ニンジャスレイヤー二次創作【スターズ・オンリー・ノウ】

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けろきゃ @k6ky

これからニンジャスレイヤー二次創作SSを投下します。本編19ツイートを約5分おきに投下し、1時間半ほどの予定です。気になる方はお手数ですがミュート、リムーブなどお願いします。感想・実況などは #nj_k6ky を使用していただくと小躍りして喜びます。それでは、よろしくお願いします

2015-12-06 11:00:05
けろきゃ @k6ky

【スターズ・オンリー・ノウ】

2015-12-06 11:00:56
けろきゃ @k6ky

アッパーガイオンの夜空は、星々で満ちている。偽りの空に覆われたアンダーガイオンとも、どぎついネオン看板と重酸性金属雨に包まれたネオサイタマとも違う。「閑静な住宅地」という一握りのカチグミにしか許されぬ贅沢を、今宵は一組の男女が独占していた。 1

2015-12-06 11:01:11
けろきゃ @k6ky

「要はしばらく暮らせるだけのカネさえあれば大丈夫さ。僕らには学力と教養がある。家業やコネなんかなくったって、ネオサイタマでカチグミになれる」そろそろティーンエイジャーをやめようかという少年が先導しながら楽観論を述べ、「でも治安が悪いのは不安だわ」続く同世代の少女が反論する。 2

2015-12-06 11:06:23
けろきゃ @k6ky

2人はそれぞれ、この住宅街に代々居を構えるカチグミ一族の子だ。その立場によって、これまで身の安全や潤沢な衣食住、学習の機会を得てきた。しかしそれらのメリットには付随するデメリットもあり、その一つが目下の彼らの問題である、伴侶に関する制約であった。 3

2015-12-06 11:10:20
けろきゃ @k6ky

「だから当面は安全な地域に住めるだけのカネを……それをどうするかは昨日も話したっけ」少女はややうんざりしたように足を止め、星空を見上げる。「一昨日もよ。分かったのは、私達が自分の家のこともよく知らない世間知らずだってことだけ」少女の背後に、必死の形相のニンジャが降り立った。 4

2015-12-06 11:15:42
けろきゃ @k6ky

「だから毎日それとなく調べてるじゃないか。大丈夫、ハイスクールを出るまでに計画が決まればいいんだ。まだ時間はいくらでもある」少年も足を止め、立ち止まった少女を振り返る。「そうね。それで分かったんだけど、ウチの帳簿を管理しているのは……」ニンジャの足元に、スリケンが突き立った。 5

2015-12-06 11:20:31
けろきゃ @k6ky

逃走を断念したニンジャは覚悟を決め、夜の闇から出てきたスリケン投擲者にアイサツした。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン。インターステラーです。何故私を追う!」「ドーモ、インターステラー=サン、ニンジャスレイヤーです。知れたこと、オヌシがニンジャだからだ」男女はまた歩き出した。 6

2015-12-06 11:25:37
けろきゃ @k6ky

然り、少年少女はニンジャの出現を気にも止めていない。これこそが恐るべきザイバツ・オーバーロードのキョジツテンカンホー・ジツである。ガイオンの網目構造によって増幅されたジツは、哀れなモータルからニンジャの存在を覆い隠す。このジツを破らぬ限り、ニンジャスレイヤーに勝利はない。 7

2015-12-06 11:30:45
けろきゃ @k6ky

「イヤーッ!」インターステラーは両側の家の垣根を利用したトライアングルリープで星空へと飛び上がった。「ホシカゲ・ジツ!イヤーッ!」おお、ナムサン!インターステラーはニンジャスレイヤーの視界からも消え去った。「だけど、家業に直接手をつけるのはよくない。何か金目のものとか……」 8

2015-12-06 11:35:40
けろきゃ @k6ky

ニンジャスレイヤーは全周囲カラテ警戒する。キョジツテンカンホー・ジツの影響か?かのジツは、その威力も、制約も計り知れない。逃げられたかと逡巡するニンジャスレイヤーにスリケンが飛び来たり、「イヤーッ!」これをブリッジ回避した。「うまく泥棒の仕業に見せかけられるかもしれないわね」 9

