苦痛めいた世界の端っこ。冷えた指先であなたをなぞれば、もう少しだけ繋ぎ留められると信じた。夜に沈んだまま、もう朝なんて来なくていい。幻想じみた夢の狭間で、ずっと惑っていたい。ずっといっしょにいよう。 #底冷えに彷徨えば
2016-01-05 02:31:33その手の昨日を窺うのが嫌だった 温かさはあなただけのものではない 渇いた髪は隙間から溢れて 暗闇に紛れ込んだ 順応していく目と割り切れない心と 嘘みたいな言葉がただ沈んでいく 爪先を見ないようにしないと #底冷えに彷徨えば 悴んで分からなくなってしまうとでも思っているのだろうか
2016-01-05 03:09:50形のないものばかり欲しがっては悴んだ掌を握りあった。炭酸水をぶちまけてしまった深夜は、頭を撫でて慰めてほしかった。行き場のないままの二人、狂った足取りで進めば、辿り着くかしら。望んだ世界。 #底冷えに彷徨えば
2016-01-07 00:27:15近づけば近づくほどに互いに痛みを感じる細い針のよう。遠ざかれば遠ざかるほどに暖かな暖炉のよう。触れれば触れるほどに離れたあとの冷たさを感じてしまう雪のよう。いつか離ればなれになってしまうことを知っていた。あの冬の喜びは永遠じゃないことを分かっていた。 #底冷えに彷徨えば
2016-01-07 01:04:01叱られるのはきっと私が悪いから。十歳の心は先生を疑わなかった。事毎に目の敵。吊し上げ。泣くのは恥だと思っても、男の子達に髪を毟られ背中を蹴られ、病む弟を蔑まれて泣いた。両親は、私が皆に好かれていたならここまでの思いはすまいと言った。清い心がほしい。眠れなかった。#底冷えに彷徨えば
2016-01-07 01:27:20刺しかかる夜気の中へ出ると、若き日の母を想う。痩せ細った小柄な身体に地味なオーバーを纏い、足早に歩いた母。多動で目の放せぬ弟の手を掴み、遠い病院に通った日々。長い橋を渡る時、川風が擦り切れたスカートに吹きつけたろう。この子を治す。その一心で歯を食い縛った母。#底冷えに彷徨えば
2016-01-08 00:00:24不器用過ぎる言葉が、一人でどこまでも泳いでゆくから、捕まえて欲しい。泡ぶくや喉を震わす周波数みたいなものしか、本当はいらない。願いだけで、きみに本心を伝えることができるならいいのに、叶わない。 #底冷えに彷徨えば
2016-01-08 02:38:01哀しみと痛みとを、この夜の温度で凍らせて。切り裂いた皮膚から湧き立つ、緋色。両の手を汚す。 暗闇を浮上して遠退くあなたはそんなわたしを見て手を伸ばすから、それを払わなければならなかった。 (本当は頬に触れ、染め上げたかった) #底冷えに彷徨えば そのときの、あなたの顔といったら。
2016-01-08 23:11:17泡沫に沈むから、目を瞑らなければならなかった。澄んだ世界を直視できなくて、きらきらは毒に変わる。それを注がれれば、カラダはもう、助からない。依存の指先を掠める幸福。満たされたふり、して、みせてよ。 #底冷えに彷徨えば ほら、口ずさんだ唄も、あなたには届かない。
2016-01-08 23:38:44憧憬を引きずり降ろして、それを恋と呼んだ。履き違えたのだ、なんて、言い訳を用意して、情欲めいた色彩に汚れていく。燃え盛る熱量は、いずれ潰え、あなたはわたしから去るだろう。そうして、 #底冷えに彷徨えば 。いつかに辿り着けるだろうか。
2016-01-10 17:57:54【告知】 #底冷えに彷徨えば 概要:企画名がお題の創作企画 期間:1/15〜17 対象:創作物。文章、絵、写真、その他。 備考:終了後トゥギャ。日替りお題予定。 類似企画:#熱帯夜を泳げば togetter.com/li/863657
2016-01-12 22:39:25偽りにも温もりがあり それでも僕は構わないと信じた 君はやがて気づくだろうか 霜柱で浮遊する腐葉土のような 想いを #底冷えに彷徨えば
2016-01-13 22:31:17凍り付いたまま、落涙。あなたは誰の手を取る。嘘に塗れた少女の微笑、口角を吊り上げて真似てみる。これ以上の罪を重ねる、その前に。唇を塞ぐ誰かが必要だった。病熱に犯されて快楽を追う濁った眼球が、音もせずに転がってくから。私はそれを踏み潰すしかないのだ。 #底冷えに彷徨えば
2016-01-13 22:31:28凍り付いたままの落涙に、僕は無惨にも、傷だらけになる、血だらけになる、煌めく貴方の青脈が生々しく濁るなら、満ち充ちたその熱を接吻で奪おう、汐が引いてゆく跡の貝の欠片のように #底冷えに彷徨えば twitter.com/RAIN_CAGE/stat…
2016-01-13 22:55:56耳をすまして。辿る音色、聴き慣れた調べ。容易く唇を彩るから、涙が流れた。 悲痛の色をした言葉。空虚に廻って、あなたに突き刺さる。その傷口を癒やそうと伸ばした手は、けれどまた深みに嵌まっては広げてしまうから。 死んでしまえと、声帯が震えた。 #底冷えに彷徨えば 1/15:声
2016-01-14 23:55:05大好きだよと、わたしはあなたに微笑む。伝わらないね、温もりが足りない。求めないわたしは、求められない鏡のように。無音映画は口元が動くだけで、声も体温も永遠に届かない。わたしはスクリーンから永遠に出られないまま、身振り手振り、できみに話し続ける。 #底冷えに彷徨えば (声)
2016-01-15 00:12:52空回った言ノ葉で震えた空気は凍んで、想いは鉛となって転がった。鈍くヒカリを反射するそれを、ひとつずつ拾って。何度も何度も、貴女に与える。伝わらないと知って、祈る。逃げ出した夜のこと、ふたりきりの世界のこと。 ねえ、いつかふたり、戻れるかしら。 #底冷えに彷徨えば 。
2016-01-15 10:49:34声、が聞こえた気がして。 辿るように、ふわふわと 裸足のまま。 嗚呼 これは何かの罰だったろうか。 #底冷えに彷徨えば あなたに辿り着けるわけでも、ないだろうに。 (それでも懐かしい音だった気がして、歩は進む)
2016-01-15 10:54:28貴方のように自由には生きられないの、と悲しげに囁いた。羽が生えたように軽やかに動き回る貴方に私はついていけないの。 だから言ってやったんだ。 君がいないならこの翼なんて引き散って見せるから。足りないなら足も削ぎ落とそうか。 #底冷えに彷徨えば これなら愛しているって言ってくれる?
2016-01-15 15:23:39毛糸の靴下を脱いで #底冷えに彷徨えば 剥き出しの爪先から シンシン、と冷えて いたいイタイ痛いよ 募っていく、孤独に じんわりと涙が滲む ふぅと、吐き出した 吐息は白く拡散する コンクリートの壁に 掌を這わせて歩くと 君との記憶が徐々に 崩れ落ちる音がする 「さようなら、君」
2016-01-15 16:43:43#底冷えに彷徨えば 心まで凍り付いてしまう。だから、走らなければ。底冷えに追いつかれる前に。全速力で逃げなければ。 あぁ、ほら、寒い! 丈夫なブーツも、分厚いコートも、毛糸のマフラーも、意味がないわ!! あぁ、ほら、急いで!
2016-01-15 17:07:44