- tasobussharima1
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その時。得度兵器の内部では、ある演算が行われていた。 ……それは、『解脱の拒絶』という命題に対する演算である。 目の前の人間が、解脱を拒絶する行動を取った。このような事態は、少なくともこの得度兵器は経験したことが無かった。それは『解脱を望む者達』を解脱させてきたが故のこと。
2016-01-25 21:04:06今まで得度兵器の前で明確に解脱を拒否した人間はいなかったのか……いや、たぶんこの個体だけの経験の話なんだな。あの街にいる人々は基本的に解脱を目指していたようだし #徳パンク
2016-01-25 21:07:02解脱の拒否という前提は、わずかに前の結論への再検討を迫る。『わたしを……たすけて』つい先程行った演算に、新たなパラメータが加わる。解脱以外の可能性。それを求め、『得度兵器』は思考を続ける。いや……解脱という結論を疑った時点で、『それ』は、もはや『得度兵器』では無かった。
2016-01-25 21:08:02答え無き問は思考を果てなきループへと導き、リソースを永遠に吸い上げ続ける。 自らの存在意義を疑ったが故の無為。真なる救済への問が解決されることは、決して無い。 ------
2016-01-25 21:12:07「救いとは何か」を延々と真剣に考え続けるというのは本来人間がすればかなり徳を積める修行になりうると思うんだけど、得度兵器はどれだけそれを突き詰めようとも機械故に徳を得ることもないのだなぁ #徳パンク
2016-01-25 21:14:31「止まっ……たの?」 「最後のあがきか。驚かせやがって」 ガンジーが悪態をつく。 「一回、上まで上がろう。こいつを分解する必要がある」 「でも……これで」 少女の背筋を、えもいわれぬ快感が走る。
2016-01-25 21:16:04深い問題にも思えるが、昔のマンガとかにあった答えのでない質問をされると「リカイフノウリカイフノウ!ピガガーッ」ってなって爆発するコンピュータみたいにも見える #徳パンク
2016-01-25 21:16:48『かみさま』を、屈服させたという背徳の快感が。自らの日常は永遠に失われたのだという希望が。 だが、二人はまだそれに気付かない。 「ああ。ミッション完了だ」 「やったな」 ガンジーとクーカイは拳をぶつけあった。
2016-01-25 21:20:01これは、小さな小さな始まりに過ぎない。人類は依然危機に瀕し、世に徳少なく、得度兵器が地上を跋扈する。それでも明日への希望は繋がり、勝ち取った勝利は、確かにその手の中にあった。
2016-01-25 21:24:00