始めます！》相手側のベンチから新たな艦娘が現れる。 1

劉度 @arther456

《九十九種類の武術をマスターし、なおかつそれを科学的に分析した超実戦研究家！バトル・サイエンティスト、夕張の登場だァァァ！》水色の髪の少女が、白衣を翻して現れた。《対する挑戦者チームは、なんと！伝説の武術を受け継ぎし者が現れたぞ！アフガン航空相撲の横綱、大鳳！》 2

劉度 @arther456

提督側からは、いつもの服装の大鳳が現れた。ただひとつ、決定的に違うところは頭にターバンを巻いていること。アフガン航空相撲における試合用の正装だ。「今まで何度か取組を見てきたけど……ウチの大鳳は強いぞ」「そりゃ楽しみじゃのう！ブッヒッヒ！」提督とカネモチの手にも力がこもる。 3

劉度 @arther456

「アフガン航空相撲……私の百種類目の武術に加えるには、相応しい相手ね」リング上の夕張は指を軽く曲げ、掌を下に向け前に出す奇妙な構えをとる。それを見た大鳳は驚愕した。「その構えは、まさか……かつてアフガン航空相撲の横綱を打ち倒した、古代ローマカラテ！？あれは滅びた武術のはず！」 4

劉度 @arther456

「私が復活させたのよ。あらゆる古文書、神話、伝承を解析し、なおかつ古代ローマカラテから派生したと言われるボックス・カラテや、セゴビアの水道橋のアーチも研究し尽くしてね。このバトル・サイエンティスト夕張に、扱えない武術はないわ」語る夕張の体は絶妙に脱力して、隙がない。 5

劉度 @arther456

「なるほど……それなら二千年前の横綱たちの無念、ここで私が晴らしましょう」大鳳も仕切りの姿勢をとった。「さすがね。それでこそ、横綱」夕張も満足気に笑い、大鳳の気を正面から受ける。場は整った。《第三試合！フリート・コンバット！セイリィィィ・ゴォォォ！》 6

劉度 @arther456

【アンド・ストライク・ア・ゴング】＃３（再放送）

劉度 @arther456

医務室。ここは闘技場の熱狂から隔絶されている。清潔に保たれた室内には、ベッドに寝かせられた熊野と、それを見守る艦娘たちがいる。「熊野は大丈夫なのか？」木曽が問うと、手当していた明石は意外と明るい声で答えた。「ええ。しばらく大人しくしていれば、すぐに治りますよ」 7

劉度 @arther456

熊野は意識を失い、いくつも打撲を受けているものの致命傷は負っていなかった。その打撲も酷いものではなく、安静にすればすぐに治るものだ。「そうか……よかった」木曽が安堵の息を漏らす。そんな彼女に声がかかった。「Yah-man,木曽。第三試合が始まったぜ。Warm upしとけよ？」 8

劉度 @arther456

やってきたのは日本人離れした大柄な人影。金剛――否、ジャマイカからやってきた金剛級一番艦、通称ジャンゴウである。「わかった。明石、後は頼む」木曽はジャンゴウとともに医務室を出て、トレーニングルームへ向かう。大鳳の戦いが終われば、次は木曽の出番だ。 9

劉度 @arther456

途中、廊下にたむろする黒服の集団の横を通り過ぎた。黒服たちは下卑た視線を木曽に向けてくる。「嫌な連中だな」角を曲がって、男たちの視線が遮られてから木曽が呟いた。闇コロッセウムにうつつを抜かす連中だ。表社会に出られないほど仕事も品性もネジ曲がっている。 10

劉度 @arther456

「全くだ。girlの戦ってるところ見て喜ぶなんて、サイテーの変態だな」ハッパに火をつけながらジャンゴウも同意する。「提督はここを潰すって言ってたけど、どうやって……ん？」ふと、木曽の視線が半開きのドアの中を捉えた。「……おいっ！？」途端に目を見開き、木曽が部屋に飛び込む。 11

