@mkntaによる「phono/graph」展のギャラリートークまとめ

2011/1/18大阪のdddギャラリー(http://bit.ly/dJUkwM)で開催された「phono/graph」展のギャラリートーク。 @mkntaさんのつぶやきをまとめました。
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ɐʇuʞɯ @mknta

昨日、大阪のdddギャラリー(http://bit.ly/dJUkwM)で開催された「phono/graph」展のギャラリートークの際のメモを備忘録代わりに連続Tweetします。意訳されたいる部分もありますので、ご了承くださいませ。

2011-01-19 11:27:36
ɐʇuʞɯ @mknta

藤本由紀夫さんによるギャラリートーク。藤本さんは「音」をテーマにした作品のアーティスト。今回の「phono/graph」という展示は、音と文字、音とグラフィックの関係というテーマの展覧会。個々の作品の解説はオープニングに譲って、ここでは展覧会の企画意図についてのお話。

2011-01-19 11:33:40
ɐʇuʞɯ @mknta

21世紀に入り、書籍の電子化と言われて久しいが、この10年はむしろ紙媒体は増える一方。しかし電子書籍端末などの登場~普及によって、これからは紙から電子へとメディアの移り変わる節目に来ているかもしれない。

2011-01-19 11:34:48
ɐʇuʞɯ @mknta

藤本さん自身の経験から。 遡るコト1970年。稲垣足穂氏のラジオ出演。インタビュアーは瀬戸内寂聴さん。小説の文体から抱いていたイメージと、実際にラジオから聞こえてくる本人の肉声やしゃべり方とのギャップに驚く。

2011-01-19 11:35:45
ɐʇuʞɯ @mknta

この対談は後に書き起こされて、文章になったものがあるが、そのことによって更に気付いたのが、文字での表現と、実際のしゃべりとの間にある大きなギャップ。音を文字に変換するコトは無理だという認識を受ける。

2011-01-19 11:36:43
ɐʇuʞɯ @mknta

また、しゃべりの「リズム」も文章には表現のしようがない。 例としてマルセル・デュシャン。残された文章だけみると、難解な言葉使いで、近寄りがたく思われがちだが、実際にはワルツのリズムに乗ったような歌のようなスピーチ。これから今回の作品のひとつが生まれている。

2011-01-19 11:40:41
ɐʇuʞɯ @mknta

また、彼の作品自体も現代美術ということで、難解に思われがちだが、実際には遊び心に満ちている。触ってみて、動かしてみて体験するというような作品も、美術館のガラスのケースに閉じ込められていては、いくら解説を読んでみたところで本来の作品の意図は分からない。

2011-01-19 11:47:08
ɐʇuʞɯ @mknta

聴覚は単に音を聞くというだけでなく、実際には音以上のモノも分かる。例えば音を出しているものがなんなのか?とか、その背後に隠れている情報。

2011-01-19 11:48:20
ɐʇuʞɯ @mknta

視覚は自分の意思で閉ざすコトができる。 一方、聴覚は閉ざすコトはできない。入ってくる情報に方向も関係ない。全てを受け入れないといけない。 視覚と聴覚、この二つは相互に補完し合う完成性。 視覚は平面を認識し、空間を認識するには、聴覚は不可欠な感覚。

2011-01-19 11:49:37
ɐʇuʞɯ @mknta

人間には何かをメディアに記録したいという本能がある。それは即ち「graph」という行為の本来の意味。 紙メディアしかなかった時代は、その記録の方法は、視覚に置き換えるしかなかった。結果、視覚情報を記録する方法や技術は拡大し続け、視覚情報にべったり頼る傾向に。

2011-01-19 11:53:07
ɐʇuʞɯ @mknta

エジソンが蓄音器を発明する20年前にフランスで、ほぼ同じ構造・原理の煤を塗った紙による蓄音器が発明されていた。しかし、開発者である印刷技師レオン・スコットがやりたかったコトは、音を波形という目に見えるカタチで記録するコトだけ。それを再生するというコトは考えていなかった。

