叶精二さんによる『天空の城ラピュタ』の解説ツイートまとめ

叶精二さんによる、2016年1月15日に日本テレビ系列『金曜ロードショー』にて放送された際の『天空の城ラピュタ』の解説ツイートをまとめました。 2017年9月29日放送分『金曜ロードショー』『天空の城ラピュタ』関連の小ネタ解説ツイートを追加。 高畑勲・宮崎駿作品研究所 http://www.yk.rim.or.jp/~rst/index.shtml
186
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

登場する飛行艦の名は「アルバトロス号」。 『新ルパン三世 死の翼アルバトロス』と船名及びラストが同じ。 「まるでジュール・ヴェルヌですなぁ」と銭形に化けたルパンが…言ってません(笑)。 フランス海軍風船員帽の赤ボンボンは『名探偵ホームズ 海底の財宝』と同じ。 #ラピュタ pic.twitter.com/YOvVETLeYz

2017-09-29 21:19:51
拡大
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

「アルバトロス号」のフォルムは『ラピュタ』冒頭のシータを拉致していた飛行船 (イメージボードに記されていた船体文字「GZA」は使われていません。「G」はガスの意味だとか)や飛行船艦ゴリアテに似ています。 #ラピュタ #宮崎駿 #スタジオジブリ pic.twitter.com/SK1f6VHqgO

2017-09-29 21:36:36
拡大
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

そして、更に遡った源泉と思われるのが、『悪魔の発明( 原題/Vynález zkázy )』(1958年)に登場する飛行船「アホウドリ(=アルバトロス)」。 ジュール・ヴェルヌの原作(1896年)をチェコのアニメーション・特撮監督カレル・ゼマンが特異な技法で映画化した傑作。 pic.twitter.com/fspmgx1Lt7

2017-09-29 21:42:44
拡大
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

宮崎監督は過去に「手描きの絵もセルも特撮も、みんなまぜてしまうということをやっていますね。ひじょうに感じのいい画面を作っています。お客の目をくらませてみせようという発想で」とお気に入りを表明。 60年代の『ロビュール』日本語版挿絵は『悪魔の発明』を真似たものかも知れません。

2017-09-29 21:46:25
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

「フラップター」は英語の“flap(はばたく)”とギリシャ語のソプター(翼)を掛け合わせた造語。 画像は『宮崎駿イメージボード集』(83年1月)→『Comic Box』(83年2月)→映画制作時のボード。 #天空の城ラピュタ pic.twitter.com/Tptmk1mBUU

2017-09-29 22:05:56
拡大
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

味の素「ライトフルーツソーダ #天空の城ラピュタ」CM youtu.be/e84WR4jc97Q ナレーションは島本須美さんと松田洋治さん。 「ライトフルーツソーダ」は2種類あったのですが、味は何とも…で、 売り上げ目標の3千万本の1/3程度しか売れなかったとか(苦笑)。 pic.twitter.com/9Lfg6bHPbp

2017-09-29 22:19:25
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

ドーラは第二次大戦時に作られたドイツ軍の超巨大列車砲の名と同じ。 機関士のじっちゃんはハラ・モトロという名。東映動画制作の短編『もぐらのモトロ』(62年)と初代ジブリ社長・原徹さんのミックスではと。 ポムじいさんは、森康二さんと近藤喜文さんを足したデザインとか。

2017-09-29 22:44:22
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

ラピュタの墓碑やコントロールパネルに刻まれている文字は「楔形文字」に似ています。5000年以上前から紀元前3100年頃からメソポタミアで使われていた古代文字ですが、詳細はよく分かっていません。ラピュタ人が地上にもたらしたのかも? y-history.net/appendix/wh010… pic.twitter.com/v56HUFaXeQ

2017-09-29 22:57:33
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

背景美術は一文字一文字緻密に描き込んであります。 ムスカのように解読は可能か? と思った人もいるのでは。 下記に解説がありますので挑戦される方は参考までに。 geocities.jp/sun33_soleil/p… ジブリ美術館屋上の石柱も貼っときます。 (途中で挫折しました…苦笑) pic.twitter.com/40f2LIELVY

2017-09-29 23:02:29
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

ラピュタの下部半球体の中で規則的に移動する黒い立方体に刻印された幾何学文様は、先史時代の彩文土器をはじめ世界各地に起源を持つ「卍文(まんじもん)」の一種に見えます。下記サイトの紹介が詳しいです。参考までに。 avantdoublier.blogspot.jp/2014/06/blog-p… pic.twitter.com/Y3A1uHlEGS

2017-09-29 23:09:42
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

日本でも江戸時代以降に絹織物の地紋に使われている「紗綾形(さやがた)」などは卍文の派生形として有名だそうです。 『笑点』大喜利のバックの襖にも使われています(笑)。 avantdoublier.blogspot.jp/2014/05/blog-p… kimonoism.net/blog/2016/04/1… #ラピュタ

2017-09-29 23:14:34
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

最初期のボードより。 タイトルが『天空の聖都 パベルシュミ』でなくて良かったです。 「天空の城」というタイトルは絶妙でしたが、「城」という言葉は作中には出て来こず、ずっと「島」でしたね。 #天空の城ラピュタ #宮崎駿 #スタジオジブリ pic.twitter.com/qQViYLIHWJ

