《Madness and rapture》『第二話』

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ジュセー @shiroboshi2

《Madness and rapture》 『第二話』 実況タグ→ #textS57

2016-01-11 21:01:10
ジュセー @shiroboshi2

「……遅いな……」 ベッドの上に寝転びながら、少年は呟く。 彼の名は灰崎 黒星。白星の双子の弟。 肩上あたりまで伸びた髪は異常に黒く、そして自己主張の激しい癖っ毛を持っている。彼は白星の帰りを一人、自宅で待っていた。 今日は遅くなる、と白星は言っていたが……。 1

2016-01-11 21:05:41
@hiiragi_r_t_d

待てども彼は帰ってこない。なぜなら彼はもう…… #textS57

2016-01-11 21:06:12
ジュセー @shiroboshi2

それにしても遅い。 黒星は退屈そうに寝返りをうった。窓から差し込む夕陽が部屋を、彼のどこか冷めた表情を、ぼんやりと照らしている。 空虚。 黒星は、満足感というものを感じたことがなかった。 常に何か、足りないような、そんな人生を歩んできた。恐らく、これからも。2

2016-01-11 21:09:38
ジュセー @shiroboshi2

白星の存在は、そんな黒星の空虚をある程度満たしてくれている。 自分と違い、普通のーー髪の色はともかくとしてーー人間。 家に帰れば直ぐさま机に向かい。学校における生活態度。そういった白星の様子は、どこか滑稽で。そして。羨ましくもあった。2

2016-01-11 21:14:01
ジュセー @shiroboshi2

彼がいるときだけは、黒星は少しの満足感を得られた。だが、何か足りない。一人、足りない。そんな気がしていた。 自分と、白星と、あと一人。 誰かが、いたはずなのに。 その事を考えようとすると、頭痛に襲われる。 「ちっ……まだか?」3

2016-01-11 21:18:43
ジュセー @shiroboshi2

頭痛に苦しみながら、窓を見やる。夕陽が落ちかけ、闇が顔を覗かせようとしていた。 「夜……そうか、夜だ。夜だな。暗い。闇だな」 彼は、独り言が激しい。 回りすぎる思考は、こうして口に出さなければ整理できずパンクするから。 あるいは、彼が常々感じている空虚を紛らわすためであるから。4

2016-01-11 21:22:49
ジュセー @shiroboshi2

何れにせよ彼は、これからも取り留めの無い独り言を呟き続けるのだ。 「何か、何かが足りない。欲しい。欲しい、欲しい……もっと」 夢遊病患者めいて呟き続ける。 部屋は夜の闇に蝕まれ、黒く染まっていく。 黒く、黒く染まっていく……。5

2016-01-11 21:26:59
ジュセー @shiroboshi2

《Madness and rapture》 『第二話』終 #textS57

2016-01-11 21:28:31
@hiiragi_r_t_d

少しづつ物語が始まっていく……オツカレサマドスエ! #textS57

2016-01-11 21:29:19
きゃんてら @Cantera36

もの凄おく危険な… オツカレサマドスエ! #textS57

2016-01-11 21:30:20