鰯の頭も信心から

節分の鰯の頭の話。
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縁側の刀 @NA_honmaru

お風呂をでたら鰯の頭のはなしをしよう

2016-02-03 22:17:00
縁側の刀 @NA_honmaru

さて、と、焼嗅だったね。

2016-02-03 23:44:54
縁側の刀 @NA_honmaru

お風呂はいって綺麗になったあとに匂い物の話をするのもなんだけど、まあいいや。 僕の知ってるかぎり、起源はけっこう旧くて、土佐日記の中に「小家の門の端出之縄(しりくべなは)の鯔(なよし)の頭、柊らいかにぞ。とぞいひあへなる」

2016-02-03 23:54:16
縁側の刀 @NA_honmaru

つまり家の門に柊をくっつけたしめ縄をさげて、ボラの頭でつくった「なよし」ってまあ、下げるものだよね。これを飾っていた風習がある。元々は魚と柊だけでなく、しめ縄もつかっていたんだね。

2016-02-03 23:56:24
縁側の刀 @NA_honmaru

注連縄は、古事記では「尻久米縄」(しりくめなわ)、万葉集では「標縄」って表記で出てきていて、両方とも「占める」って言葉の派生語といわれているんだけど、同じ万葉集の額田の大王の有名な歌、しってるかな。「あかねさす紫野ゆき標野ゆき」っていうアレだよね。

2016-02-03 23:59:12
縁側の刀 @NA_honmaru

この「標」っていう言葉が「一定のかこった部分」「他者の立ち入りをできない部分」って意味があるんだよね。「標野」っていうのは、貴族や皇族の占有地で、基本的には立ち入り禁止区域。標縄は立ち入り禁止区域を示すための縄、って意味だね。

2016-02-04 00:04:53
縁側の刀 @NA_honmaru

普通に漢字で、君達が一発変換できる表記は「注連縄」これは、中国の道教でお葬式のときに死者の魂をよせつけないようにする目的でかける「注連」、水で濡らした縄のことなんだけど、このあたりは霊験導師でもみてきて。

2016-02-04 00:08:20
縁側の刀 @NA_honmaru

この「注連縄」が一番最初につかわれたのはどこかっていうと、天照大神が岩戸から出てきたあと。もう二度と彼女がお篭もりさんにならないようにっていうんで、縄を貼って入れないように「閉め出した」っていうのが最初。

2016-02-04 00:10:59
縁側の刀 @NA_honmaru

今更だけどこの話死ぬほどながくなるから覚悟しておくといいよ。

2016-02-04 00:12:35
縁側の刀 @NA_honmaru

つまり、最初から注連縄には「一定の場所に特定のものが入ってこないようにする」機能がついていたわけだ。この辺の話石切丸のほうが詳しいとおもうんだけどこれと柊の話しとかないと、本当に話したい魚の頭までいけないんだよ。

2016-02-04 00:15:27
縁側の刀 @NA_honmaru

で、土佐日記にもどると、この注連縄に柊の葉っぱを足す。柊についても古事記に表記があって、「比比羅木」ひいらぎだよね。これが魔を払うものとして、これでつくった矛の話がでてくるんだ。注連縄に魔を払うひいらぎを足して、悪い物を外に閉め出す、と。

2016-02-04 00:22:39
縁側の刀 @NA_honmaru

ところで、比比羅木之其花麻豆美神って古事記にほとんど名前しかでてこない神様が須佐能袁能神社の中の疱瘡神社の祭神になってるんだけどこれはどういうことかなー。深読みできるよねー。疱瘡神っていうのは天然痘関係の、まあ疫病神で、祀ることで病気を軽くしようって考えがあるよ。

2016-02-04 00:26:33
縁側の刀 @NA_honmaru

逆に、疱瘡神社と名がついてはいるけれど、疱瘡神ではなくそれを直してくれるほうの神様を祀る社っていうのもあるんだけどさ。そういう社にはだいたい薬の神様の少彦名命さんがいるんだよね。なぜここで柊なのか、っていう。この神社の社は赤い。

