渋谷家の人々 安田先生がやって来た！

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

【安田先生がやって来た！】 ① お盆前になって、 大学で一人暮らししてる 果歩が帰ってくる日。 こんなに会わんの初めてやったから 俺は会うのを楽しみに家に帰った。 ･････そしたら。 果歩の家の前に車が止まっていて。 しばらくするとあいつが出てきた。 #渋谷家の人々

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② 果歩の家からはあいつが。 安田が出てきた･･･。 『じゃあ、お邪魔しました。』 そう言って会釈する安田を、 果歩と、その両親が見送る。 安田は車に戻る途中、 ようやく俺に気づいた。 『おー。渋谷。』 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/cO0OiMOJbf

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③ ｢なんでお前がおんねん！｣ 『えー？だって彼氏やもん。 彼女家に送っただけやん？』 けっ！ノロケやがって！ 俺は舌打ちして 自分の家に帰ろうとした。 ･･･と、そこへ妙ちゃんが帰ってきた。 《あーすばる。おかえり！ 果歩ちゃんに会えた？》 #渋谷家の人々

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④ ｢おん。帰ってきた。 男に送られて。｣ 俺が安田の方をちらっと見てそう言うと 妙ちゃんは軽く会釈した。 すると、安田はにっこり笑って。 『どうも。安田です。 渋谷くんとも仲良くさしてもろてますー。』 その甘い笑顔に、 妙ちゃんは顔をほころばせた。 #渋谷家の人々

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⑤ 妙ちゃんは俺を肘でつつくと 《あら♡めっちゃかっこいいやないの♡ 安田さーん。今日焼肉するけど、 良かったら食べてかへん？》 と安田に声をかけた。 ･････あん！？妙ちゃん！？ 『ええんですか？ じゃあ、お言葉に甘えて♡』 な！？安田！？ #渋谷家の人々

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⑥ 《ええよええよー♡ 今日お父さん帰り遅いから 車もうちに止めたらええし♡》 『ほんまに？お母さんありがと♡ あ、荷物もちますよ。 夕飯ご馳走になるから♡』 安田はそう言うと 妙ちゃんが両手に持ってた買物袋をとり、 スマートに玄関のドアを開けた。 #渋谷家の人々

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⑦ 《めっちゃええ男やわ♡ すばる！あんたも見習いやー？》 そう言うと妙ちゃんは 機嫌よく家に入っていった。 唖然とする俺に 安田はちらっと見て笑う。 『渋谷･･･俺の事見習いや♡』 そして家に入っていった。 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/WT8cvuDD4q

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⑧ ｢ま、まじか･･･｣ 俺は、愕然とする。 安田よ･･･ お前どんだけ ストレートゾーン広いねん･･･ 妙ちゃん･･･ 妙ちゃんも･･･女やなぁ [つづく？] #渋谷家の人々 pic.twitter.com/5jgGXJsrnz

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⑨ 安田はすっかり妙ちゃんと仲良くなって 焼肉の用意を手伝ってる。 妙ちゃんも楽しそうに笑って。 俺はダイニングからそれを眺めてた。 ･･･と、そこへ俺の援軍が帰宅。 [ただいまー。って、誰？] 亮！ こんなにお前の帰りを 待ちわびたんは久々や！ #渋谷家の人々

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⑩ その声に反応して 安田がひょこっと挨拶する。 『どーもー。安田ですー。』 その雰囲気に亮は不愉快そうにして。 [名前とかどうでもええねん。 誰？なんでうちにおるん？] せや！亮！ナイスや！！！ いけ！もっと言うてやれ！！！ するとそこへ妙ちゃんが。 #渋谷家の人々

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⑪ 《亮！初対面の人に その口のきき方なんなん？ 安田さんは果歩ちゃんの彼氏さんで、 すばるの友達！ あんたもちゃんと挨拶なさい！》 その一喝に亮はしゅんとなって、 [う･･･亮です。初めまして] と呟いた。 ･･･ちっ亮め。 お前は妙ちゃんに弱いな。 #渋谷家の人々