2017-09-29 23:32:45
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

#ラピュタ』の様々な源泉については拙著『宮崎駿全書』に詳述しています。 既に絶版(苦笑)ですが、図書館などで借りて読んで頂ければと思います。 yk.rim.or.jp/~rst/rabo/comp… 終了。お疲れ様でした。 しかし今回の解説、少しは何かの役に立ってるんですかねぇ(苦笑)

2017-09-29 23:33:20
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

2020年11月・12月に #朝日カルチャーセンター新宿教室 で講座「『#天空の城ラピュタ』の源泉」を開催させて頂きました。コロナ禍で半年延期を経て、ようやく開催されたものでした。 以下は、その際に展開した内容の一部です。 ご参考までに。 #叶精二 pic.twitter.com/eYdDOdxAtb

2022-08-12 09:26:44
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

壁画風の図象と文字で神話的物語を暗示する『#天空の城ラピュタ』タイトルバック。後の『#もののけ姫』のタイトルバックもシシ神の壁画でしたが、それらの大元は『#わんぱく王子の大蛇退治』の土器・壁画風タイトルバックではないかと。全ての起点は東映長編に通ず…かも🤗 pic.twitter.com/gtJ2uk5ET7

2022-08-12 10:19:39
拡大
拡大
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

#天空の城ラピュタ』セピア調のOPアニメーションは「ラピュタの歴史」を語ったもの。 イメージボードと絵コンテでは「RAPUTA」と記されていましたが、後に「LAPUTA」に訂正。スウィフトの小説『ガリバー旅行記』に習ったものかと。 ちなみに「RAPUTA」はエストニア語で「振る」の意味だそうです。 pic.twitter.com/kinoOnf1os

2022-08-12 10:28:41
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

スウィフトの『ガリバー(ガリヴァー)旅行記』には以下の記述があります。 謎の「飛島・浮島」に着いたガリバーは、そこが「ラピュタ」と呼ばれていることを知ります。 語源を調べると「ラップ=高い」+「ウントゥー=治める人」という説があるらしいと分かります。しかし、腑に落ちないガリバーは(続 pic.twitter.com/ZVldeTm6MA

2022-08-12 13:07:28
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

続)「ラップ=太陽の光が海水に踊ること」+「ウーテッド=翼」ではないかという自説を思い付き、当地の学者たちに提起したとあります。しかし、真相は「賢明な読者諸君の判断にお任せします」と記されていて不明です。 作中のラピュタの紋章(国章)にも翼があります。 #ラピュタ pic.twitter.com/ggmhpeblIp

2022-08-12 13:11:51
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

#天空の城ラピュタ』紹介文に「『ガリバー旅行記』が原作云々」と記されることがありましたが、作中パズーはシータに「『ガリバー旅行記』でスウィフトがラピュタの事書いているけど、あれはただの空想なんだ」と辛辣な台詞で完全否定します😅。これには理由があって『ガリバー』のラピュタは(続 pic.twitter.com/wB2sYDm85Y

2022-08-12 21:00:09
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

続)直径7050mの正円形で、厚さは300m、底部はなめらかな硬石製、中心部の長さ6メートルの巨大な磁石が動力源で、地上の海中磁石に反応して高度6Km以下の空中を移動することが出来るというもので、作中とはかなり違います。名称と設定の一部は借りたが、そのイメージで見られては困るということかと。 pic.twitter.com/dmwzYPAI0N

2022-08-12 21:11:24
拡大
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

宮崎監督はよほど『ガリバー旅行記』のイメージを崩したかったのか、「企画製作メモ」に、「プラトンの地理誌『天空の書』に「ラピュタチリス」という紀元前500年以前に栄えた天空帝国の記述があり、『ガリヴァー』はこれをモデルにした」という凄い裏設定を作っています。

2022-08-12 21:15:26
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

ラピュタは「空に浮いている島」なんですが、「天空の島」ではなく「天空の城」とされています。これにも理由があって、元のデザインは本当に「城」でした。 最初期に描かれたイメージボードは「ラピュタ」という名ではなく、「聖都パベルシュミ」と呼ばれる高層の城でした。 pic.twitter.com/iTimPzZWml

2022-08-12 21:22:36
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

天帝の住まう雲に囲まれた古城風の第1層、騎士の住まう第2層、「エデンの園」という第3層、人民の住む第4層から成り、最下部には地上にあった時から使われていたという城門が描かれています。 このイメージは、ピーテル・ブリューゲルの名画『バベルの塔』(1563年以降)によく似ています。 pic.twitter.com/6gamT8AdLX

2022-08-12 21:26:41
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

天空に聳える塔を築かんとして倒壊し、人々が地上に散り散りになった地バベル。おそらくこりが「聖都パベルシュミ」のネーミング元。古代メソポタミアには空に浮かぶ庭「空中庭園」の伝説もあり、「エデンの園」などの設定も含めて、『旧約聖書』「創世記」に準えてラピュタの歴史を創作した可能性も。 pic.twitter.com/UefWSaQK01

2022-08-12 21:36:10
拡大
叶 精二(Seiji Kanoh) @seijikanoh

冒頭のラピュタ史に戻ります。 風車と炉を動力とする原始的掘削機で地中を掘っていた人々は、地中深くに飛行石を発見する。 やがて巨大な風車によって地下を掘り尽くし、飛行石を結晶化する技術を開発する。 ついに飛行機械が空を飛ぶ時代が到来する。(続 pic.twitter.com/ZRorcRd0Ru

2022-08-12 21:47:01
拡大
拡大
拡大
拡大