2015年11月24日

黄昏町(九板)三十二日目

懐かしい顔パート2。 初日/一日目→http://togetter.com/li/883761 前日/三十一日目→http://togetter.com/li/902363 翌日/三十三日目→http://togetter.com/li/904814
@hiiragi_r_t_d

【三十二日目】 【魂10/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) #hollytk

2015-11-20 22:10:10
@hiiragi_r_t_d

わたしは緋上と共に廃工場を後にし、彼女とは逆の道を行くことにした。彼女は右へ。わたしは左へ。 しばらく歩いてから振り返ると、廃工場は見えなくなっていた。 「……行きますか」 01 #hollytk

2015-11-20 22:13:22
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この町は広いようでいて狭い。一度会い、また会えたのだからもう一度会う事もあるだろう。 「二度あることは三度ある、と言いますからね」 長い尾が宙をうねった。 ローファーで踏む路面が、黒いアスファルトから落ち着いた色調のタイル敷きへと変わった。 02 #hollytk

2015-11-20 22:14:18
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周囲には生け垣とブロック塀。電柱の間隔が狭まり、ポリバケツのような変圧器が増える。 いつの間にか、わたしは懐かしい住宅地に踏み込んでいた。初めて異形を手に入れた、記念すべき場所だ。 どこかで、エンジン音が聞こえた。 03 #hollytk

2015-11-20 22:16:31
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キュイイィィ…… タイヤを軋ませながらドリフトし、角を曲がって現れたのは見覚えのある乗用車。 はて、どこで見かけたのか……首をかしげるわたし目がけて、車は更に速度を上げる。 「……あ」 車の持ち主を思い出した時には、固いバンパーがわたしを吹き飛ばしていた。 04 #hollytk

2015-11-20 22:18:29
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衝撃。足があっさりと折れ、皮膚を突き破って骨が飛び出す。体が跳ね上げられ、わたしは軽々と宙を舞った。 ブロック塀の上から、民家の庭を一瞬だけ眺めた後……わたしは容赦なく、頭から路面に叩きつけられた。 パナマ帽が、少し離れた場所に落ちる。 05 #hollytk

2015-11-20 22:21:23
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「アッ、ハハ」 わたしは虚ろに笑い、身をよじる。仰向けになったわたしを、運転席の少年が見下ろしていた。 「ハハッ、ハッ、はぁー……鏑木君、でしたっけ?お久しぶりです」 わたしの顔を見て、彼もわたしが誰か分かったらしい。ガラスの向こうで、少年が息を呑む。 06 #hollytk

2015-11-20 22:23:37
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運転席のサイドウィンドウが開く。幼さの残る少年が顔を出し、横たわるわたしを複雑な表情で見つめた。 「……九板、さん」 「アハッ、覚えていたんですね」 鏑木君。この町に来たばかりの頃、何度か世話を焼いてくれた。わたしが異形を持っているとは気付かずに。 07 #hollytk

2015-11-20 22:24:45
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だからわたしは言ったのだ。『さようなら』と。『次に会ったときは、殺しますね』と。 それからわたしは何度も死に、何人も殺した。長い長い尾を生やした今のわたしは、紛うことなきバケモノだろう。 「残念……殺されるのはわたしのほうみたいですね」 08 #hollytk

2015-11-20 22:26:08
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鏑木君はアクセルを踏み込もうとしない。俯き、食いしばった歯の間から問いが漏れる。 「九板さん……あなたは」「わたしは、バケモノです。君の嫌いなバケモノです」 わたしは彼の言葉に返答をかぶせ、口角を吊り上げて鋭い牙を覗かせる。 「人を喰う、バケモノです」 09 #hollytk

2015-11-20 22:28:45
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「聞きたいですか?人間の味。大人の」「やめてくれ!」 鏑木君は耳を塞ぎ、大声でわたしの言葉をかき消す。 わたしは首をかしげる。 「ああ、もしかして……鏑木君、まだわたしの事を諦めてなかったんですか」 鏑木君の肩が、ビクリと震えた。 10 #hollytk

2015-11-20 22:30:13
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「駄目ですよ。気持ちはありがたく受け取っておきますけれど、わたしはバケモノなんですから」 バケモノ嫌いの人間と馴れ合うのは、わたしの憧れたバケモノの姿には相応しくない。 「それとも、君もバケモノになりますか?」 「……ッ!」 11 #hollytk

2015-11-20 22:32:08
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「……ほら、できないでしょう?」 「僕は……」 迷う鏑木君に、わたしは言い聞かせる。 「人間とバケモノは違う存在です。無理なんですよ。わたしは人間を食べますし、死ぬことなんてなんとも思っていない。一緒には、いられません」 「でも、僕は……」 12 #hollytk

2015-11-20 22:34:17
@hiiragi_r_t_d

わたしは肩を竦める。 「本当に甘いですね、君は。それでよく今まで人間でいられたものです」 「よく言われるよ……本当に、一緒にはいられないのかな?自警団の人たちは怖いけど、九板さんが人を食べないなら」「諦めてください。わたしは人間と一緒に暮らすつもりは無い」 13 #hollytk

2015-11-20 22:36:26
@hiiragi_r_t_d

「それに、人間の肉は、とても美味しい。鏑木君には悪いですが、やめられないですね」 「そう……そっか。じゃあ、せめて僕が殺してあげるよ。痛くしないから」 それはどういう意図なのか。わたしに質問を投げる間を与えず、硬いタイヤがわたしの頭を轢き潰した。 14 #hollytk

2015-11-20 22:38:09
@hiiragi_r_t_d

──────── 【三十二日目】 【死亡】 【魂-2/異形は入手せず】 【魂8/力11/探索2】 【喪失】名前(後ろ半分)、感情「楽」 【異形】三ツ目(力+1、探索+2)、牙(力+2)、鱗(水耐性、力+1)、角(力+2)、竜尾(力+5) 15 #hollytk

2015-11-20 22:39:10
@hiiragi_r_t_d

[町]住宅地に足を踏み入れた途端、通りの向こうから乗用車が君を目がけ勢いよく走ってきた。《異形1つ以下なら保護される【魂+1】、異形2つ以上で轢死【魂-2/『半透明(探索+3、力-3)』を入手】》 #黄昏町の怪物 shindanmaker.com/541547 #hollytk

2015-11-20 22:39:29

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