泣き上戸

gude2hiro @gude2hiro

@sasa_sep_2nd 普段は夕飯に出ない日本酒のせいだろうか。今晩はやけに笑い声が耐えない。秘宝の里とやらが終わって何よりだと爺さんは笑う。最近出番がないの、そろそろ引退させてもらえるか。心にもないことを。主は相変わらず飲まないが、皆の楽しげな様子に目を細める。

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@sasa_sep_2nd いやいや最近は目も悪くなり腰も痛むしの。こないだまた、たぬき吹っ飛ばしてただろ。あやつはなぁ、いつも太刀筋が一緒じゃから。酌をしてやっていると、どか、と大きな音が横から響く。何じゃ鯰尾？…引退って本気？うん？いなくなるの？あ？

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@sasa_sep_2nd 爺さんと二人顔を見合わせる。何で鶴丸さんは止めないの。ん？いやあのな鯰尾…嫌だどこにも行かないで。はらはらと涙を溢す脇差筆頭に唖然とする。…酔うちょるな。傍で飲んでいた陸奥の一言に合点がいく。まだ俺一回も勝ってないよ！勝ち逃げ狡い！いやあのな？

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@sasa_sep_2nd 俺爺さん好きだもん！一番は骨喰だけど！ああそうじゃろうな。てかさ、山城国良いとこだし！骨喰いないけど！はいはい。だから引退とか言わないでここにいたらいいじゃん！そうじゃな、うん。誰かがいなくなるのは嫌だ！…子供か。いや酔ってるから。

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@sasa_sep_2nd めそめそと泣き続ける鯰尾を陸奥は黙ってひょいと抱えあげた。あー鯰尾、ええこじゃから向こうで水でも飲もうか、のう。いらないー爺さんいなくなったら嫌だー大丈夫じゃ、じい様はここにおるが。おまんみたいなええこ、誰も一人にゃせんよ。

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@sasa_sep_2nd 何事だ。鯰尾が泣き上戸を発動して、退場した。主に説明してやると、なるほどなと頷く。なかなか強い酒だったようだな。あんたは酒には全く興味を示さんからな。鯰尾は誰が？陸奥が。ほう？手慣れていたぞ。土佐は酒飲みの土地と聞くからな。

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@sasa_sep_2nd 陸奥。縁側で一人飲み続ける陸奥に徳利を見せると破顔一笑。わしにはええ酒じゃったが、鯰尾には毒になってしもうたか。たまにはいいんじゃないか。奥で寝とるよ、ここでは鯰尾は粟田口の年長者じゃ。色々抱え込んでたかの。さてなぁ、ここは居心地が良いから。

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@sasa_sep_2nd ふふ、懐かしかった。鯰尾と縁があったか？お前。いんや、ただこうして酒を皆で飲んで、誰かが泣き出したりとか、の。龍馬はいつもそういう奴の世話をしてな、損ばかり。人や国の世話ばかり焼いて回って、挙げ句に頭を割られて、のう。

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@sasa_sep_2nd 京都に行くようになって、普段はやたら和泉守の世話を焼く堀川の口数は減っていたし、長曾根も口数が減ったのも気付いていた。お前もあの時代には行かない方がいいな。いいや、構わんよ。どうせ池田屋に龍馬はおらん。

gude2hiro @gude2hiro

@sasa_sep_2nd はよう仕事を終わらせて良い酒を呑みたいき、使ってくれるようにおまんからも主殿に言うてくれんかの。生憎近侍は小夜の字だ。そうかえ？おまんも近侍みたいなもんじゃろ、鶴丸。…さてな。さあ戻るか。まだ飲むのか。あんなもの、序の口じゃ。