- asako_bank
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25 ひとしきり笑って エリも話し始める。 『私こそごめん。 あの時・・・なんかびっくりして。 その後もなんて声かけていいか わからんくて。』 エリも・・・一緒な思いやったんや 『でも・・・忠義とおれんの ほんとに寂しくて こんなん・・・もうイヤや。』 #純情事情
2015-12-05 17:58:3626 そう言ったエリの目が潤んでて。 俺は理性がギリギリ。 「そんな目で見られたら・・・ キスしたなるから止めて///」 『・・・ええよ。忠義なら。』 「へ?」 『キス。』 「は?」 『するの?せんの?』 急なOKにパニクって 頭が真っ白・・・ #純情事情
2015-12-05 17:58:4627 と・・・ ふわっとエリの髪の匂いが届いて 見上げた瞬間 彼女の唇が重なった。 世界中が シーンとした そんな感じ。 気づくと唇は離れてて エリが微笑んでる。 あ・・・これがキス。 『忠義?大丈夫?』 心配そうに覗き込む彼女。 俺はぼーっとしたまま #純情事情
2015-12-05 17:59:0028 「・・・わからんかった。 もーいっかい・・・してもええ?」 『うん・・・次は忠義からしてな? それなら・・・わかるやろ?』 頷いて彼女を引き寄せて そっとキス・・・ ・・・嬉しくて 感情追いつかへん/// #純情事情 pic.twitter.com/CX0hZHSUx2
2015-12-05 17:59:1029 だけど 至福の日々は いきなり終わりを告げる。 「エリー。帰ろー。」 『あ、今行く。 ちょ・・・待ってて。』 エリはパタパタとヤスの元に向かうと すぐに俺の方にやってきた。 『いこか。』 「おん!」 その時の俺は 君の出してる信号に気づかんかった。 #純情事情
2015-12-06 08:38:1530 エリに誘われるがまま 学校帰りにタワレコによる。 新譜の視聴をしてると エリがなんか買ってて。 「なんのCDこうたん?」 って聞いたら 『・・・うん。ちょっとね。』 ってはぐらかすエリ。 でも・・・ それを聞いても俺は ふーんと頷くだけやった。 #純情事情
2015-12-06 08:38:2731 「うっわ・・・さぶっ!」 店の外に出ると冬の風が吹き抜けて 咄嗟に繋いだ手を コートのポケットに入れる。 『・・・忠義のここ。あったかいね。』 ポケットの中の手を動かして エリが笑う。 その顔を見てると心まで温かい。 「なんか恥ずいわ・・・///」 #純情事情
2015-12-06 08:38:4132 エリを自転車の後ろに乗せ いつものバス停まで送る。 風は冷たいけど ギュッと掴まって触れてる部分は 熱く火照ってて。 『ねぇ・・・忠義』 いきなりエリが切り出す。 「ん?」 『私・・・あのね・・・』 「ん!?なんて!?」 向かい風で聞こえない。 #純情事情
2015-12-06 08:38:5433 『・・・何でもない!!』 「はぁ!?なんやねんwww」 ・・・その時エリが 呟いた言葉をちゃんと聞いてたら 俺達の未来は変わってたのかな。 『忠義・・・私の事 助けてくれないかな・・・』 #純情事情 pic.twitter.com/sm25i3or6K
2015-12-06 08:39:1334 次の日からエリは 学校に来なくなった。 最初のうちは風邪とかかなーって 思ってたけど 次第に変な噂が広まって。 夜逃げしたとか。 援交で退学したとか。 1週間後には 退学した事が先生から聞かされ 『なんで?俺何も知らん・・・』 俺は不安だった。 #純情事情
2015-12-06 08:39:3035 でも、ヤスは知ってる気がして 恐る恐る聞いてみたけど・・・ 《ごめん。俺も何も知らん》 それにほっとしたような ガッカリしたような。 「なぁ。家行ってみーひん? エリの家行った事ないけど・・・」 俺が切り出すと ヤスも頷いてくれた。 #純情事情
2015-12-06 08:39:4236 先生に教えて貰い 向かったエリの家は お世辞でも綺麗とは言えない ボロいアパートで。 そのひっそりとした一室に エリが住んでいたと思うと 胸が傷んだ。 「俺・・・何も知らんかった。 あいつの事 傷つけてなかったかな・・・」 無神経な事言ってたかも・・・ #純情事情
