【けれども青空】 福間健二 #k2fact133
センチュリープラント、蘭になってどうする。心臓に、川を犬たちと流れるロドリゲス。死んだ男が迎えに来たのか。いやいや、ロドリゲスの息子だ。接着剤で犬を生きかえらせる上機嫌な朝を安売りする。いらないんだけど。心臓は言う。行きたくないんだけどなあ。(けれども青空1)#k2fact133
2015-12-22 11:19:51では行かなければいい。だれの誕生日でも。永遠をでっちあげる演習どおりの集会。芽の出たジャガイモを持つ人が通りぬけるだけの、旧式のテレビがつけっぱなしの部屋。だれの息子の誕生日でも。この裏庭は複数のガチョウの首を一息で折る「指導」が歩きまわる。(けれども青空2)#k2fact133
2015-12-23 10:46:01ロドリゲスに息子はいない。公式には。娘が二人いて、できればロドリゲスの本とは関係ないおしゃべりな真珠になりたい十二月を「私たち」に批判され、ため息をつく。これでいいですか。いいけど、ビートを打ちつづけること。おまえがしなくてはならないのは。(けれども青空3)#k2fact133
2015-12-24 09:20:47クリスマス。冷酷な爪のような裏の意味があるとしても、きょうまでだ。元はネズミの王様の命令が人を黙らせるのは。明日からの灰色、売れ残ったケーキの自己欺瞞をすでに暴いているロドリゲスの言葉。なんのために盗み、人を殺し、国を作ってきたのか。おい!(けれども青空4)#k2fact133
2015-12-25 08:31:11十二月のうちは出番が少ない、ソーセージのきらいなお姫様。歩いて外に出る。それはできても、黒くて硬い空虚が「脳」にあとになって当たり前すぎるとわかる穴をうがつ。その未完成を構成する線、導管にも傷痕にもならないか。かまわない。わたしの人生です。(けれども青空5)#k2fact133
2015-12-26 12:20:45二つの首。彼とその、自分たちはそうだと知らない双子の妹の。谷保の、甲州街道の南には、それが解決すること、ある。墓地を掃除する人もいて、壊れたお姫様に挨拶した。操作のラクさ、音色、香り。凝縮できないのは、騙されて当然というこの世界だけじゃない。(けれども青空6)#k2fact133
2015-12-27 11:52:52多くのものが消えて、まちがって言ってしまった言葉がきみの一番大事な人の心に傷となって残る。治療できない線の交錯。どう切りとって、反省しない物質の層と層のあいだに返すのか。できることからする。迷子になってるうーちゃんとジャム君を助けなくては。(けれども青空7)#k2fact133
2015-12-28 12:12:15またまちがえている。助けられない。元気でいてくれと祈ることしかできない。忠告の言葉を切り裂いてロドリゲスは夢見る者のいなくなった「革命」の階段にばらまく。痛いけど、もう会えないロドリゲス。散歩中のワタナベさんにはときどき会って笑顔をもらう。(けれども青空8)#k2fact133
2015-12-29 11:44:10またまちがえている。祈るだけで、どうして「解釈を拒む笑顔」に応えることになる。わたしの人生。そんなもの何度でも放棄して、この愛、探索と下ごしらえとアドリブの、存在するとも言えない渦のなかに、だれの息子でも娘でもない顔と声を発明してきたんだ。(けれども青空9)#k2fact133
2015-12-30 08:44:37二〇一五年、昔話のしずくと歌合戦で終わらせるわけにいかない。人間、これをなんとかしなくてはと素性を隠して生きる姉妹の、最近のこと。小さな会社を営む姉はオフィスの窓から青空を見る。その窓、きたないね。妹は火事を見てきた。姉さん、掃除手伝うよ。(けれども青空10)#k2fact133
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