2011-01-19 11:55:00
ɐʇuʞɯ @mknta

まさに、関心事は「記録する」というコトだけ。 しかし記録できるメディアは、紙から、映像や音といったいろんなものに移り変わり、いまはデジタルという更に新しいステージに。 こういった背景を経て、今回の展示の依頼があった時に、テーマを「phono/graph」とすることとした。

2011-01-19 11:59:26
ɐʇuʞɯ @mknta

今回の作品には、誰の、なんという作品で・・・といったキャプションがない。実は完成品ですらない。テーマに沿って作られた作品を前に、それがなにを意味するのかまだ充分には分からないからみんなで考えてみよう、という問題提起。

2011-01-19 12:00:53
ɐʇuʞɯ @mknta

iPodのように、紙以外の媒体上にある文字は、時間軸の中で、動く。うつろう。 一方、紙の上の文字は消えない。強い。 余白がないと文字は動けない。動かすためには文字の周りの「空間」を認識するコトが重要になる。 空間を認識するためには、視覚に頼るだけでは充分ではない。

2011-01-19 12:03:46
ɐʇuʞɯ @mknta

紙を離れて、表現が自由になる一方で、時間軸も考えた立体的な構成を考えることが必要になる。 新しいメディアにとっての文字は、歌に似ている。 editからcomposeへ

2011-01-19 12:04:47
ɐʇuʞɯ @mknta

「活版印刷機で作曲をする」 同じ活字をインクを変えてみる、とか。色であったり、テクスチャーであったり、圧を変えてみるとか。 そのことで、単なる文字による記録も多面的な表現をすることができる。

2011-01-19 12:06:32
ɐʇuʞɯ @mknta

黛敏郎氏の涅槃交響曲 東西の合唱という行為に対する考え方の違いが根底にある。 西は同じ音を重ねるが、東は異なる音を重ねる。 コレを活版印刷で表現するコトを試みる。 モアレ。連続する変化。ゆらぎ。 まるで輪唱しているかのような表現。

2011-01-19 12:08:22
ɐʇuʞɯ @mknta

作品を作る過程でまた新しい発見。新しく考えるきっかけに。 まずは実験的な意味合い。 この展覧会は単にみてもらうモノではなく、アーティストとギャラリーと観客が一緒になって作るもの。 自由に参加してみて、自分で考えるコトの大切さ。 そこには答えはないから。

2011-01-19 12:09:03
ɐʇuʞɯ @mknta

マーシャル・マクルーハンの著書。 「the medium is the message」メディアはメッセージ メディアそれ自体がある種のメッセージ(情報、命令のような)を既に含んでいると主張した。

2011-01-19 12:17:17
ɐʇuʞɯ @mknta

更に 「the medium is the massage」メディアはマッサージ テクノロジーはメディアは自分たちの感覚の延長線上にあるモノ。 メディアが変わる=人間も変わらざるを得ない

2011-01-19 12:18:15
ɐʇuʞɯ @mknta

感覚の中心はアルファベットの登場以降、耳(聴覚)→目(視覚)へ 聞き伝えから、書き伝えへ。 しかし「視覚」のみに過度に頼った認識は限界に。 新しいメディアの出現は、再び「聴覚」が立場を取り戻す契機になるのかも?

2011-01-19 12:20:59
ɐʇuʞɯ @mknta

つまり紙の本を単にスキャンして電子書籍に置き替えればいいというコトではなくて、新しいメディアに相応しい、新しい表現が必要とされているのではないか?という問題提起。 ここは実は、今回の展覧会の主催であるDNPに対しての問題提起でもある、というオチ( ̄▽ ̄)

2011-01-19 12:22:57
ɐʇuʞɯ @mknta

ジョンケージ曰く 「われわれの行う全てのコトは音楽である」

2011-01-19 12:29:46
ɐʇuʞɯ @mknta

とは言え、紙媒体への記録/表現は不滅。 新しいメディアの登場で、ますます紙の上での表現の可能性は広がる。 今回の企画展はそういう想いのひとつの表れとなっています。 以上です。

2011-01-19 12:31:31
リタ・アレス @lesizmo

@mknta 藤本由紀夫さんによるギャラリートーク、あとでtogetterにまとめてもいいでしょうか? じっくり読みたいので~

2011-01-19 12:14:47