落ちぬい小話まとめ（番外編）

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

「犯人はお前だ、磯風」 「何──？」 #落ちぬい

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「フィルムの痕跡から推理するに、お前ろくに説明書き読まずにおにぎり袋の両端引っ張ったろ」 「引っ張れと書いてあったからな」 「その前に、1工程である切り目を開けるという動作を怠ったろ」 「……なに？」 こつこつと歩いて、つまみ上げる袋の切れ端。 #落ちぬい

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「見ろ。普通は伸縮すらしねえおにぎりビニールが３センチは伸びてやがる。破裂する瞬間おにぎりは中でばらばらになってるだろな」 「む。言われてみれば。しかし、そもそもめんどくさい包装してるのが悪いのでは？」 「めんどくさいからってゴリラパワーで解決すんな」 「うむ」 #落ちぬい

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「では掃除よろしく。その前に一枚写真いいか？」 「こうか？」 「うし。じゃ、引き延ばして工廠課に貼っとくわ」 「待て！ どういうことだ！！」 「作業前に手順を確認しましょう、の好例だしな」 「やめろ！ 私が恥ずかしい！」 磯風の恥ずかしい姿が、ポスターに。 #落ちぬい

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「兵頭っち、あのポスターだけどさー」 「おう。作業前の安全確認運動にゃ最適だろ」 「うん。いろんな所に使うから、もっとないかって工廠課から複数問い合わせがあるよ」 「お前らの部屋に貼る分はねえ、と返しておいて」 一人一部屋、かわいい失敗磯風の夢。 #落ちぬい

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「司令！ 話がある！」 「おう、来た来た。ドアノックしろ磯風」 「あのポスターは何だ！」 「わかりやすい安全促進ポスター」 「取り下げを要求する！」 「おう、じゃあ道場で俺に勝ってみろ」 「わかった！ 今すぐ来い！」 「じゃ、行ってくる北上様」 #落ちぬい

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「……。サボりの口実だよね、あれ」 ぽつりつぶやき仕事に戻る北上様だよー。 #落ちぬい

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「てーとくさん？ なにしとるん？」 「喫煙所でやることが、ピザの注文待ちってこたあねえだろ浦風」 「ほーじゃねえ。なんかあって、ふかーい考え中？」 「お前察しいいな。だいたいそゆとこ。お前は？」 「てーとくさん探し」 「俺になんか用？」 「頼み事があるんよ」 #落ちぬい

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「あー、工廠課のメンツが等身大ポスターを部屋に飾るのやめさせろとか？」 「まさかー。ちょいとお買い物つきおーてー欲しいんよ」 「浜風は？」 「今日は夜番なんよ」 「磯風」 「今日は谷風とご飯やって」 「しょうがねーな。足にすんだろ？」 「ありがとー❤」 #落ちぬい

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「おまたせ、てーとくさん」 「おう、どこ行くって？」 「どこがええ？」 「悪いがデートなら帰るぞ。俺は足役だし」 「じょーだんよー❤ 一番町のデパートやけ」 「ちなみに浦風」 「なん？」 「お前普段着もミニスカなんだな」 「あー。内緒話ええ？」 「おう」 #落ちぬい

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「うち、汗っかきなんよ。じゃけーズボン履くとびっしょり」 「あー。放熱用なのか」 「そそ。体温が３７度近いしー」 「浜風と逆だな。あいつ血圧低くて冷え性だとか」 「ん？ なんで知ってるん？」 「あー……本人に聞いた」 なつのたいおんをしってるとは、いえない。 #落ちぬい

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「エアコン設定温度は１８度じゃないとダメとか、お前相当だね」 「うち、子供ん頃ほとんど裸じゃないとおちつかんかったけーねー」 「今は？」 「風呂上がりや寝る時裸じゃねえ」 「てーとくさん？ 想像した？」 「おう。子供ン頃走り回ってるガキ大将をな」 もちろん嘘。 #落ちぬい

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「クリスマス用の買い物だったわけか。別に手伝ってもいいだろ、十七駆メンツ」 「うち、調達係もやるけーええんよ。ほら、これどーお？」 「おう。似合ってるぞトナカイの角。谷風にプレゼントしちゃれ」 「あははは」 トナカイ谷風決定の瞬間。 #落ちぬい

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「で、プレゼントもお前が買うの？」 「うん。みんなからお金集めてウチが選ぶんよ」 「お前の分もお前で選ぶのな」 「役得じゃね－。あ、このヘアブローチええなあ」 「結構すんな。予算内？」 「残念じゃけど予算外ー」 がっくり肩を落とす浦風。 #落ちぬい

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「ほい。これで足りるか？」 「ええのん？」 「上司からの支援つーことで」 「てーとくさん、ありがとー❤」 「パパみたいな呼び方やめてくんね。誤解酷いから」 「プレゼントで上手く引き当てろよ」 「もちろんじゃあ」 上司からのクリスマス支援金給付。 #落ちぬい

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そして後日、ヘアブローチを付けてる浜風が居るという、策士浦風の遠回しプレゼントコーナー。 もちろん浜風には、提督がプレゼントしてくれたと言っております。 うそは、ついてない。 #落ちぬい

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「浦風、あのブローチ浜風がつけてんだけど」 「プレゼント交換は運じゃけ。来年に期待じゃね」 「それならそれでいいんだが」 「それに浜風にも、似合うとるじゃろ？」 「おう。そうだな」 そんな会話があったとかなかったとか。 #落ちぬい

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「おう、長門。めかし込んでデートか？」 「そうだ。楽しんでくる」 「お、そ……そうなん？」 「ああ。それじゃな」 ──。 「と、言うわけで誰と行くとか聞けなかったんすよ」 「それをあたしに話されてもねえ」 思ってたのと違った返しで、言葉も出なかった悲しみ。 #落ちぬい

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「そんなに気になるなら、よりを戻せばいーじゃん」 「よりが戻るならそもそも別れてねえ」 「別れたっていうか兵頭っちがポイ捨てされただけじゃん」 「北上様本当に容赦ありませんことね」 「あたし思ったことはとりあえず言うタイプだしー」 #落ちぬい

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「で、気になるん？」 「少なくともメスゴリラの相手が出来るほど物好きかどうかはな」 「今ならぬいっちに電話1本で、追跡は出来そうだけどねー」 「おいやめろ絶対やめろ。バレた時が最高にホラーだ」 「そうなの？」 「そんな気がする」 踏み込みたくないあれそれ込みで。 #落ちぬい

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「それで、どうだったの？」 「ああ、面白かった。笑顔で送り出したら殴ってやる所だがな」 「お休みの日が同じだと、気づいてなかったのね」 「仕事山積みだからな。休みなんて一々覚えてないさ」 「さて、ボーイズハントする？」 「ああ」 むっちゃんとデートだったのだ。 #落ちぬい

不知火に落ち度はない @otinui_yamoto

『兵頭さーん？ 大掃除は進んでる－？』 「基地の方なら、みんなでやってる。年越しまで部屋が汚れてるのキツいだろ？」 『そうじゃなくてー。個人的な方の大掃除よー』 「なに？ 掃除して欲しい奴のリストでも送ってくるの？」 『いいえー？』 年末の些細なひととき。 #落ちぬい