茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第1668回「二重基準の欺瞞」

脳科学者・茂木健一郎さんの12月5日の連続ツイート。 本日は、感想です。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート1668回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、感想です。

2015-12-05 07:09:13
茂木健一郎 @kenichiromogi

アメリカで起こった銃乱射事件について、背景としてテロ的要素があるかどうかが関心をひいている。事件の後で出された分析の中に、もしテロだったら、銃規制の議論にはつながりにくいだろうというものがあって、ううむと考えこんでしまった。

2015-12-05 07:10:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

銃規制の必要性の議論の背景には、一般市民の突発的な行動がある。銃があると、ある確率で、それは使われる。精神的にバランスを崩してのことかもしれないし、恨みや偏見かもしれない。いずれにせよ、テロのような、「大きな意図」がなく、銃が使われる可能性がある。

2015-12-05 07:13:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

一方、テロは、明確な意図があり、組織が背景にあって行使される。そのような場合には、銃規制の問題そのものにはつながらないと一般には認識される。そこには、テロ組織が武器を手に入れることは、いわば必然であり、仕方がないという認識があるようだ。

2015-12-05 07:14:08
茂木健一郎 @kenichiromogi

ここには、武器の調達に対する、明らかな二重基準がある。一方では市民の武器入手がある。他方では、国家や組織による武器入手がある。前者はランダムな暴力につながり、銃規制の対象になる。ところが、後者は、いわば必然であり、その武器入手は通常議論の対象にはならない。

2015-12-05 07:15:36
茂木健一郎 @kenichiromogi

たとえば、シリア内戦での政府軍やISが武器をどのように入手したかは、通常は不問とされる。彼らは自分たちで武器を製造しているわけではないだろう。どこかで誰かが武器をつくり、それを売っている。その武器が殺戮に使われる。その銃規制は、誰も問題にしない。

2015-12-05 07:16:54
茂木健一郎 @kenichiromogi

ぼくがいつも疑問に思うのはここだ。ISに武器を提供しているのは誰なのか? シリア政府には? そのような「死の商人」の国際的なネットワークがなければ、彼らがやっているような蛮行は、そもそも物理的に不可能だろう。

2015-12-05 07:17:45
茂木健一郎 @kenichiromogi

一般市民に対しては銃規制の問題を議論し、国家や国家に準じる組織の武器調達については、口をつぐむという二重基準。しかし、一般市民が使おうが、国家や準国家が使おうが、武器は同じように人の命を奪う。二重基準の欺瞞は、平和にとっての最大の敵である。人の死で潤っているのは誰なのか。

2015-12-05 07:19:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート1668回「二重基準の欺瞞」をテーマに、7つのツイートをお届けしました。

2015-12-05 07:20:11