「2011年3月11日以後、私たちは全員フクシマの民である」

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烏賀陽 弘道 @hirougaya

私はフクシマにスティグマを押し付けないためにカタカナ表記「フクシマ」をずっと使いづつけるつもりです。> 被災地を搾取し被害を拡大してきた「フクシマ神話」――ニセ科学とデマの検証に向けて/林智裕 / フリーランスライター synodos.jp/society/15632

2015-12-01 19:57:35
烏賀陽 弘道 @hirougaya

この筆者の錯誤は「カタカナ表記のフクシマニセ科学とデマの象徴」という感情的かつ非論理的な結びつけをしてしまったことでしょう。>】被災地を搾取し被害を拡大してきた「フクシマ神話」――ニセ科学とデマの検証に向けて/林智裕 /  synodos.jp/society/15632

2015-12-01 19:59:15
烏賀陽 弘道 @hirougaya

言葉には必ず話者がいて、話者によって言葉の定義は違うという当然の前提を理解していないことで、この筆者の論は破綻しています。> 被災地を搾取し被害を拡大してきた「フクシマ神話」――ニセ科学とデマの検証に向けて/林智裕 /ー synodos.jp/society/15632

2015-12-01 20:00:35
烏賀陽 弘道 @hirougaya

私は福島第一原発事故の問題を「福島県」という行政区分で「福島県だけの問題」と片付けようとする印象操作に徹底的に抵抗するため「フクシマ」というカタカナ表記を使い続けます。2011年3月11日以後、世界を含め、私たちは全員「フクシマの民」になったのです。

2015-12-02 01:12:48
烏賀陽 弘道 @hirougaya

2011年3月11日以後、私たちは全員「フクシマの民」になったのですから、少なくとも私は福島第一原発事故の被災問題を「誰か他人の問題」ではなく「自分の問題」としてとらえ、離さないつもりです。もしそれを見捨てるなら、それは自分自身を見捨てることになるからです。

2015-12-02 01:49:22
烏賀陽 弘道 @hirougaya

1)2011年春からフクシマの被災地に通い続け、数えきれないほどの人々の話を聞いてきた私が確かに言えるのは「福島県の人の間には莫大な多様性があり、原発災害への意見や態度、行動も多様でバラバラだ」ということです。

2015-12-02 05:16:26
烏賀陽 弘道 @hirougaya

2)話を聞く相手の年齢(若者、青年、中年、高齢)、性別、独身なのか家族がいるのか、職業(事務職なのかブルーカラーなのか、農業か漁業か、農業でもコメ農家か酪農家なのか)一人暮らしなのか同居家族がいるのか、子供の年齢は、などで、まったく意見も態度も行動もちがいます。

2015-12-02 05:18:28
烏賀陽 弘道 @hirougaya

3)つまり福島県の人にも莫大な多様性があり、原発災害への意見、態度、行動はモザイクのように異なる。

2015-12-02 05:19:09
烏賀陽 弘道 @hirougaya

4)そうした事実を見て来た私は「これが福島県民の声だ」「私が福島県民(あるいは過半数、大多数の)声を代表している」という論者を疑います。いや、信用しません。そもそも「福島県民は〜」というあたかもひとつのまとまった主体があるかのような主語設定が誤りなのです。

2015-12-02 05:21:05
烏賀陽 弘道 @hirougaya

5)原発災害の被害、特に健康への影響や食料、環境の汚染の影響はサイエンスの世界でも結論が出ていないのは拙著「フクシマ2046」はじめ何度も繰り返し述べている通りです。よって「放射能被害などないのだ。なのに〜」も「放射能被害はある。なのに〜」という論点設定もどちらも誤りなのです。

2015-12-02 05:23:20
烏賀陽 弘道 @hirougaya

6)よって「放射能による被害はあるのか、ないのか」という「事実」をめぐる論争はすべて誤りであり、無駄です。問題は「事実」ではなく人々がそれをどう見ているかという「認識」の問題なのです。

2015-12-02 05:24:30
烏賀陽 弘道 @hirougaya

7)「認識」はすべて主観の判断ですから、結論がモザイクのようにバラバラになるのは当たり前なのです。

2015-12-02 05:25:21
烏賀陽 弘道 @hirougaya

8)こうして、結局は「政策を決定するのは『事実』ではなく『認識』である」というもっとも基本的な政策決定論のイロハのイが姿を現すにすぎません。

2015-12-02 05:26:23
烏賀陽 弘道 @hirougaya

9)こうした原発災害をめぐる態度や意見、行動のモザイク化は、あらゆるコミュニティ集団に分断と対立をばらまきました。家族が対立し、ご近所さんが対立し、同窓生や友人や恋人、夫婦、親子がいがみ合うようになりました。

2015-12-02 05:28:14
烏賀陽 弘道 @hirougaya

10)こうした「コミュニティの破壊」こそが、福島第一原発事故がフクシマにもたらした「今そこにある被害」であることも、私はこれまで繰り返し述べています。それは「放射能被害」があるのか、ないのかを現実が証明する前に、すでに進行している破壊であり残酷なのです。

2015-12-02 05:29:45
烏賀陽 弘道 @hirougaya

11)「福島県民は『フクシマ』と表記することを拒否する」という論者は、福島第一原発事故の被害が、役所の行政区分で区切られた「福島県」の線内の「よそごと」であり「県外は関係がない」ように認識を形成したい、という統治者の意図にまんまとはまっています。いやそれどころか加担しています。

2015-12-02 05:51:45
烏賀陽 弘道 @hirougaya

私が「2011年3月11日以後、私たちは全員フクシマの民である」というのは「放射能被害が及んだのは福島県内だけでない」という意味ではありません。

2015-12-02 14:09:41
烏賀陽 弘道 @hirougaya

科学技術、政府、政策決定のプロセス、マスメディアのありかた、そして最終的には「この国は民主主義と呼ばれる資格があるのか」を含め、すべての「既存の権威」が突然死し、疑わなければ時代に入りました。それは「フクシマ後」としかいいようのない、終わりのない時代の始まりです。

2015-12-02 14:10:57
烏賀陽 弘道 @hirougaya

次の拙著「福島第一原発事故への50年史」(仮題)はゲラが戻って来て、いよいよ入稿の大詰めである。来年3月11日には書店に届くよう、何とかがんばりたい。

2015-12-02 05:53:06