GB鎮守府の航海日誌 2015年12月から最新まで

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kai jester @kai_jest

ここまでのあらすじ: 北上の願いにより、大井の武者修行先であるワシントンDCへ降り立ったGB提督。 大井は日本を出国して以来、行方不明となっていた。 強盗界隈の情報を当たったが手がかりは無く、FBI本部を襲撃し情報を奪取することに。 #GB鎮守府

2015-12-05 16:18:18
kai jester @kai_jest

しかし、そこに現れたのはボディを深海棲艦由来のパーツに改造された大井とデチューンド艦娘だった。 デチューンド艦娘を撃退しつつ、大井のバイザーを取り払う北上。 しかし、そのことによって大井の急激な深海棲艦化が始まる。悲痛な叫び声をあげる大井。 #GB鎮守府

2015-12-05 16:24:57
kai jester @kai_jest

奪われた者を奪い返す戦いが、今始まる。 #GB鎮守府

2015-12-05 16:27:22
kai jester @kai_jest

「でも!どうすればいいの?」 大井っちを奪い返す。言うのは簡単だが、具体的な方法はあるのだろうか? 「大破まで追い込むんだよ!その後はアカシが引き受ける!」 提督が叫び返す。アカシ先生が矢継ぎ早にその内容を補足する。 #GB鎮守府

2015-12-05 16:42:57
kai jester @kai_jest

「大破状態で動けなくなったら、ボクがコアディスクを摘出する!だから」 「わかったよ……」 今絶叫しているアレの中に大井っちがいて、なんでか知らないけど深海棲艦になろうとしている。 きっと、その原因の一部は私にある。置いて行かないで。さっき大井っちから聞いた言葉。 #GB鎮守府

2015-12-05 16:50:48
kai jester @kai_jest

「わかったよ提督!大井っちは私が止める!だから提督は」 「出来るだけ援護してやるよ!電ちゃんもすぐに向ける!」 やることは決まった。大井っち相手に本気の戦闘はしたくないけど、今止められるのは私しかいない。 覚悟を固め、前を向く。 #GB鎮守府

2015-12-05 17:26:53
kai jester @kai_jest

大井っちの叫び声が、今は泣き声の様に聞こえた。 #GB鎮守府

2015-12-05 17:30:57
kai jester @kai_jest

北上は覚悟を決めたようだ。 とは言え相手は暴走した兵器、しかも重巡ネ級が元になっている。 手持ちの雷巡では最強の北上と言えど、単艦では荷が重いだろう。 「電ちゃん!」 もしもの保険は今使うべきだろうと判断し、俺は最高の切り札を用意する。 #GB鎮守府

2015-12-05 17:33:30
kai jester @kai_jest

「はい」 「おまわりは?」 「大井さんの暴走と共に、引き潮の如く帰っていったのです」 「そいつは結構。準備してくれ」 「まさか」 俺はそこで初めて電ちゃんの顔を見る。驚き半分、といったところか。 #GB鎮守府

2015-12-05 17:38:12
kai jester @kai_jest

「おい、もしかして持ってきてねえってことはないよな?」 「もちろん持ってるのです。でも、司令官さんが……」 「大丈夫だ、さっきの応急手当でだいぶ回復してきた」 その場で跳ねて見せる。正直調子はギリギリの線だが、それも保険が使えればなんとかなるだろう。 #GB鎮守府

2015-12-05 17:43:10
kai jester @kai_jest

「電ちゃん、指輪を付けてくれ」 「……。絶対、無茶はしないで欲しいのです」 「わーかったよ、俺が死んだことあるか?無いだろ?そういう事だ」 冗談めかして言うと、電ちゃんはクスリと笑って右手の薬指に指輪を付けてくれた。 俺も右手の手袋を脱ぎ、同じ薬指に指輪をはめる。 #GB鎮守府

2015-12-05 17:46:20
kai jester @kai_jest

「この状態では何も起きないはずだな?」 「その通りです。お互いが強く必要としたとき、指輪は効力を発揮します」 練度の上限を超える契約、ケッコンの力。 使わないに越した事は無いが、いざという時は使えるようにとかけていた保険。 #GB鎮守府

