《Madness and rapture》『第六話』

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ジュセー @shiroboshi2

「まぁいいさ、どの道わかるだろうし。キミは説明を望んでいるね?ボクもそれを望んでいる。 だから、さぁ、始めようか。ボク達と、『ゲーム』を」 彼は変わらず微笑を浮かべながら、芝居がかった語りを始める。『ゲーム』。単調な言葉。13

2016-01-22 20:05:10
ジュセー @shiroboshi2

「シンプルなものさ、至ってシンプル……陳腐なほどにね。ボクの刺客がーーボクのトモダチが、キミ達の世界に侵攻する。トモダチを全員倒して、ボクの元まで辿り着ければキミ達の世界の勝ち。何か願いぐらいは叶えてあげよう。逆にキミ達が全員倒されれば、ボク達の勝ち。この世界はボク達の物だ」14

2016-01-22 20:09:57
ジュセー @shiroboshi2

心底愉快そうに彼は話し続ける。 黒星は、珍しく独り言を発さず、黙ってマルジャークの説明を聞いていた。 (illust :さい。@Sai_xx31 様) 15 pic.twitter.com/OYLcyMIhTy

2016-01-22 20:16:58
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@hiiragi_r_t_d

挿し絵カワイイ!人の話を聞かない感じが出ている #texts57

2016-01-22 20:19:12
ジュセー @shiroboshi2

「キミ達といっても、この世界の住人全てというわけじゃあ、ないよ。そんなの骨が折れるからね。キミ達というのは、《***》を認識し、それを理解した者達ーー異能力者と呼ばれる者達。あるいは、その可能性を秘めている者達。あぁ、白星君は後者だったね。それらが、『ゲーム』の参加者になる」16

2016-01-22 20:21:59
ジュセー @shiroboshi2

「……あぁ?」 今まで黙って聞いていた黒星が、口を挟む。白星、という言葉に反応したというところもある。だが、それよりも。不自然な単語に気づいたから。 「おいまて、なんだその、それ……《***》?あぁ!なんだこれ!不可解だ!」17

2016-01-22 20:25:47
ジュセー @shiroboshi2

自分でも発せられたかどうかわからない。知っている言葉であるはずなのに、そこにデジャヴは無く。この会話の中に、何回も出てきている筈なのに。不明瞭で。 「《***》。ふふ、そうだね。キミはまだ分からない。でも、分からなければいけない、理解しなければいけない。そしてその奥まで」18

2016-01-22 20:30:37
ジュセー @shiroboshi2

マルジャークは肩を竦める。 「もう死んでしまったけれども、白星君だっておんなじさ。おんなじ、だったか。そして依然眠ったままの彼女にも。キミ達は異能力者の範疇では……これ以上は、まだ楽しみにとっておこうかな!」 ……言い終わる頃には、マルジャークの姿は忽然と消えていた。 19

2016-01-22 20:34:20
ジュセー @shiroboshi2

まるで始めから居なかったかのように。虚空だけが、そこにあった。 「彼女。足りない、一人……。眠った、まま?」 マルジャークが先程まで居たであろう空間に、手を伸ばす。 風が、吹く。 木の葉が、揺れていた。20

2016-01-22 20:39:05
ジュセー @shiroboshi2

《Madness and rapture》 『第六話』終 #textS57

2016-01-22 20:41:47