2015-12-06 11:40:16
けろきゃ @k6ky

「だけど、家族とはいえ盗みを働くのは気が引けるわ」ニンジャスレイヤーがブリッジ体勢から復帰すると、眼前にインターステラーがカラテを構えていた。「イヤーッ!」「グワーッ!」インターステラーの右ストレート!想定外の攻撃を躱しきれず、ニンジャスレイヤーがたたらを踏む。 10

2015-12-06 11:45:18
けろきゃ @k6ky

「僕らの所有物で金目のものはないかな。この服だって、売れば一月くらい暮らせるかも」ニンジャスレイヤーがカラテを構えると、インターステラーは両側の家の垣根を利用したトライアングルリープで星空へと飛び上がった。「ホシカゲ・ジツ!イヤーッ!」ナムサン!インターステラーが消えた! 11

2015-12-06 11:50:19
けろきゃ @k6ky

「そこまで切り詰めた生活はごめんだわ。やっぱりアルバイトでもして稼いで溜めるしかないわね」ニンジャスレイヤーは全周囲カラテ警戒する。飛び来たったスリケンをブレーサーで弾くと、眼前に出現したインターステラーの左ストレートをかろうじて回避する。側転で距離を取り体勢を立て直す。 12

2015-12-06 11:55:18
けろきゃ @k6ky

「アルバイトといえば、同じクラスのミヤカネがさ……」インターステラーはトライアングルリープで星空へ跳躍する。「ベイン・オブ・ソウカイヤ恐るるに足らず!今日ここで貴様を殺し、 来たるべきロードの治世へ捧げてくれよう!」「ほう、その治世とやらは何が起きるのだ?」 13

2015-12-06 12:00:10
けろきゃ @k6ky

「やだ、それ本当?」「本当だって。それで職員室に呼ばれてさ……」ニンジャスレイヤーはカラテ警戒する。「ニンジャが支配する世界だ!そのための準備は偉大なるロードとパラゴン=サンが粛々と進められ、我等は忠実な駒として役割を全うするのみよ!ホシカゲ・ジツ!イヤーッ!」 14

2015-12-06 12:05:34
けろきゃ @k6ky

ナムサン!インターステラーが消えた!「つまり何も知らぬのだな。イヤーッ!」鉤付きフックロープが星空に投げつけられ、何かを捕まえ地面に叩きつけた。「グワーッ!」そこに現れたのはインターステラー!「星を背にすると姿と気配を消すジツか。小賢しいジツとカラテ。主の格も知れるな」 15

2015-12-06 12:10:34
けろきゃ @k6ky

ニンジャスレイヤーは地に伏せたインターステラーのマウントを取る。「口を滑らすかと思い油断させておいたが、何も知らんとはな。代わりに今夜アッパーガイオンに出ているザイバツニンジャの名を吐くがいい。イヤーッ!」右パウンド!「グワーッ!……ワイルドアーミー=サン!」 16

2015-12-06 12:15:15
けろきゃ @k6ky

「殺した。イヤーッ!」左パウンド!「グワーッ!……バンダーホーデン=サン!」「殺した。イヤーッ!」右!「グワーッ!……フォビア=サン!」「殺した。イヤーッ!」左!「グワーッ!……シャドウウィーブ=サン!私が知っているのはこれで最後だ!」「……よかろう。ハイクを詠むがいい」 17

2015-12-06 12:20:14
けろきゃ @k6ky

少年少女は曲がり角へ消えようとしていた。「それでコンクールで入選するか賭けをすることになったんだって……」「彼のハイクじゃ無謀な賭けだ」「それがそうでもないのよ……」爆発音も、「サヨナラ!」の声も、1人のニンジャがガイオンの闇へ飛び込んだ掛け声も、彼らが知覚することはない。 18

2015-12-06 12:26:22
けろきゃ @k6ky

「あら、もうこんな時間」「もう帰らなきゃな」「駆け落ちの計画、進まなかったわね」「また明日話せばいいさ」「ええ、また明日」「また明日」変わらない日常と1人のニンジャの死を、満天の星空だけが見ていた。 19

2015-12-06 12:30:27
けろきゃ @k6ky

【スターズ・オンリー・ノウ】終わり

2015-12-06 12:31:32