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⑫ そんなこんなで夕飯が始まる。 相変わらず妙ちゃんと安田は楽しそうで。 俺と亮は不貞腐れたまま肉をつついた。 と、亮がハッとして顔をあげた。 [あぁ！？こいつ！ 文化祭で兄ちゃんと演奏したやつやん！ あれ？！先生ちゃうかった！？] お。気づいたか。 #渋谷家の人々

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⑬ [え？･･･先生で･･･ 果歩ちゃんの彼氏で？ って、兄ちゃんが負けた人か！？] ･･･亮。 正解やけどストレート過ぎるわ。 その様子に、安田は笑う。 それが、亮は面白くない。 [なんやねん。勝者は余裕やなぁ。 大人が子供相手にずるいわ！] #渋谷家の人々

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⑭ すると安田は穏やかに。 でもマジのトーンで。 『弟くん。 俺と渋谷に勝ち負けなんてないよ？ てか、大人とか関係ない。 渋谷を子供やとなめた事ないから。 お前の兄ちゃんは、 同じ男としてライバルやったんよ。』 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/egq7AvKFlK

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⑮ その言葉が。 なんだかくすぐったい。 俺が堪らず照れると、亮は口を閉ざした。 そして、妙ちゃんは黙って微笑んだ。 [よぉわからんよ。 両想いが勝ちちゃうん？] 亮は我慢しきれず そうぼやく。 だから俺は亮の頭をポンポンして答える。 #渋谷家の人々

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⑯ ｢結果だけ切り取って見たら 勝ち負けに見えるかも知らんけど。 トータル見たら俺は負けた気せーへんよ。 やって俺も幸せ見つけたし。｣ すると亮はぶぅっと膨れて [やっぱムズイわ。恋愛とか。 俺には無理や。] #渋谷家の人々 pic.twitter.com/esZ9WBoVJx

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⑰ その様子に安田は 俺に笑いかける。 『ええ兄ちゃんやんけ。』 だから俺は答える。 ｢当たり前や。俺やで。｣ それから、どちらからともなく グラスを合わせて乾杯した。 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/btdN1cZcwJ

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⑱ 食事が終わり、 安田が帰る時間。 《安田さん、また来てね。 今度は果歩ちゃんと一緒に。》 『ありがとうございます。』 そう言って出ていく安田を、 俺は外まで見送った。 安田は車に乗る直前、 思い出し笑いしてから 俺に話しかけた。 #渋谷家の人々

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⑲ 『お前の弟。 お前とは正反対な真っ直ぐな奴やけど どことなく似てるな。 さすが、兄弟やな。』 それが素直に受け止められなくて、 俺は皮肉で返す。 ｢嫌味か？ 俺と亮が血ぃ繋がってないん知ってて。 悪趣味やでwww｣ すると安田は俺の肩をグーパンした。 #渋谷家の人々

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⑳ 『アホな事いうな。 お前らは間違いなく兄弟や。 あのあったかいお母さんが築いた 血の繋がりも超えたええ兄弟や。 二人仲良く、お母さん支えたりや？』 その言葉がじんわり染みる。 ･･･相変わらず嫌な男やな。 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/nGcwrFfpN6

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㉑ ｢お前に言われんでも。 支えるに決まってるやろ。｣ ようやく絞り出した返事に 安田は満足そうにすると、 車に乗り込んだ。 『じゃ。達者でな。』 ･･･瞬間。俺は声をかける。 #渋谷家の人々

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㉒ ｢またこいや。 妙ちゃん、喜ぶから。｣ 安田は少し目を丸くして。 それから小さく頷いた。 走り出した車を見送りつつ 俺は思う。 ･･･はぁ。俺はこいつには敵わんな。 やっぱ、先生やな。 【おしまい】 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/WTvYKaOG1k

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