「おい!逃げるんだ!」俺は棚に付くと、二人に向かって叫んだ。ホタルは、すでに泣き止んだらしく、二人は気まずそうに立っていたが、俺の必死の形相を見て悟ったのか、俺の方を見て頷くと、棚の奥へ向かって走り出した。
2015-11-02 21:34:36走りながら、ホタルが後ろを振り返る。「ちょっと!アレは一体なんなのよ!!」「まさか。幽霊かぁ!?」ニット帽の男もチラッと後ろを見ると、大声で叫んだ。このスーパーはそう広くない。このままでは、撒くことは出来ないだろう。
2015-11-02 21:37:14俺は前を走る二人を見る。そして、後ろを振り返る。やるなら今だ。俺は手近な棚を掴むと、乱暴に引っ張り倒した!ガッシャーン!!派手な音を出して棚が倒れる!
2015-11-02 21:46:35とにかく一旦落ち着こう。俺は息を整えると、二人に話しかけた。「これからどうする?」答えたのはニット帽の男だ。「とにかくここから出ようぜ!?」「ダメだ。出口の自動ドアは開かなくなっている」「おい、マジかよ!」「ねぇ、何かおかしいと思わない?」今度はホタルが話しかけてきた。
2015-11-02 21:59:17店員がいそうなのは...「関係者以外立ち入り禁止エリアだ」「行ってみようぜ」ニット帽の男が俺を見て言う。「あいつもいないみたいだしね」ホタルは棚から少し身を乗り出すと、通路を確認しながら言った。
2015-11-02 22:07:51俺たちは音をたてないように、慎重に通路を移動すると、惣菜コーナーの隣の扉の前に立った。鉄製の引き戸には小さな窓と「関係者以外立ち入り禁止」の文字。俺たちは、もう一度辺りを確認すると、扉を開け、中へと入った。
2015-11-02 22:10:03そこはおそらく厨房だろう。様々な調理道具が置いてある。そして、人の姿はない。ここにもいないのだ。俺たちは暗闇の中辺りを探索した。「ねぇ、こっち!」ホタルが声をあげた方へ行くと、そこには、先程と同じような鉄の扉があった。「入ろう」俺は扉を開けた。
2015-11-02 22:12:58「わたしは、こっちを見る」ホタルは棚の手前の通路を指差して言った。「俺はどっちでもいいぜ?どうする?」ニット帽の男が訪ねてくる。
2015-11-02 22:15:36...建設計画...墓地... 暗くてはっきりとは読むことが出来なかったが、それは、このスーパーがもともと墓地だったところに建てられたという趣旨の内容の書類だった。その時!「きゃあ!」ガシャン!
2015-11-02 22:26:11「どうした!」俺が見たのは、座り込み何かに怯えるように後ずさるホタルと、手にライターを持ち、棚の前に立つニット帽の男だった。ニット帽の男は俺の方を見ると言った。「ああ...、俺にもよくわかんないんだけど、あいつが急に悲鳴をあげて倒れて...」
2015-11-02 22:29:07「...して...」ホタルが震える声で呟く。「え?」ニット帽の男が思わず聞き返す。「火を消して!!」ホタルが怒鳴り、慌ててニット帽の男はライターの火を消した。「おい、なんだ?そんなに慌てて?」男は戸惑っているようだ。「なにが、あったんだ?教えてくれ」俺はホタルに聞く。
2015-11-02 22:31:08