2015-12-05 17:55:01
kai jester @kai_jest

「とりあえず、電ちゃんは北上の援護に回ってくれ。あとは追って指示を出す」 「なのです!司令官さんも、絶対無茶はしないで下さいよ!」 それだけ言うと、電ちゃんは窓から階下に降りて行った。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:04:17
kai jester @kai_jest

あとは俺の準備か。 M249からインパクトショットを取り外す。バー”ノックオフ”での情報では、今の大井に通常兵器は効かないらしい。 深海棲艦ボディが効いているのだろう。あいつらも通常兵器は効き目がない。 ではどうするか?答えはもう一つの弾倉にある。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:08:07
kai jester @kai_jest

通常の銃弾が装填されたオリーブグリーンのマガジン。 この弾も今の大井には効かないだろうが、俺の目的は銃弾じゃない。 (これでどれだけやれるかは疑問だがな) 俺はポケットからあるものを取り出し、銃の先端に取り付けると階下の戦闘へと目をやることにした。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:13:18
kai jester @kai_jest

「北上さん!お手伝いに来たのです!」 電が階下に降りると、それに呼応して北上さんが陣形を組む。単縦陣だ。 二隻しかいないので効果の程はわからないが、それでもしないよりマシな様に感じる。 「どうしますか?」北上さんに聞いてみる。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:19:03
kai jester @kai_jest

「どうするもねぇ。とりあえずいつも通りやるしかないでしょ」 いつも通り。対深海棲艦戦闘をするというのだろう。 「まず私から仕掛ける。その後は、通常の手筈通りに」「なのです」 返事と同時に、北上さんの魚雷発射管が解放される。開幕雷撃だ。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:21:52
kai jester @kai_jest

大井さんはまだこちらに気がついていないようで、ずっと叫び声をあげている。 北上さんの全身から、対地専用に改良された酸素魚雷が飛び出していく。 それと同時に、二人は駆け出していた。この雷撃で止まる様な相手ではないだろう。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:25:22
kai jester @kai_jest

先に北上さんの20.3cm連装砲が、大井さんを射程に捉える。 その瞬間、接近してきた魚雷に大井さんが気付いた。 素早くその場を離れ、一部の雷撃を腕で弾きながら接近してくる。見た目よりも素早い! #GB鎮守府

2015-12-05 18:30:42
kai jester @kai_jest

射撃体勢に入っていた北上さんが射撃するが、こちらも分厚い装甲に阻まれ有効打には至っていない。 戦艦がいれば砲撃で終わっていたかもしれないが、電たちは水雷戦を得意とする艦種。砲撃はおまけ程度だ。 夜戦距離での格闘戦、これに全てを賭けるしかない。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:35:23
kai jester @kai_jest

「北上さん!私が格闘に持ち込みます!援護を!」 叫ぶなり大井さんの懐に飛び込む。重巡だろうが、近接戦闘では駆逐艦が有利だ。 相手の足を踏み潰し、右の掌打を胴めがけて打ち込む! 続けて20.3sm連装砲が顔面に着弾、大井さんは苦痛に呻きつつ仰け反る―― はずだった。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:46:29
kai jester @kai_jest

手応えが硬い。まるで重油の様な黒い胴はダメージを負っていない。 顔面に直撃したはずの砲弾も、その効果は全くないようだ。冷たい視線が電を突き刺す。 「ナンデ……イッショニキテ……」 恨みのこもったその声は、暗い水底のから響いてくるように聞こえる。 #GB鎮守府

2015-12-05 18:52:46
kai jester @kai_jest

白い死体の様な手が、一瞬怯んだ電の首を捉える。 表情は虚ろなまま電ごと手を上に持ち上げ、暗い瞳で覗き込む。 そこにあるのは羨望、諦念、そして絶望的な孤独感だった。 これまで戦ったどんな深海棲艦とも違う。 #GB鎮守府

2015-12-05 19:03:31