鬼才押井守が「サザエさん」の監督をもし引き受けたら？

おはぎ @ohagi2334

私の中の押井守監督に新しいサザエさんの監督になってほしいと頼むと、「自衛隊のクーデターを磯野家が協力して鎮圧する話」「波平が戦車で通勤する話」「サザエやワカメの髪型はおかっぱに」「磯野家は猫（タマ)ではなく、バセットハウンドの犬を飼う設定」を要望し、フジテレビを困らせるだろう。

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東芝の不正会計で揺れていたのは、東芝だけではなかった。フジテレビのサザエさんもまた100年続くTVアニメとして、東芝の問題を含め次の一手を考えなければならなかった。そこでフジテレビとエイケンは抜本的対策として、私の中の押井守さんにサザエさんの監督のオファーを出すことに決めた。

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私の中のフジテレビとエイケンと広告代理店等がサザエさんの監督に私の中の押井守さんを選んだのは、①経験・実績・知名度②うる星やつらのヒット③意外性④新しいサザエさん像を提示できる。という理由だ。東芝の不正会計にゆれるサザエさんを救えるのは押井さんしかいない。気運が高まりつつあった。

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私の中のProductionIGを通して、私の中の押井さんへサザエさんの監督オファーが為されたら、押井さんは困った顔をしながらも「僕にサザエさんの依頼が来るとは思わなかった。でもサザエさんを通して東京とシステムとしての家族が描けるかもしれない。やってみてもいいかも」と思うのかも。

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私の中の押井守さんがサザエさんの監督オファーを聞いて思い浮かべたのは、湾岸沿いでカツオがワカメに家族論を語るシーン。「ワカメよ、俺達が守るべき家族。だがこの国のこの街の家族とは一体何だ？」。押井さんの中で、サザエさんを通してシステムとしての家族を描くイメージが出来つつあった。

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カツオ「ワカメ。磯野家として、長男として、俺たちが守ろうとしてるものってのはなんだろうな。前の戦争から半世紀、俺もワカメも生まれてこの方、戦争なんてものは経験せずに生きてきた。家族…、俺たちが守るべき家族。だがこの国のこの街の家族とはなんだ。」

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カツオ「かつての総力戦とその敗北、米軍の占領政策、ついこの間まで続いていた核抑止による冷戦とその代理戦争。そして今も世界の大半で繰り返されている内戦、民族衝突、武力紛争。そういった無数の戦争によって合成され支えられてきた、血塗れの経済的繁栄。それが俺達の磯野家の中身だ。」

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ワカメ「そんなきな臭い家族でも、それを守るのが私達の仕事よ。不正義の家族だろうと、正義の家族より余程ましよ」

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カツオ「ワカメが正義の家族を嫌うのはよく分かるよ。かつてそれを口にした連中にろくな奴はいなかったし、その口車に乗って酷い目にあった人間のリストで歴史の図書館は一杯だからな。」

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カツオ「だがワカメは知ってる筈だ。正義の家族と不正義の家族の差はそう明瞭なものじゃない。家族という言葉が嘘吐き達の正義になってから、俺達は俺達の家族を信じることができずにいるんだ」

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私の中の押井守さんの中には、夕焼けの湾岸でカツオとワカメが家族論を議論する光景が目に浮かびながら、自身は波平に感情移入を寄せていた。そんなカツオとワカメが戦車に乗り自衛隊のクーデターを鎮圧する話を書きたい。押井さんの中でイメージが具体化しつつあった。

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他にも私の中の押井守監督は、サザエさんにおける一家団欒の食事の会話が聖書や古典・名言の引用を交えながら行われること、磯野家で大洗海水浴場に行く話、人形使いの三河屋が磯野家に電脳ハックを仕掛ける話など、様々なアイディアが次々に浮かびつつあった。

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私の中の押井さんの中では自分と波平を重ねて見ていた。「波平を自分に置き換えれば、サザエさんを作れるのかもしれない。」最初はサザエさんの監督のオファーに半信半疑ではあったが、色々考えた末に徐々に不安が確信へと変わり、オファーを承諾することになった。

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私の中の押井守監督は「サザエさんをやる時に困るのが、猫（タマ）を飼っていること。できれば猫はいなかったことにして犬にしたい。それもガブリエルという名前のバセットハウンドにしたい。そして犬との散歩シーンはぜひ書きたい」と自らのサザエさん像を思い浮かべつつあった。

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私の中の押井守さんはサザエさんの監督オファーを承諾。ただ次の条件を出した。「猫ではなく、犬のガブリエルを飼わせたい」「自衛隊のクーデターを磯野家が鎮圧する話を書きたい」「戦車と立ち食い描写を入れたい」「波平は空手経験有りと設定を付け加える」etc。フジとエイケンはこの提案に悩む。

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私の中の押井さんが出したサザエさんの監督をやる条件について、フジテレビやエイケンは新機軸のサザエさんを打ち出すためには仕方がないと条件を飲むが、一点「タマから犬に変えるのは、今までの経緯を考えても難しい」と返答。押井さんは「犬が飼えないアニメはやれない」と話は平行線になる。

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結局フジとエイケンは「猫のタマと犬のガブリエルを一緒に飼う」という妥協案を私の中の押井さんに提示し、押井側も承諾。また私の中の制作体制もエイケンとProduction I.Gの共同制作になると発表。両社のシナジーでサザエさんが生まれ変わるとの期待が高まる。

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私の中も東芝も「今変革しないといけないのは東芝も同じ。（私の中の)押井さんを起用するサザエさんの大胆な路線変更は会社の方向性とも合致する」として、押井サザエさんの方向性を支持。押井サザエさんが始動するための外堀は埋まった。

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こうして私の中の押井守監督サザエさんが2017年から開始。私の中のスタッフだと、押井サザエさん1話は、脚本：雪室俊一　演出：押井守　原画：黄瀬和哉。タイトルは「波平、戦車で通勤」「磯野家、大洗海水浴場へ行く」「カツオ、キルドレになる」の3本でお送りすることになった。

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一方で私の中の東芝、フジテレビ、エイケンから私の中の押井さんに一つ要望があった。それは「磯野家は無かった。サザエさんはいなかった、全ては胡蝶の夢という話は止めてほしい」と。押井さん側も「そのパターンをやるつもりはない」と申し入れる。こうして押井サザエさんの基本的路線は固まった。

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私の中の押井守サザエさんは無事1話の放映を終了。今後私の中の押井守さんの中では「榊原良子さんの新キャラ投入」「磯野家がポーランドに行く話」「ノリスケが立ち喰い師だった話」「犬（ガブリエル)の散歩と犬のうんちく話」等をやる予定でいるようだ。

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私の中の押井守サザエさんは、音楽に川井憲次を起用。また制作にあたっては東京中を写真撮影し、レイアウトの参考にする。そして大胆な3DCGの導入など次々にサザエさんをリニューアルしていくことになる。