手動つぶやきまとめ②(2015.9/27-2016.1/31)

昨年9/27から今年1/31までの手動妄想ツイートをまとめました。 ハロウィン仕様イベントツイートも含んでおります。
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プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

しばらく歩くと、簡素な家が見えてきます。扉を叩くと、中からフランケンの青年が出迎えてくれました。彼は名をアドニスくんといいます。強面ではありますがとてもやさしい青年です。村のおいしい肉を差し出すと、彼の目元が少し緩んで笑みが浮かびました。赤ずきんは彼のこの表情がとても好きでした。

2015-11-08 18:45:14
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

彼は料理を振舞ってくれるので、ありがたくいただきます。おいしいと素直に言うと、彼は「そうか」とだけ言います。わかりにくいのですが、喜んでいるのです。彼といる時間はとても癒されるので、ある意味ではハロウィンでの一番の楽しみと言えます。そうこうしているうちに時間が過ぎていきます。

2015-11-08 18:48:22
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

彼は見送りのときに、特に大げさな言葉は並べません。短く、「何かあったらいつでも呼べ。俺が守ってやる」とだけ言います。頼もしくやさしく言葉足らずな彼の、毎年同じようなこの言葉が、赤ずきんはとても好きでした。別れを告げて、家を出ます。一年後のこの日に。またね。会いにくるよ。

2015-11-08 18:54:00
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

(この森は、みんな彼女にやさしい者ばかりです。しかし、いつ彼女に危機が訪れるかわかりません。だから約束しています。必ず俺が守ると。彼女がかつてのようにちいさくて弱い生き物ではなくなっていても、彼女がここに通い続けてくれる間は、彼女を守るのは俺でありたいのです)

2015-11-08 19:00:47
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

またしばらく歩くと、道がだんだん整えられていきます。これは赤ずきんの長年の努力ではなく、これから向かう屋敷に住まう吸血鬼の力です。赤ずきんのためにわざわざ道を整えてくれたのです。とはいえ、まだ日も明るい時刻、きっと本人は、棺桶の中で眠りこけているのでしょう。

2015-11-08 19:07:06
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

道をたどりついた先にそびえる、広大な屋敷の扉を叩くと、重たい音を立てて扉がゆっくりと開きました。そっと足を踏み入れます。日光は差し込まず、埃の匂いと、蜘蛛の巣が垂れ下がる、陰気な家です。知り合いの吸血鬼の部屋は、大階段を登って右の通路の奥の奥にあります。階段を登るのも一苦労です。

2015-11-08 19:13:12
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

その部屋の扉は、ひときわ重厚に作られている割には、いつもほんの少し開かれています。来客を歓迎しているのか、それともただの締め忘れか。ともかく、赤ずきんは部屋に入り、真っ先に棺桶に近付きました。叩き起こすのは以ての外、寝起きの彼に近付くのも危険だと身を持って知っています。

2015-11-08 19:43:51
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

なので、かつてコウモリの双子に教えられたように、傍に落ちている笛を吹きます。ぴ〜ひょろろ。少々間抜けな音ですが、これで彼は起きるのです。数回吹くと、棺桶の蓋がガタガタと音を立てて開きます。眠そうな赤い目をこすりながら、吸血鬼が目を覚まして言いました。「おお…嬢ちゃんか。おはよう」

2015-11-08 19:50:56
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

どうやら朝飯と勘違いされ、「美味そうな小娘じゃ」などとのたまわれなくて済んだようです。挨拶を返し、眠気覚ましにとトマトジュースを渡します。礼を言って受け取る、零という名の吸血鬼は、朗らかに笑いながら近況を尋ねてきました。寝起きと夜中以外なら、人のいい吸血鬼なのです。

2015-11-08 20:01:25
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

これからどこへ行くのかと尋ねられ、赤ずきんは晃牙くんのところですと返しました。晃牙とは、零からはわんこなどと呼ばれる、狼男の少年のことです。吸血鬼は鷹揚に頷き、中身を飲み干したカップを赤ずきんに差し出します。受け取ろうと身を乗り出すと、不意に腕を掴まれました。

2015-11-08 20:07:31
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

まずい、と思ったが遅かった。左側から背中に回された腕が強い力で拘束し、右腕も掴まれて抵抗を阻む。首筋に柔らかく唇が触れ、ぞくりと背筋が震えた。吸い付くように何度か触れると、鋭い犬歯が肌に軽く食い込んだ。体が痺れる。引き結んだ唇から声が漏れる前に、赤ずきんは拳をぐっと握りしめた。

2015-11-08 20:18:05
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

赤ずきんが目一杯の力を込めて拳を振り上げる前に、吸血鬼はさっと離れ、からかうように笑いました。「すまんすまん、あまりによい匂いがするものじゃったから、ついな」 赤ずきんの睨みもどこ吹く風で、吸血鬼はあくびをひとつします。「嬢ちゃんや、そろそろ行かぬと日が暮れてしまうぞ」