2016-02-04 00:30:47
縁側の刀 @NA_honmaru

疱瘡神が赤いものを避ける、っていう俗説があってね。この神社は柊の神様、つまり魔除けの神様と、赤い社で、疱瘡神を追い払うようなつくりになっているわけだ。須佐能袁能神社っていうのは面白い神社でね。もともと須佐能が厄神なのに加えて末社、つまり一緒に祀られている小さい副社に

2016-02-04 00:35:14
縁側の刀 @NA_honmaru

さっきの少名毘古那神(少彦名命)さん、月弓尊……月読っていったほうが君らには通りがいいかな?食べ物の神様を殺してしまったがために天照大神に怒られて昼に暮らせなくなった神様で、彼も悪神とされているよ。さらに、迦具土神、火とかまどの神様だね。

2016-02-04 00:38:22
縁側の刀 @NA_honmaru

さっき月読さんが殺してしまったのとは別の食べ物の神様で宇迦之御魂神、御井神って水関係の神様、大物主神ってこれも田んぼと水関係の神様、大地主神って田んぼの神様、さらに兼務社……神主さんが面倒をみている他の場所の神社としてね。

2016-02-04 00:42:54
縁側の刀 @NA_honmaru

高御産単日神っていう、やっぱり名前くらいしかでてこないけど世界の創造に関わったであろう偉い神様と、伊邪那美尊、イザナミさんだね。根の国や黄泉国といわれる、所謂死人の国の神様の神社を兼務してるんだよ。

2016-02-04 00:44:49
縁側の刀 @NA_honmaru

わかるかな。水回りと食べ物関係が徹底して死と疫病に結びつけられているこの感じ。須佐能袁能神社っていうのは茅の輪くぐりの発祥の地と伝えられていてね。お正月に茅の輪を潜ったことがある子はいるかな?あれは疫病避けの儀式だよね。

2016-02-04 00:49:00
縁側の刀 @NA_honmaru

茅の輪は、藁ではないけれど、あれも一種の縄のようなものでつくるよね。あの輪じたいが一種の境界線の区切りとしてそこにあって、あれをくぐるときは正式には、出す足から決まっていて、ぐるぐると輪を描いてなんどもくぐるように……まるでなにか追いかけてくるものを巻こうとするみたいに……やる

2016-02-04 00:51:43
縁側の刀 @NA_honmaru

そのとき、ある歌を歌う。その歌が疱瘡囃子とか疱瘡勧進とかって呼ばれていて、この祭りをしている間は肉や魚など、疱瘡神が嫌っている食べ物を食べない、そういうことになっているんだ。

2016-02-04 00:55:40
縁側の刀 @NA_honmaru

さて、やっと魚の話になったよね。

2016-02-04 00:55:55
縁側の刀 @NA_honmaru

疱瘡神ってさ、天然痘の神様のことだと言われているんだけれど、この地方って昔から、水周りに関係する厄介な風土病があるんだよ。片山病、ってきいたことあるかな。あれは広島のほうだけれど、須佐能袁能神社がある福岡もこの病気がものすごく蔓延していた地域なんだ。

2016-02-04 00:58:24
縁側の刀 @NA_honmaru

つまり、日本住血吸虫症さ。これは寄生虫による病気なのだけれど、田んぼなんかの水まわり、淡水の貝類や魚から感染してね。ああ、僕のところも丸亀に移ってからは何度か大発生してひどいことになった時もあった。感染初期は、皮膚病みたいにみえるんだ。

2016-02-04 00:59:44
縁側の刀 @NA_honmaru

疱瘡、っていうのはにきびとかおでき、って意味だよね。これができる病気を起こす神様を、祀っていい気分にしておいて、祟らないでいただく。でも、肉や魚(=この病気を媒介するもの)は、口にすると神様が怒って祟る(病気になる)から、食べない

2016-02-04 01:01:59
縁側の刀 @NA_honmaru

お祀りはするけれども、家のなかには入らないように縄を張らせていただく、そもそも近寄りもしたくないように、柊の葉であたりを払って、嫌いな魚の匂いを充満させる(いぶす)ことで、縄の内側にも祟神が入ってこられない環境をつくる。

2016-02-04 01:04:37