AGC38によるドラマ『Lonely Black Toaster』第1章

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LBT<S#1[地球上空・軌道上を飛ぶスパイ衛星] ロボットが目を凝らすように蠢く受像部。 衛星が捉えている画像──アジア圏から日本列島全景、その中央へとワイプを重 ね寄っていく・・・

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LBT<そこに被る幾多の放送音声、飛び交う言語情報──企業間通信、恋人たちの囁き、ギャル同士の他愛ないやりとり、単身赴任の父と子供の会話、主婦の愚痴等々。

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LBT<音楽、教育、スポーツ、バラエティ、ドラマ、そしてプロパガンダ放送etc. 渦巻く情報の海から、やがて女子アナ・白柳結衣の声が際立って聞こえてくる。 結衣（放送音声）『──現地から、白柳結衣がお伝え致します』

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LBT<衛星からの画像は、首都高速をゆく一台の車を捉え、追尾し始めている。 さらにワイプで寄ると、ドライバーの姿が見える。風に黒髪をなびかせた美女。

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LBT<S#2[地上・首都高（夜）] 赤いコンバーチブル車が疾走している。 粋に駆るのは、潮崎杏奈。 胸元に揺れるチェーンアクセサリー。 シフトチェンジする手つきは妄想を誘い、アクセルペダルへしなやかに伸びた脚は 踏みつけられたくなるほどに麗しい…

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LBT<ステアリングをリズミカルに叩く指は、何かに苛立っているようにも見える。 結衣（off）『問題の時計があるのは、こちらの大聖堂です』 データ受信のアラームが鳴る。 タッチパネルを操作する杏奈。 杏奈「遅い！　何してるのよっ！」

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LBT<報道番組がサブ画面へと追いやられ、任務に関するデータがメイン表示される。 結衣（off）『この、歯車を持たぬ時計は──』 機密を盗み出した女スパイ（桜丘 瞳）と受け取る外交官の顔写真（西欧系男性）

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LBT<機密メディアがイヤリングを偽装した中に仕込まれている事を表すＣＧが 表示されていく。 杏奈「嘘!?　今どきマイクロフィルム!?」

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LBT<結衣（off）『かつて太平洋戦争末期、ひとりでに動き──』 杏奈「でも、堅実かもね」 二人に関する文字データや、「取引場所」である新東京ドーム球場の見取り図、 フラッシュコンタクトの予定時刻等も表示されていく。

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LBT<結衣『零時一分前を差したといわれています』 杏奈「なっ!?　 ──おっと！」 　　目前の低速車を避けるコンバーチブル。 　　サブ画面には、壮麗な彫刻を施された美術品である終末時計が映っている。

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LBT<杏奈「（インカム操作）ちょっと待ってよ、時間ないじゃない！」 結衣（off）『恒久的平和を祈念して11時30分へと戻された──』 杏奈「ああもぅ、わかったわよ！」 　　案内標識を一瞥する杏奈、車線変更…

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LBT<結衣（off）『動くはずのない時計の針が、いま──』 　　情報表示が消え、自動的に結衣の画面がメインになる。 結衣『再び、零時13分前を差したのです！』

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LBT<シフトダウンさせ、加速させながら… 杏奈「コンタクト前に押さえなきゃ、免責特権で逃げられちゃう！」 　　モニター、ゴシックムード漂う文字盤。 零時13分前を差しているその威容。

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LBT<結衣（off）『これが、世界を襲う災いの予兆でない事を祈るばかりです…』 　　分岐を逸れていくコンバーチブル。 　　そのゆく手に新東京ドームの屋根が見える。 つづく…。

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LBT<「Lonely Black Toaster」第2話/S#3[新東京ドームスタジアム]（外観～内部全景） 場内満員、大歓声。

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LBT<S#4[ドーム内某所] 小型拳銃に弾が装填される 安全装置を解除したしなやかな指先が、タイトな膝上スカートをたくしあげる。 絶妙の質感を見せる太腿に僅かに食い込んだホルスターベルトが見えた。 歓声が漏れ聞こえるトイレの個室。

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　×　　　　　　×　　　　　　× 個室を出てくる女の脚線美。 鏡に向かい、ルージュをひくその女。 上下の唇を引き込むように重ね合わせ、馴染ませるブロンドの美女・桜丘瞳。 艶やかな髪の揺り戻しと共に、耳元で揺れるイヤリング。

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LBT<S#5[グラウンド～一塁側観客席] 投げる投手（寄り）。打つ打者（寄り）。 湧き上がるスタンドで、ビールを注ぎ客に渡している売り子。 腕には龍を模したブレスレットが光る。 ショートパンツで膝をおとした姿勢。 太腿のたわみが眩しい。

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売り子「（笑顔）ありがとうございま～す」 男性客、なぜか受け取らずに売り子の太腿にタッチ。 売り子「あん！」 男性客「（酔）いけね、間違えちった！」 売り子「（笑顔）もう、お客さんったらぁ」 楽しそうに言いながら、可愛く首を傾げる売り子。 そのすぐ脇から打球が飛んでくる…

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売り子は紙一重で避ける。 男性客「（直撃）へぶしゃあ!!」 アナウンス「ファウルボールには、十分ご注意ください」 スタンドの後方通路、辺りを窺いつつ足 早に移動する杏奈がいる。 鋭い目を向ける売り子・高月璃子。

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LBT<S#6[ドーム構内通路] 喧騒が聞こえる中をゆく瞳。 何食わぬ顔ですれ違う杏奈── 素早く踵を返し、瞳の後ろ手を掴んで捻り上げ壁に押し付ける。 一瞬の早業。 瞳「!?」 ・・・ つづく・・・　　　#agc38 http://agc38.com

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LBT<第3話・・・S#6[ドーム構内通路] 瞳の後ろ手を掴んで捻り上げ壁に押し付ける杏奈。 杏奈「（瞳に顔を近づけ）ゲランの香水ね。ラ・バタイは読んだ？」 瞳「……読書家の割には手荒いこと」 密かにスカートの裾を捲り、太腿の銃を抜こうとしている瞳・・・

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LBT<その目の前に鋭利なダガー（錐刀）を突きつける杏奈。 手に嵌めた特殊メリケンサックに仕込まれたものだ。 瞳「──（手を止める）」 杏奈「纏うのは、いい香りだけにしましょ」 杏奈の手がイヤリングに掛かろうとした瞬間、素早く体を入れ替え、 蹴りを繰り出す瞳。

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LBT< 杏奈「！」 間一髪かわす杏奈。 すぐに拳撃、そして再び蹴りが来る。 バランスを崩しながらもガード、スルー、そして応戦する杏奈。 目にも留まらぬ数手の攻防を経て、距離を取り合う。素早く銃を構える瞳。!!

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LBT<反射的に身を翻し、物陰に入る杏奈。 銃を構えて飛び出すが、既に瞳はいない。 杏奈「──」 追うべく駆け出す。