シエル「今日はクリスマスか…演奏会にカップルが多かったのはそれが理由か。……あ、ノエルさん。」 ノエル「あら、シエルさん。こんばんは。今日の演奏とても素晴らしかったわ。」 シエル「ありがとうございます。……今年も、待っているんですか?彼を…」
2015-12-25 18:28:18ノエル「ええ。……このまま彼が戻って来ないなんて信じたくないもの。初めて会った場所でクリスマスケーキを用意して、ね。」 シエル「そうですか…」
2015-12-25 18:28:41ノエル「……貴方も待っているのでしょう?太陽のように暖かい、笑顔が素敵な絵描きさんを。」 シエル「……そうですね。まだいなくなったことが信じられないぐらいです。」 ノエル「あれから一年が経つのね…。街に降り注ぐ雪に毒を混ぜ、多くの人を苦しめた未曾有のテロ事件から。」
2015-12-25 18:29:26シエル「…もともとここから少し離れた街で起きていたのがここまで降り注いで被害が広がったものですね。俺は丁度演奏会でいなかったから平気だったのですが、毒が強く、病弱な彼女は家にいたのにかかってしまった……」
2015-12-25 18:30:05ノエル「私もたまたま出掛けていたから平気だったわ。でも彼はその街にいたから毒にやられてしまった。今も病院で意識不明よ。」 シエル「…彼女は、病弱でも芯の強い人だったから、俺を心配させまいと弱音なんて吐かなかった。」 ノエル「…それがかえって貴方を苦しめたと?」
2015-12-25 18:30:53シエル「ああ。俺が弱い存在だったから、彼女には苦しいって、寂しいって言ってほしかった。そうしたら、その苦しみを少しでも分かち合えたのに……」 ノエル「…ごめんなさい、辛い事を思い出させてしまって。」
2015-12-25 18:32:02シエル「いや、いいんです。そもそも、あの日この街に雪が降らなければ良かったんです。そしたら雪に毒が混ざらず、毒に苦しめられる人も少なかったのに……すみません、取り乱してしまって。」 ノエル「いいえ、いいわ。貴方がそう思うのも無理は無いもの。今日はお疲れ様。もう帰るのでしょう?」
2015-12-25 18:32:25シエル「 毎年雪が降っているのを見ると、彼女のことを思い出す。歌が上手で 太陽のように暖かい笑顔をもっていた彼女。将来は絵描きになりたいといっていた。そんな未来も、全てあの日の雪に奪われた… あの日、演奏会に一緒に連れ出していたら…こんな思いをする事もなかったのだろうか…」
2015-12-25 18:37:35シエル「…ん?なんか雪が強くなってるような…わあっ!?」 ダイヤ「あ…ごめんなさい。驚かせてしまって。」 シエル「い、いえ…雪の中から突然現れたので少し驚きはしましたが……こんな雪の中で何をしているんですか?」
2015-12-25 19:17:57ダイヤ「僕が、ですか?そうですね…クリスマスなので雪を降らせていました。」 シエル「雪、を…?」 ダイヤ「はい。僕はスノーマン。雪を降らせて、誰かの願いを一つだけ叶えるお仕事をしてる者です。…お給料はそこまで多くは有りませんが……」 シエル「はあ…」
2015-12-25 19:21:07ダイヤ「折角お会いしたので、貴方の願いも叶えましょう♪何かお願い事はありますか?何でも叶えますよ!」 シエル「えっ…何でも…じゃあ…」
2015-12-25 19:24:34『彼女に、ソレイユに逢いたい。』 たったそれだけの事だったのに、すぐに言葉にならなかった。そこで、女の子の声が聞こえてきたんだ。
2015-12-25 19:26:10??「キミは、本当にそれでいいの?目の前にいるのは……『雪だるま』だよ?キミからカノジョを奪った、雪そのものだよ?」 シエル「雪だるま…」
2015-12-25 20:07:11??「何でも願いが叶う、なんて言っても雪だるまに出来るコトなんてたかが知れてるよ。それにこの雪だるまはウソをついてるかもしれない。キミはカンタンに信じちゃうの?」 シエル「お、俺は…」
2015-12-25 20:07:30ダイヤ「……どうかしましたか?」 シエル「……俺は、大切な人を失った。一年前の雪で。」 ダイヤ「!?っ…(一年前って確か…僕が捕まってた時の…!)」 シエル「あの雪が無ければ、雪さえ降らなければ、俺と彼女のように引き裂かれる人も出なかった…!」
2015-12-25 20:37:08ダイヤ「違う…あれは…」 シエル「一年前、俺の街に毒入りの雪が別の街から降ったことで、俺の恋人は消えてしまった…!彼女は耳が聞こえなくなり、声も失った。……愛する人が苦しんでるのに、何も出来ない悔しさがお前に分かるか…?」 ダイヤ「…………。」
2015-12-25 20:51:28シエル「願いを叶えるなんてどうせ嘘なんだろう?初めて会った奴の言うことなんて信用出来るかよ。」 ダイヤ「……確かに、僕と君は初めて会った。それで君が簡単に信用出来ないという気持ちも分かる。……君の過去も、良く理解出来る。」
2015-12-25 21:09:07ダイヤ「でもそれで僕に消えろと言うのは違うと思うな。僕だって存在する意味はある。」 シエル「っ…!」 ダイヤ「確かに雪を降らせたのは僕だ。実際には違うけどね。でもその雪に毒を仕込んだのは僕じゃない。恨むならその人を恨むべきだ。」
2015-12-25 21:32:42シエル「う…五月蝿いな…雪が降らなければ…お前がいなければ……」 ダイヤ「……(心が黒く染まっている……まるで、長年の寂しさを吐き出すような…)」 シエル「ッ!話が通じないなら、ここで勝負だ!!剣術なら昔習ったことがあるからな…!」
2015-12-25 21:43:15シエル「お前の全てを否定して、消し去ってやる…!ソレイユの仇は必ずとる!」 ダイヤ「ここまで来たら通じないか…いいよ。僕も本気でいく。」 pic.twitter.com/wWdTEWiKd4
2015-12-25 21:46:43シエル(コイツ…なかなか強い…!相手が雪だるまだからか、身体が徐々に冷えていく感じがする…) pic.twitter.com/U0aqvOqyEp
2015-12-25 21:51:34ダイヤ「…そろそろ身体が冷えてきたんじゃないかな。じゃあ、ここでお別れだね。」 シエル(俺はまだ…まだ動ける筈なんだ!なのに…ここで終わるなんて…! ソレイユ……!)
2015-12-25 21:54:42??「…エル……シエル……聞こえる?シエル。」 ハッ シエル「こ、ここは…?」 ソレイユ「久しぶりだね。シエル。」 シエル「ッ…!ソレイユ…!会いたかった……!ソレイユ!」 シエル「ふふ、シエルは私がいないとあんなに元気が無いなんてね。」
2015-12-25 21:58:54