劉度 @arther456

「ワッザ！？」ジャンゴウも後に続き部屋に入ると、木曽が床に倒れた金剛を抱き起こしているところだった。ジャマイカではない、帰国子女の方だ。「どうした金剛、しっかりしろ！」彼女は英国式格闘技・バリツの腕を買われて補欠としてこの闇コロッセウムに来たのだが、どうしてこんなところに？ 12

劉度 @arther456

「う……」木曽に揺すられ、ようやく金剛が目を覚ました。「大丈夫か、金「ﾌｯﾌｩ――――ｗｗｗｗｗ」奇声が上がった。「ガンジャを吸いたいネーｗｗｗｗｗ」「ガンギマリだこれ！？」「ヴィッカース社がカフェイン決めながら作った金剛ﾃﾞｰｽｗｗｗﾌｯﾌｩ――――ｗｗｗ」 13

劉度 @arther456

「……ジャンゴウ、お前……」「Wait, wait.俺じゃねえ。girlには吸わせねェ主義なんだ。神に誓ってもいい」ふと、木曽の目に机の上のティーカップが目に止まった。香ばしい香りが漂ってくる。木曽はすぐにその中身に気付いた。「コーヒーだこれ！？」 14

劉度 @arther456

紅茶党の金剛は、コーヒーを飲むと屈辱の余りガンギマリになってしまうのだ。控室にコーヒーは無かったはずだが。「一体誰が……ッ！？ジャンゴウ、後ろ！」「Ah?」振り返ったジャンゴウの目に写ったのは。「スッゾオラー！」ドス片手に突進してくる、ヤクザである！ 15

劉度 @arther456

「Damn it!」刃が刺さる前に、ジャンゴウがヤクザの顔面に蹴りを放つ！「グワーッ！」吹き飛ばされるヤクザ！しかし、次々と武装ヤクザが入室してくる！「ザッケンナコラー！」「スッゾオラー！」「チェラッコラー！」「イヤーッ！」「グワーッ！」躍りかかった木曽がヤクザを一人撃破！ 16

劉度 @arther456

「何だこいつら！」「分かんねェ。とにかく部屋を出るぞ！」そう言うと、ジャンゴウは部屋にあったソファを持ち上げた。「オラァ！」そして入り口に向け投擲！「「「グワーッ！」」」射線にいたヤクザたちがなぎ倒される。突破口は開かれた！ 17

劉度 @arther456

「どけぇっ！」金剛を担いで木曽が部屋を飛び出す。続いて追いすがるヤクザを吹き飛ばしてジャンゴウも部屋を出た。「「「ザッケンナコラー！」」」だが曲がり角の奥から増援だ！「Shit!ここは俺が食い止める！木曽、お前は提督のところまで逃げろ！」「すまん！」 18

劉度 @arther456

「ドケッコラー！」ヤクザのメリケンを躱し、ジャンゴウがボディーブローを放つ！「グワーッ！」更にそのヤクザの体を持ち上げ、後ろにいた棍棒ヤクザに投げつける！「「グワーッ！」」更に部屋からジャンゴウを追ってきたヤクザに裏拳！「グワーッ！」ヤクザたちがたたらを踏む！ 19

劉度 @arther456

「Yah-man,こんなモンか？これならオーチョ・リオスのギャングの方がまだ骨があったぜ」ジャマイカからやってきたのは伊達ではない。少年時代からストリートでの荒事には慣れている。「ザッケ……」「Yeah!」「グワーッ！」先手を打ったジャンゴウのキックだ！ 20

劉度 @arther456

手近なヤクザの襟を掴み、顔面を殴りつける！「グワーッ！」更にそのヤクザを投げ飛ばし、倒れたドスヤクザの上に放り捨てる！「「グワーッ！」」力強く残心を取るジャンゴウ！「グワーッ！」「Oh!?」彼の背中に何かがぶつかってきた。「What'a……木曽！？」 21

劉度 @arther456

彼の後ろに倒れていたのは、逃げたはずの木曽と金剛だった。「ごふっ……」木曽の体はボロボロである。「Shit!テートクに貰った大切なハーブが！」金剛は未だラリっている。「ワッザ……」「フン。仲間を庇って手傷を負うとは、甘いものだな」 22