2015-11-08 20:24:14
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

赤ずきんが気を取り直し、服を整えていると、吸血鬼はそっと手招きをしました。近付くと、愛おしげな指先がそっと赤ずきんの頭を撫でます。「またおいで、嬢ちゃん。いつまでも待っておるから」 赤ずきんはこくりと頷いて、今度こそ立ち上がります。一年後のこの日に。それではまた。会いに来ます。

2015-11-08 20:30:32
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

(宝物庫に入れて、永遠に若く愛らしいまましまっておきたい。もしくはこの屋敷に住まわせて、死ぬまで傍においておきたい。しかしそれでは、森の愛しい子たちの反感を買ってしまいます。だから今は、我慢しましょう。でも欲を言うなら、せめて数十年後の彼女の亡骸は、どうか、我輩のもとに)

2015-11-08 20:36:20
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

屋敷を出て歩くと、また道ならぬ道に戻っていきます。この先に、狼男の少年がいます。でも彼は家を持たないので、あまりすぐには見つかりません。すると、足元にふわふわしたものが当たりました。見たことのある犬が、赤ずきんに頭をすり寄せています。犬は赤ずきんを見ると、前に来て歩き始めました。

2015-11-08 20:41:43
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

どうやら先導してくれるようです。ついて歩くと、洞窟にたどりつきました。犬が穴に入っていくと、しばらくして灰色の毛並みを持った狼が出てきました。すぐに彼は人間へと姿を変えます。「今年も来たのかよ」と面倒臭そうに言いますが、赤ずきんが食べ物を差し出すと、満更でもない顔をしました。

2015-11-08 20:47:02
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

彼は口が悪く、素直とは言えませんが、とてもやさしい少年です。気兼ねなく話せることもあって、赤ずきんは毎年、彼に会うのをとても楽しみにしていました。彼は森で起こることや、新しい仲間のことを話してくれます。赤ずきんが喋らないことを無視して喋ってくれるので、余計な気遣いもいりません。

2015-11-08 20:54:28
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

話しているうちに、日が傾いてきました。そろそろ帰らなければいけません。その旨を告げると、彼は頷いて立ち上がり、無言で手を差し出してきました。その手に自分の手を重ね、立ち上がります。彼はいつもこうやって、赤ずきんの手を引いて森の出口まで送り届けてくれるのでした。

2015-11-08 21:00:14
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

少し肌寒くなってきました。彼の手に引かれて歩く赤ずきんの視界に、白くぼんやりしたものが増えてきます。空洞のような黒い目が、赤ずきんをじっと見つめています。赤ずきんの手を握る彼の手に、ぐっと力が強まりました。赤ずきんも黙って握り返します。言われなくても、彼から離れる気はありません。

2015-11-08 21:06:44
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

ようやく森を抜けると、夕暮れが村の教会の後ろで輝いていました。彼は赤ずきんを振り向き、村までもうすぐだが気をつけろだとか、村でもあの神父には用心しろだとか、いろいろと警告して、そのまま黙り込んでしまいました。繋いだ手を離さないまま。それをじっと見つめたまま。

2015-11-08 21:12:22
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

「来年も会いに来るから」「…おう」「また会おうね」「…おう」「また話聞かせて」「…おう」「またね」「…じゃあな」 手を離して、もう一度彼の顔を見てから、赤ずきんは門へと向かっていきました。繋がっていた右手が急に冷え込んでいくようでした。一年後のこの日まで、ほんの少しのお別れです。

2015-11-08 21:18:40
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

(一度だけ、あいつを傷つけてしまったことがあります。それを深く後悔しています。あいつを村まで送り届けるのは俺の役目です。手を引いて、魔物どもを睨みつけながら。村につくと、安心と同時に、どことなく体が冷え込むような気がします。あいつの、また来る、という言葉に、幾分暖かくなるけれど)

2015-11-08 21:23:11
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

赤ずきんが村に入ると、神父がすぐにそれに気付き、駆け寄ってきました。無事を確認すると、安堵したように微笑みます。赤ずきんは、村を出てから戻るまでの数時間、彼が外でずっと自分を待っていることを知っています。申し訳なさもありますが、うれしさとどことなく愛しさも感じてしまうのです。

2015-11-08 21:27:46
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

神父と別れ、家路につきながら、赤ずきんは森を振り返りました。森にいる彼らは、赤ずきんの大切な存在です。来年も、会いに行きます。再び心の中で強く約束して、赤ずきんは家に帰ります。今日は同い年の少年たちとパーティをする予定です。右手をきゅっと握りしめ、赤ずきんは帰る足を早めました。

2015-11-08 21:33:35
プロデューサーとアイドルbot @anst_Nl

【逃避行未遂】 「遠くに行けば、いろんなもの、ぜんぶ置いていけそうな気がした」 休日の早朝、転校生から出かけないかという遠出の誘いがあった。二つ返事で了承して彼女のもとに向かったスバル。しかし、出会った転校生はいつもと違うように見えた。滲むような微笑みが、目に焼き付いて離れない。

2015-11-10 21:03:06
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