ニンジャスレイヤー二次創作「アベレント・ボーイズ、オーディナリー・デイ」後編
- EVO_Hitachi
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*みなさまお仕事や大掃除や飲み会やコミックマーケットの準備などおつかれさまです。今からニンジャの二次創作をタイムラインに流しますので、よろしくおねがいいたします*
2015-12-28 21:57:28*わたしはたまたまここでニンジャの二次創作を投下しており、公式やなんかとは関係ありませんが、ニンジャ・サルベイションをどんどんおうえんしたいのでよろしくおねがいします*前編:togetter.com/li/917921*
2015-12-28 22:00:00ネオサイタマ市街地から、やや離れた廃ボウリング場。そこがユダカ達を襲ったヤンクの巣。そこに向かって、ユダカとカシイは車を走らせていた。コケシマートの駐車場で、不用心な客から借りたものだ。作戦はなかった。連中に、彼らをナメたことを後悔させる。それだけだ。 36
2015-12-28 22:05:39目的のボーリング場が見える。「いくぞ」ユダカが声を掛ける。ミラー越しに頷くカシイの手には盗んだ金属バット。駐車場から見えるボウリング場は前面がガラス張りで、中の様子が分かる。電気の通らぬ建物内では、ドラム缶焚き火を囲み騒ぐヤンク達。 37
2015-12-28 22:10:18ボーリング場の中にもヤンクらがたむろしている。ユダカは涼しい顔で、ボーリング場のガラス壁に向かってアクセルを更に踏んだ。無灯火だった車のライトをハイビームにし、中のヤンク達に浴びせる。そして、植え込みを乗り越え、車はガラスを突き破りエントリーした。 38
2015-12-28 22:16:32CRAAAAAAASH! にわかに起こったデスパレートな乱入に、ヤンク達は逃げ惑う。狂騒の中でユダカはハンドルを切り、可能な限りヤンクを散らした。「行け!」合図を聞いて、カシイはドアから飛び出した。虚を突かれたヤンク達を、雄叫びとともにバットで片っ端から殴り倒していく。 39
2015-12-28 22:21:35カシイには、逃げる奴は放っておけと言ってある。たったふたりの中学生と侮ったことを、思い知らせる。車を急停車させ、ユダカはドアを蹴り開けた。ユダカを狙っていたヤンクがひとり、開いたドアにぶつかって倒れる。振り返らずに、ユダカもバットを手に駆けだした。 40
2015-12-28 22:26:07ユダカはバットを振るってヤンク達を牽制しつつ、合流しようとカシイを探す。ボーリングレーンの上で暴れ回るカシイの姿を認めたとき、カシイの痩せた体が、糸の切れたジョルリめいて倒れた。 41
2015-12-28 22:32:18一瞬、ユダカの足と時間が止まった。「カシイ」カシイの後ろにいるのは、スユキの兄だ。赤黒く染まる拳を打ち鳴らしてニヤニヤ笑っている。「カシイにテメェ何やりやがった!」ユダカは巨漢を睨んだ。「俺の! ダチに!」うつぶせに倒れたまま微動だにしないカシイの姿。嫌な汗が流れる。 42
2015-12-28 22:35:58「起きろ! おい! カシイ!」返事はない。ユダカは奥歯を噛みしめ、深く息を吸った。持っている武器は金属バットと怒りだけだ。充分だった。息を吐く。呼吸をすることと同じだ。こいつらをぶちのめす。 43
2015-12-28 22:39:47腹は決まった。「アアアーッ!」自分自身にキアイを入れ、金属バットをヤンクの足の甲へ打ち下ろす。振り返りながら、右の肘を顎めがけ振り抜く。骨と骨がぶつかる音が体に響いた。 44
2015-12-28 22:43:46背中を取られると不利だ。ユダカは自動販売機を背にヤンク達を迎え撃つ形を取った。振り下ろされる鉄パイプを躱す。代わりに殴られた自動販売機が、バチバチと火花を立てた。バットをスイングするように、相手の腹へ一発。くの字に体を曲げ、ヤンクは倒れる。ホームランだ。 45
2015-12-28 22:47:19金属バットを捨てる。真っ向から飛んでくる右ストレートの腕を取り、勢いを利用して他のヤンクにぶつける。ボーリングのピンじみて、ヤンク達はまとめてドラム缶の焚き火へ倒れ込んだ。次。椅子を掴んで顔面を殴りつける。次。溶岩じみた怒りがユダカの燃料だ。 46
2015-12-28 22:51:23振り下ろし、突き、薙ぎ払い、殴り、蹴倒す。自販機や柱に相手の頭を叩き付け、ボーリングのボールを投げつけもした。そうしてようやく、友達への道が開けた。 47
2015-12-28 22:54:17カシイを助けないと。走り出そうとしたユダカの体が宙に浮いた。太い腕がユダカの体を掴み、持ち上げている。スユキの兄だ。足を動かし逃れようとするが、それは元スモトリ部の怪力が許さない。 48
2015-12-28 22:58:44易々と持ち上げられ、体をボールラックに叩き付けられてしまった。「グワーッ!」「ナメやがって! ぶっ殺してやる!」血走った目。ユダカは首を掴まれ、引きずり上げられる。「……やって、みろよ」「ナンオラー!」ボディーブローだ! 喉を絞められたユダカは声も上げられず体を揺らす! 49
2015-12-28 23:01:57「その目つきが気に入らねえ!」立て続けに再度のボディーブロー! 喉を絞められたユダカは声もあげられず体を揺らす! しかし、重い一発を食らいながら、それでもユダカの目は死んでいなかった。 50
2015-12-28 23:03:10頭が濡れている。カシイがいぶかって触ると、どろりとした血が手を赤く染めた。自分の血だった。あたりを見渡すと、そこかしこでヤンクが倒れている。ユダカがやったのだ。((ユダカは?))首を巡らすと、スモトリ崩れに吊るし上げられているユダカがいた。 53
2015-12-28 23:10:56((ちくしょう! ユダカ!))立ち上がろうとして、一瞬ぐらつく。こんな怪我をしたのは久しぶりだ。いつも、危ないときにはユダカが助けてくれたからだ。ユダカがいたから無茶ができた。((待ってろ、今、行く))カシイは金属バットを杖代わりに、身を起こした。ユダカを助けないと。 54
2015-12-28 23:16:20カシイは床で踏みつけられた大漁旗をバットに巻くと、ドラム缶焚き火で旗に火をつけた。((グワーッ! 熱い!))存外勢いよく燃え上がった炎に驚いたのも束の間、カシイはそれをデタラメに振り回しながら走った。友達のところへ。「ユダカ!」 55
2015-12-28 23:21:02カシイは巨体の後ろ姿めがけてバットを振り下ろした。両腕に手応えが伝わる。「グワーッ!」スユキの兄の金髪が赤く染まった。「ウオーッ!」もう一発。まだ倒れない。更に打撃。着崩したXXLサイズのワイシャツに火が移り、ついにスモトリ崩れの巨体はユダカを手放した。 56
2015-12-28 23:25:08「ユダカ!」カシイは熱くなった金属バットを投げ捨て、ユダカへ駆け寄る。「助かったぜ」ユダカはカシイの手を借りず起き上がると、金属バットを握った。ワイシャツを脱ぎ捨てて火を消すスユキの兄へ、容赦ないフルスイング。 57
2015-12-28 23:28:10