【全膝が泣いた】弁慶の打ち所映画として話題沸騰!?『走れ(バブれ)膝丸』【※ネタ、腐向け】
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@hiiragi49 本丸は、夕陽を受けてきらきら光っている。 「ああ、膝丸。」うめくような声が、風と共に聞えた。 「審神者、見つけたぞ。」膝丸は走りながら声をかけた。 「遅かったな。お前の兄、髭切は見つかったのか。」審神者も、膝丸の酷い恰好に眉をひそめて聞いた。
2016-01-04 17:41:34@AGO02273572 「ああ、見つけた。」 「ちょうど今、源氏の刀が馬の番を任されるところだ。ああ、お前は遅かった。うらみ申するぞ。ほんの少し、もうちょっとでも、早かったなら!」
2016-01-04 17:45:52@hiiragi49 「いや、まだ陽は沈まぬ。」膝丸は胸の張り裂ける思いで、赤く大きい夕陽ばかりを見つめていた。走るより他は無い。 「やめておけ。走るのは、やめておけ。いまは自分の命が惜しかろう。あいつらは、お前を信じていた。馬屋に引き出されても、不服そうであるが平気でいた。
2016-01-04 17:50:32@AGO02273572 周回を諦めた審神者たちが、さんざんあの刀逹をからかっても、膝丸は髭切を連れて戻る、とだけ答え、強い信念を持ちつづけている様子でいた。」
2016-01-04 23:36:29@hiiragi49 「それだから、走るのだ。信じられているから走るのだ。間に合う、間に合わぬは問題でないのだ。労働も問題でないのだ。俺は、なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に走っているのだ。ついて来い!審神者。」 「ああ、お前は気が狂ったか。それでは、うんと走るがいい。
2016-01-05 00:12:30@AGO02273572 ひょっとしたら、間に合わぬものでもない。走るがいい。」 言うにや及ぶ。まだ陽は沈まぬ。最後の死力を尽して、膝丸は走った。膝丸の頭は、からっぽだ。何一つ考えていない。ただ、わけのわからぬ大きな力にひきずられて走った。
2016-01-05 00:20:20@hiiragi49 陽はゆらゆら地平線に没し、まさに最後の一片の残光も消えようとした時、膝丸は疾風の如く馬小屋に突入した。間に合った。「待て。その馬糞を投げてはならぬ。膝丸が帰って来た。約束のとおり、いま帰って来た。」と大声で馬屋にいる源氏の刀にむかって叫んだつもりであったが、
2016-01-05 00:25:12@AGO02273572 喉がつぶれて嗄れた声が幽に出たばかり、刀逹は、ひとふりとして彼の到着に気がつかない。すでに馬糞が高々と積み上げられ、内番姿の刀逹は、眉を顰めている。膝丸はそれを目撃して最後の勇、先刻、馬糞をかい潜ったように馬を掻きわけ、掻きわけ、
2016-01-05 00:28:55@hiiragi49 「俺だ、今剣!働くのは、俺だ。膝丸だ。お前を人質にした俺は、ここにいる!」と、かすれた声で精一ぱいに叫びながら、ついに駆け寄り、積まれた馬糞を崩さんとする今剣の両足に、飛びついた。周りの刀は、どよめいた。馬糞くせえ。はなれろ、と口々にわめいた。
2016-01-05 00:39:45@AGO02273572 今剣に縋った腕は、足蹴にされたのである。 「今剣」膝丸は眼に涙を浮べて言った。「俺を殴れ。ちから一ぱいに頬を殴れ。俺は、途中で一度、悪い夢を見た。君が若し俺を殴ってくれなかったら、俺は君と抱擁する資格さえ無いのだ。」今剣は、容赦なく膝丸の右頬を蹴った。
2016-01-05 00:48:37@hiiragi49 蹴ってから優しく微笑み、 「ひざまる、ふろにはいりなさい。はいって、よごれをおとすのです。ぼくはこの三日の間、まいにちふろにはいりましたが、きみはくさい。ばふんのにおいです。ひざまるがふろにはいってくれなければ、ぼくはきみと抱擁できません。」
2016-01-05 00:55:26@AGO02273572 膝丸は頭に手拭いを乗せて風呂に入った。 「ありがとう、友よ。」同時に言い、ひしと抱き合い、それから嬉し泣きにおいおい声を放って泣いた。 刀剣の中からも、歔欷の声が聞えた。
2016-01-05 00:59:14@hiiragi49 審神者は、背後から二人の様を、まじまじと見つめていたが、やがて静かに二人に近づき、顔をあからめて、こう言った。 「おまえらの望みは叶ったぞ。おまえらは、わしの心に勝ったのだ。信実とは、決して空虚な妄想ではなかった。どうか、わしを主と認めてくれまいか。
2016-01-05 01:02:26@AGO02273572 どうか、わしの願いを聞き入れて、おまえらの審神者にしてほしい。」 どっと刀剣の間に、歓声が起った。 「万歳、ドロップ万歳。」 愛する兄者が、自らの上着を膝丸に捧げた。膝丸は、まごついた。佳き友は、気をきかせて教えてやった。
2016-01-05 01:06:40@hiiragi49 「膝丸、風呂からあがってそのままきたのか。まっぱだかじゃないか。早くその上着を着るがいい。そこの兄は、お前の裸体を、皆に見られるのが、たまらなく口惜しいんだ。その格好は、今夜の、兄弟の時間にとっておけ。契るんだろう。」 膝丸は、ひどく赤面した。
2016-01-05 01:13:41長く険しい戦いが、今ここに終結した――……
起承転結、話の整合性……いえ、知らない子ですね……
なお、膝髭の夜のお楽しみについては、
世知辛い世の中である。