「怖いの...」ホタルは深呼吸して、立ち上がる。「幼い頃に家が火事になって、それから、火が怖くて...」「ああ!そうだったのか!悪かったよ!知らなかったんだよ!」ニット帽の男が謝った。「...ええ、わかってるわ...ごめんなさい」
2015-11-02 22:33:21「...?なにか、匂わないか?」俺は突然気になり、二人に聞いた。「匂う?ん?」ニット帽の男は、鼻をならすが、わからないようだ。
2015-11-02 22:34:54「...厨房か!」俺は厨房へ続く扉の方へ行こうとする。「あ!おい!ちょっと待てよ!これをこうして...よっと!」ニット帽の男が弄っていたのはブレーカーだ。一斉に店内の電気がつきはじめる!
2015-11-02 22:43:41「こっちだ!臭いがするのは!」俺は扉から厨房を覗きこむ。あれは!あの白い顔がそこにいた。暗闇で白い顔が浮かんでいるように見えていたが、実は真っ黒なマントを身に付けていたようだ。だが、明るい中でもその異様さはいっそう引き立つ。明かりが付いたことに戸惑っているようだ。
2015-11-02 22:46:50その手にはライターが握られていた。そうか!この臭いは、油だ!厨房の床には油が敷き詰められていたのだ!この状況で、白い顔が何をしようとしているのかは容易に想像できた。放火だ!
2015-11-02 22:48:19俺がやつを止めなければ!俺は勢いよく扉を開けると、白い顔の男に飛びかかった!白い顔の男は驚き、その表紙にライターを取り落とす!
2015-11-02 22:57:07そのまま、俺はやつを押し倒した!カラン!音をたてて白い顔が━━━その者が着けていた仮面が外れ、油で濡れた床に落ちた。「お前は...!」
2015-11-02 22:58:30その顔に俺は見覚えがあった。そう、それはあの老人だった。「なんで、おじいさんが...死んだんじゃ!?」老人はよろよろと立ち上がると語りだした。「あんたがワシだと勘違いしたのはワシのTシャツを着せたマネキンだ。」
2015-11-02 23:01:29「このスーパーは、もともとここにあった墓地を取り壊して作られたんだ。その墓地の管理人がワシだったのだ。ワシは許せなかった!だから、幽霊の噂を流し、このスーパーに人が近づかないようにしようとしたのだ!」
2015-11-02 23:03:03「だが、それは無駄だった。新しくできたこのスーパーは繁盛し、そこにあった墓地のことは忘れ去られようとしてた。ワシはそれが堪えられなかったのだ。だから、この計画をたてた」
2015-11-02 23:04:10「夜中に停電を起こし、その間に店員を一人一人殺す。奴等の死体はカウンターの裏に隠してある。あとは火を放つだけだった...それなのに、それなのに!」
2015-11-02 23:05:20老人の後ろには、白い仮面が浮いていた。老人はゆっくりと後ろを振り返り、呻くように呟いた「...本当にいたのか」白い仮面はカランと音をたてて地面に落ちた。老人は口から血を流している。倉庫から、ニット帽の男とホタルが出てくる。
2015-11-02 23:09:13「一体、何が起こったの...?」ホタルが小さく呟く。「幽霊は...本当に...」俺が答えようとしたその時!老人は震える手をのばし、ライターを掴んだ!「やめろぉおお!!!」俺は止めようと老人に駆け寄るが、地面からあがった炎に遮られる!
2015-11-02 23:11:34...その後のことはよく覚えていない。俺は気がつくと病院にいた。ぼんやりとした頭で、ベッドの横に置かれたテレビをつけると、スーパーの火災事故のニュースがやっていた。「...現場からは、店員のものと思われる遺体のほかに、近所に住む女子中学生のものと思われる遺体が発見されており..」
2015-11-02 23:14:40そうか...彼女は... 俺はテレビを消すと、もう一度眠りにつこうとした。「おい、あんた」突然、隣のベッドから、声が聞こえた。そのサイドテーブルには、焼け焦げてボロボロになったニット帽が置いてあった。
2015-11-02 23:16:56