wとhalf

うさぎ🐰ときどき妄想してました @eitars_h

51 ──あのエレベーターの停電の日から毎日悪夢が続くようになってしまった。 毎日最悪の気分で、だからどこかに逃げ場を求めて。 …本当は村上さんに会いたい。 あの優しい手で頭を撫でて貰いたい。 でもこれ以上優しくされたら抑えられなくなりそうで。 #wとhalf

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52 全て話したら…、きっと器の大きな人だから多分受け止めてくれる。 だけどいい気はしないだろうし、複雑だと思う。 面倒くさいって思われるかも。 おかしなことに巻き込まれたって思われるかも。 最悪引っ越しとか。 ちーちゃんにも会えなくなる… 嫌だよ… #wとhalf

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53 そんな事をぐるぐる考えていた。 ブブブ… 携帯が震えた。 ディスプレイを確認すると益々嫌な気分になる。 一瞬無視しようかとも思ったけど… 「…はい」 通話ボタンを押した。 「なに？お母さん…え？…どういうこと？……」 ─── #wとhalf

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54 お父さんが…？ 「…い、や！お母さん、悪いけど私行かないから！なんて言われたって…今更…もうほっといて！」 『遠野？』 「あ…！じゃ、じゃあお母さん切るからっ」 村上さんの声に慌てて通話を終え 見えないように涙を拭った。 「おかえり」 #wとhalf

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55 『…きとったん…大丈夫か？』 「何のこと？笑 私帰るね」 目を合わせずに横をすり抜けようとした時、 『っ待てや』 強く腕を掴まれた。 #wとhalf pic.twitter.com/LIyqQ2J3Lt

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56 『泣いとるやないか』 覗き込まれて顔を背けた。 「泣いてないっ」 あ！ 両手を掴まれて、村上さんに顔を晒される。 『…嘘つくなや』 「うっ…くっ…」 『電話、なんや？何かあったんやないんか？』 「なんでも…親と今ケンカしてて、それで…」 #wとhalf

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57 探るように見つめられる。 『ほんまか？』 「手…痛いっ」 『…すまん』 ぱっと放される。 「本当です。親とソリが合わなくて。話すといつもこんな風になっちゃう」 私が笑うと村上さんも幾分か表情が和らいで、 『ほんならええけどもやな、、』 #wとhalf

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58 『あんまり心配させんなや』 と、ポンと頭を撫でた… 引っ込んだ涙がまた出そうになって、無理やり笑うとまた村上さんがじっと見つめる。 『泣きたいなら我慢せんでもええで？』 …ダメだ… やっぱり私村上さんが好き… そんな自覚と後悔… なんで… #wとhalf

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59 あげかけた声を飲み込んで、 「本当に本当に大丈夫。えへへ」 泣き笑いになっちゃったけど精一杯笑顔を作って。 「お仕事お疲れ様。おやすみ」 顔を見ながら後ずさる。 村上さんはちょっと怖い顔で何も言わない。 #wとhalf

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60 "勝手にしろ"そう言ってるみたいで悲しくなったけど、これでいい… 背を向ける間際、 『あ、そうや』 村上さんが声をあげた。 「はい？」 『明後日の夜時間あるか？』 「明後日？特に予定はないですよ？」 なるべく笑顔で振り返る。 #wとhalf

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61 『明後日亮の誕生パーティーがあんねん』 「あ、じゃあちーちゃん預かる？」 『やなくて…』 ガシガシと頭を掻く。 『なんでかうちでやることになってもーて』 「うん？」 だから猫アレルギーのある錦戸さんのためにちーちゃん預かるんじゃないのかな？ #wとhalf

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62 『予定ないんやったらお前もこおへんか？』 「なんで？」 変な事を言ってしまわないうちに早く帰りたいのに、なんだかおかしな誘いを受けてる。 『なんでて…あー…友達としてや』 ちょっと意味がわからないけど、もうどうでもいいや。 「わかった」 #wとhalf