2015-12-06 08:39:4937 でも・・・あいつが 母子家庭やって事は聞いてたけど そんなんよくある事やと思ってたし。 ・・・と視線をポストに落としたら 封筒が2つささってて。 何となくそれに惹かれて取り出した。 「あ・・・」 そこにはエリの字で 俺とヤス それぞれへの手紙があった。 #純情事情
2015-12-06 08:39:5638 忠義へ 貴方に謝りたいことが2つあります。 1つは突然姿を消してごめん。 貴方にだけは直接別れを 伝えようかと思ったけど 貴方の顔みたら言えなかった。 もう1つは 私やっぱり、章大が好きです。 貴方の優しさに甘えてたけど 好きな人は安田章大です。 #純情事情
2015-12-06 08:40:0239 それでも信じて欲しいのは 貴方といて本当に幸せでした。 大切にしてもらえる幸せを 教えてくれたのは 間違いなく忠義です。 本当にありがとう。 どうか・・・幸せになってください。 「・・・なんやねんそれ・・・」 ほっといたら泣いてまいそうや。 #純情事情
2015-12-06 08:40:0940 そりゃ俺もアホやない。 お前がヤスを見る顔が ずっと変わらない事は気づいてた。 それでも確実に 俺に向ける顔も特別だと思えたから 気づかないふりしてたんよ。 《・・・大丈夫か?》 ヤスが俺を心配そうに覗き込む。 こいつを・・・ 嫌いになれたら楽やのに。 #純情事情
2015-12-06 08:40:1541 でもやっぱり。 そんなんできんし。 「振られてもーた! ヤスー慰めて?ラーメン奢って?」 それぐらいええやろ? なぁ・・・ヤス。 《なんで奢らなあかんねん。 ったく・・・しゃーなしな。》 ありがと。ヤス。 #純情事情 pic.twitter.com/dZlIwLxvcI
2015-12-06 08:40:2142 エリが消えて程なく 俺は言い寄ってきた 別の子と付き合い始めた。 ヤケになってるわけでもなく やっぱり【好き】って 言われるんは嬉しいし 弱ってたからすがりたくなって。 でも長続きしなくて。 別れるとまた 言い寄ってきた子と付き合う。 そんな日々。 #純情事情
2015-12-06 15:11:2743 その子達みんなに言われたのは 《大倉くんは 私を好きじゃない。 自分を好きな子を好きなだけ。》 って感じの台詞。 だって・・・しゃーないやん。 心が動かんかってんもん。 俺が、エリの心を 動かせなかったように・・・ #純情事情
2015-12-06 15:11:3844 ヤスがエリと再会したのは ヤスから聞いて知っていた。 おばちゃんの事も ヤスから聞いた。 エリと俺との直接の繋がりは消えて ヤスを経由した関係になった。 ・・・だから 会いに行こうとは思わなかった。 その後街を離れたと聞いた時は 少し後悔したけど。 #純情事情
2015-12-06 15:11:5245 そんな俺がエリと再会したのは 地元を離れ 大学時代にバイトしていたバーに そのまま就職した頃のこと。 買い出し帰りに歩いてたら 『・・・忠義?』 って声が聞こえて。 控えめな声だったから 気のせいかと思った。 でもその声は間違いなく 「エリ?」 #純情事情
2015-12-06 15:12:0446 『あ・・・ほんまに当たってた。』 目の前のエリは ぽかーんと口を開けて呟く。 その見た目は大人っぽくなってて 制服のイメージとは大分違うけど 表情はあの頃のまま。 「変わってへんなぁ!」 自然と俺は笑った。 『忠義もな。 昔よりチャラそうやけど。』 #純情事情
2015-12-06 15:12:1547 「チャラくないわ。 カッコよぉなったといえ!」 『はいはいwww』 「・・・ったく。 元気にしてた?」 『うん。ぼちぼち。』 そっか。 なんか安心した。 エリが無事な事への安心と 普通に会話できる安心。 ふと・・・間が空いて エリは何か聞きたそう。 #純情事情
2015-12-06 15:12:2748 あ・・・そうか。 たぶん。 あいつの事やんな。 「・・・ヤスも元気やで。 今は美大出て教免とって どっかの高校の臨時講師してる。」 『・・・そっか。 章大も・・・元気なんやね。』 ホンマに相変わらず素直ちゃうな。 俺に聞くのためらうとか・・・ #純情事情
2015-12-06 15:12:3949 『ごめん・・・ もっと話したいけど行かな・・・ また連絡してええ? 番号・・・教えてもらえる?』 「もちろん・・・」 ・・・とお互いスマホを取り出した瞬間 彼女の左手薬指に 真新しいリングが見えた。 「指輪・・・」 『あ・・・うん。 来月、結婚。』 #純情事情
2015-12-06 15:12:53