不知火に落ち度はない 44(浜風)
はじめに
※ この話は艦これ二次創作的な何かのネタ帳じみたものです。
独自設定がちらほら混じってるので、適当にご笑覧ください。
寒かったので今回は浜風回。なんとなく食べたいものをチョイスしての話です。よければお楽しみ下さい。
感想はハッシュタグ #落ちぬい か コメントまでいただけますと喜びます。
本編
夜。今日の仕事を終えた俺は寝床に戻っているところだ。 今年は冷えが厳しいらしく、海辺のここでも雪がちらついていた。 「道理で冷えるわけだよ」 寒気団の到来は艦娘の出撃にも影響を及ぼす。 スウェット装備させても、海風と海水は確実に冷えをもたらすからな。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:35:18一応皆にヒーターは持たせてるが、不知火なんかはベンジン使うカイロとか仕込んでるぐらいだ。 寒冷地用装備を参考に開発した、艦娘向け暖房ももうちょっとアップグレードさせる必要があるかもしれん。 おやっさん寝床にまだいるといいんだけどな。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:38:35そんなことを考えながら雪降る中を歩いてると──ふと見えた。 雪のような銀髪と、けばけばしいまっピンクのスキーウェア。 昨年に続いて、今年もあのウェアの出番がきたらしい。 「おーい、浜風」 軽く手を振ると、浜風は振り返ってこっちに小走りで近づいてくる。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:42:16「まだ戻ってなかったんですね、提督」 「仕事、山ほど詰んでてな」 白い息を吐く浜風にそう答えると──何故かにっこりと笑顔。 「じゃあ、都合良かったですね」 「都合?」 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:44:01「おでん、作ったんですけどいかがです?」 お。よく見たら結構大きめの鍋。 雪の中でもうんまそうな香りがしてきている。 俺は両手を合わせて、いただきますの返事を返すのであった。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:46:14■
「まあ、適当に座っててくれ」 「適当にって……ここ、ガスコンロもないんですね」 「ねえんだな、これが」 ここにあるのはストーブに電気の給湯ポットとゴミ箱。 後は灰皿と日焼けした畳と、ちょいカビた布団である。 あとはお外に水道の蛇口。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:50:34はあ、と困ったように眉根を寄せて、浜風がちゃぶ台につく。 受け取ったおでんの鍋は、ストーブの上に乗っけて温め直してるトコだ。 「あの……」 「くつろいでてくれ。紙皿まだあったよな」 なんだろな。 浜風がさっきからちょっと困った顔してる気がする。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:55:05「あのぉ……兵頭さん?」 「おう。なんすか浜風」 提督呼び崩れてっぞ。 「ここ、お風呂とかついてるんです?」 「ないっス。風呂は共用のを使うか、司令室のシャワー使うから」 「え、あそこシャワーあるんです!?」 「あるんですよ実は」 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:56:54驚きだろ? そりゃ、あんまり教えてないんだけどあるんだよ。 着替え置いてねえからあんま使わないけど。 どうしても外に出られない時とか、作戦時に司令室で寝泊まりする時に使うんだよ。 眠気覚ましのスペック回復には、あっちーお湯が一番ですゆえ。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 09:58:23「それにしたって、司令官のお部屋じゃない気がしますけど……」 「まあ、ここぐらいしか空きねえしな」 男子用の寮はありますよ、もちろん。 でもその寮の前で俺の人形が焼き討ちされてるシーンがあったから、当然いけません。 形見狭いな俺。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:00:21「だが、住めば都。布団はあるしな」 「……これ、かびてませんか?」 うん。ちょびっとかびてる。 「それに食い物もある」 「カップ麺ばかりじゃないですか?」 うん。ここ冷蔵庫ないから。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:04:24「あとはビールが好きな時に飲める」 「すぐ近くにありましたもんね……ビールの自販機」 あれは昔おやっさんが絶対いるつって、入れた奴だもんな。 工廠課の特権みたいなもんだ。この基地内唯一のビール自販機は。 「兵頭さん。一言良いですか」 「おう」 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:06:54「このお部屋。すっごいダメですっ!」 「えっ」 マジで。意外と住めば都なんすけどここ。 特にビールかっくらって、煙草も吸えて。 浜風には内緒だけど、ここ麻雀牌も置いてるんだよ。 すると夜勤連中と休憩時間に一局できるんだ。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:10:05あと、おやっさんと内緒話もできるから、工廠課とのつなぎもできるし。 ぶっちゃけ自分の部屋が返ってきても、ここに住み着きたいんですけど。 「洗濯物とかどうしてるんですか、ここ」 「テキトーに時間ある時洗ってる」 ランドリーもあるし、うちの基地。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:16:08「……あの……。もしかしてあそこが?」 「見なかったことにしてくれると助かる」 部屋の隅っこwith俺の脱いだ服置き場をみっけてしまったらしい。 ちょこっとはみ出すパンツがややセクシー。 「ああもう──ちょっといいですか!?」 おや、お怒りなさった? #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:24:15「掃除機と雑巾借りますけど、いいですか!?」 「あっ。はい」 そう言い放ちながら、浜風が頭にスカーフ巻いて立ち上がった。 あ、主婦モードだ。 「あと、しばらくかかりますので外に出てて下さい」 「あ。いや。別にそこまで──」 「出てて下さい」 はい。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:28:50そんなわけで俺は住処をしばらく追い出されるのだった。 灰皿を持ち出していたのが幸いだったと言えよう。 おやっさんも途中来たが、清掃中の看板を立てといたので理解して下さったようである。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:30:31■
そうして1時間ほどして、浜風のOKが出て俺は部屋に戻ると。 なんと言うことでしょうか。 「わーお」 「どうですか?」 匠の技すげーな、というのを思いっきり教えてくれる結果であった。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:35:15まずちゃぶ台。一応掃除はしてたが、しっかりと表面が拭かれてつやが出てる。 置いてあった灰皿はしっかり洗って新品状態になってるのがすげえ。 次にちょっと黴びた布団は、シーツが新品のものに交換され今日は寝心地よさそうだ。 #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:56:11脱ぎ散らかすしか無かった服は、カップ麺のダンボールを用いて、下着と服とにしっかり分けられている。 ゴミ用のビニールをかぶせてんのは、簡単に持って行けるようにしたんだろな。 なかなかの工夫が見て取れる。 あと、他メンツが持ち込んだ雑誌類だが── #不知火に落ち度はない
2016-02-06 10:58:40