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63 とにかく今日はこれ以上ここにはいられない。 私はそれだけ言うと村上さんの部屋を後にした。 ───母からの電話は、 父が危篤… もう助からないだろうって。 いい気味だって思った。 帰ってきてって泣かれたけど、絶対に嫌だ。私にそんな義理はもうない… #wとhalf

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64 真面目で穏やかでごく普通だと思っていた父は、いつからか私を性の対象としてみるようになった。 小学生の私は叱られるとよく父に納戸に閉じ込められた。 それは、その当時にはごくありふれたお仕置きだったと思う。 #wとhalf

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65 暗くて狭い部屋から出されると、父はいつも以上に私を可愛がった。私は純粋にそれが嬉しかった。 だけど… 中学生になった頃、徐々に父は壊れ始めた。 仕事も休みがちになり、私が側にいるといやらしい目でみるようになって、そして── その行為は始まった。 #wとhalf

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66 母に見つからないように押入れに引きずり込まれあちこち体を触られる。 もちろん最初は抵抗もした。 だけど父の力には到底かなわなくて… 母に見つからないように巧妙に、父は私を犯した… #wとhalf

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67 やがて私は妊娠した。 まだ中1だった私がその事に気付いたのは偶然で、だけど確かめる勇気もなくて怖くて怖くて… ───はっと起きると朝だった。 最悪な気分だけど会社には行く。 高校を何とか卒業して親元を離れた。就職したこの会社は高卒の私にも優しくて。 #wとhalf

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68 そしてこの歳まで1人でやってこれた。 やっぱり猫くらい飼えばよかったな… ふっと笑ってちーちゃんを思い出す。 そして同時に村上さんも… #wとhalf pic.twitter.com/WZcrfzjNb5

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69 明後日…なんだっけ？ 錦戸さんのお誕生会？ どうして私誘われたんだろう。 エイトさん達にお会いできるのは嬉しいけど、私部外者…本当にいいのかな。 あ、何か準備とか！ 必要かな？村上さんに連絡してみる？ 携帯を取り出してうんざりする。 沢山の着信履歴。 #wとhalf

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70 番号教えるんじゃなかった…。 気をとり直し村上さんへLINEを送る。 結局、特に何もすることはないとの返信だったけどそれじゃあますます私何の為？ お誕生会当日の朝方、枕元の携帯のバイブが着信を知らせた。 寝ぼけながら耳にあてる。 #wとhalf

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71 "紗織？お父さんが…今朝亡くなったの…お願いだから帰ってきて…" 泣きじゃくる母の声だった… ドクンと心臓が音を立てた。 いきなり覚醒する。 死んじゃえばいいって思ってた。 "紗織…紗織、聞いてるの！…" 終わったんだね…やっと… #wとhalf

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72 溢れ出す涙を拭いもせず、私はその声を聞いていた… ＊＊＊ 服装は普段着でいいのかな？ 鏡の前で確認する。 スキニーパンツとゆったりめのパーカー。 可愛げない気もするけど、 「ま、いっか…それよりこの顔なんとかしなきゃ」 #wとhalf

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73 散々泣いて腫れた目。会社では何とか誤魔化したけどまだ顔が浮腫んでる気がする。 …父の葬儀は明後日らしい… お母さん1人だけど、親戚もいるし何とかなるだろう。 私には関係ない。 化粧を直して私は村上さんの部屋に向かった。 #wとhalf

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74 「は、初めまして。村上さんの友達の遠野です」 大倉「初めましてー♪遠野なにちゃん？」 最初に話しかけてくれたのは大倉さん。テレビで見た通りのイケメンで軽い 笑 「紗織です笑」 大倉「紗織ちゃんかあ。宜しく」 「はい笑」 #wとhalf

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75 仕事の都合で、来ていたのは大倉さんと丸山さんと主役の錦戸さん。 全員と一通り挨拶を交わして飲み物を準備する。 食べ物は少し前にケータリングが届いてて後は皆さんがそれぞれ持ち寄ったもの。 ケーキは丸山さんが持ち込んだ。 #wとhalf