戯言屋さんの突発抽象小説「穴だ穴だ」

まとめてみました 穴へようこそ
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戯言屋 @zaregotoya

芝村裕吏 無名世界観 作品や出来事の現実世界年表 zaregotobeya.onmitsu.jp/sss_n.html 大雑把な最近の作品紹介、大雑把に完成! これで最近の芝村作品を買いたい時に参考になるな!(ステマ)

2016-02-10 01:06:17
戯言屋 @zaregotoya

突発抽象小説「穴だ穴だ」 ……沼、という表現がある。一般的な用語の意味ではなく、なんというか、オタク用語というやつで、抜け出せないほどにハマってしまうジャンルのことを言う。ちょっと試しに浸かろうと思ったら底なし沼みたいな、そういう入れ込みようを例えたのだろう。 01

2016-02-10 01:39:10
戯言屋 @zaregotoya

そういう沼にハマってしまった人は、周囲の人間も沼に引きずり込むという。具体的には、そのジャンルの良さを周囲に伝えることで、他の人間もハマらせるというわけだ。「ここが沼だったら、そういうことも出来たのかな……」 薄暗い穴の中で、私、ナナコは呟いた。見上げれば、丸い青空。 02

2016-02-10 01:44:02
戯言屋 @zaregotoya

ここは無名世界観沼。とはいえ……ここは沼というか、穴だった。落とし穴と言うかも知れないが、底が見えない落とし穴というのは、何か違うのではないだろうか。そんなことを常々思っている。だから私は、穴とだけ呼んでいる。私は穴の、浅くも深くもない側面の、小さな足場に立っている。 03

2016-02-10 01:49:35
戯言屋 @zaregotoya

「また新刊が出たぞー!」 穴の底で声が聞こえた。どうも芝村さんがまた新刊を出したらしい。月刊芝村というのは嘘でも何でもなく、最近芝村さんは小説を書きまくっている。が、あまり話題にはなっていない。スゴイとは思うのだが、外から見れば、穴がさらに深くなっただけなのかも知れない。 04

2016-02-10 01:53:33
戯言屋 @zaregotoya

新刊は何だろう。私は気になったので、絢爛舞踏祭地層から、少し下へ降りることにした。<無名世界観で分からないところは、そんなに気にしなくて良い> ある星見司の聖言が刻まれたロープをしっかりと結びつけて固定し、恐る恐る穴を下降する。これがなければ、まあ、残念なことになるだろう。 05

2016-02-10 01:56:16
戯言屋 @zaregotoya

式神の城地層に、ガンオケ地層と、ゆっくりと下降していく。このあたりは少し複雑で、複数の横穴に通じているが、やはり人はまばらだ。もっと上のガンパレ地層だとたくさんの横穴があって、なかなか色々な人が通って楽しいのだが。さらに下降。良く分からない迷路のようなネットゲームの地層へ。 06

2016-02-10 01:59:50
戯言屋 @zaregotoya

世間的にはガンオケ地層から下は存在しないと思われているほどの、謎の地層である。この良く分からないネットゲームの地層になると、もう薄暗いを通り越して空も見えない。下手すると迷子になる。せっかく穴に落ちた人がここに直撃してしまい地上にレスキューされるということも、稀にはあった。 07

2016-02-10 02:03:51
戯言屋 @zaregotoya

私は、<ネット版の無名世界観とそれ以外は、とりあえず切り離して考えると良い>と聖言が書かれたランプを点ける。明るい…… こうなれば楽なものだった。「謎萌えwiki」と書かれた地図を見ながら、私はネットゲーム地層を無事に通過する。ここからは、かなり分かり易い。 08

2016-02-10 02:06:21
戯言屋 @zaregotoya

よく分からないネットゲーム地層を越えると、マージナル・オペレーション地層と、公僕の警部地層がある。ここが発見されて以降、穴はさらに拡大を続けている。このあたりが最近の無名世界観沼というか穴の、底のほうだった。ほとんど小説や漫画という形で流通しているので把握しやすいのである。 09

2016-02-10 02:10:49
戯言屋 @zaregotoya

スイスイ穴を降りると、側面の壁に張り付くようにしてナナタがいた。じっと底を見ている。「何があったの?」「ナナコか。今度ウェブ小説が出るらしい。新東名高速道路をテーマに、2月13日から始まるとか何とか」 ステマである。「ふぅん」 よく分からない。が、いつものことだった。 10

2016-02-10 02:14:05
戯言屋 @zaregotoya

穴のあちこちから、少しずつ僅かながらの人が集まってくる。無名世界観の穴の住人である。もちろん3000人もいない。みんなどこか、恐る恐る、という感じの表情。最近は新しい地層が発見されると住人の名前が地層に刻まれていたりするので、あまり他人事ではないらしい。 11

2016-02-10 02:18:25
戯言屋 @zaregotoya

「ファンタジーものかな」「高速道路が舞台じゃないん?」「火車が」「おいやめろ」 集まった人達で地層の解析が始まるが、なんだまだ発表されてないのかと思い、私は上に戻ることにした。絢爛舞踏祭地層が、私の地層である。PS3だか4だかの大絢爛舞踏祭の地層を、私は探していた。 12

2016-02-10 02:21:33
戯言屋 @zaregotoya

絢爛地層まで戻ると、不意に、賑やかそうな声が頭上から降って来た。穴を見上げる。沼が見えた。……正確には、穴を越えた外のさらに向こう、青空に浮かぶ浮遊大陸が見えた。その地形のほとんどが沼で出来ているという噂の、刀剣乱舞沼である。多くの人々が、あの天空島の沼に落ちているらしい。 13

2016-02-10 02:24:52
戯言屋 @zaregotoya

「あっちは賑やかそうだなあ……」 呟く私。あそこは一応、無名世界観沼ではないらしい。住人の規模では、まさに天と地の差だろう。よく想像の翼を生やした穴の住人が、主命がどうとか言いながら空に昇っていく姿を見かけたりもする。とても人気なのだった。その賑やかさが、やはり羨ましい。 14

2016-02-10 02:29:15
戯言屋 @zaregotoya

「あっ」 天空の島から、人が落ちたのが見えた。大変だ。落ち方が綺麗にこの穴を目指している。私は急いで穴を登る。落下した人は、悲鳴をあげながら穴に突入。大抵の人が刀剣乱舞との繋がりを探りに飛び込んでは、道に迷って大変なことになるのだった。ここには、穴しかないというのに。 15

2016-02-10 02:33:34
戯言屋 @zaregotoya

私は<瞳ルールはガンパレ世界のみで、他の式神の城とかの作品では適用されてないから、とりあえず深くは気にしなくてもいいと思うよ>と聖言が書かれたネットを急ぎ開いた。うまく引っかかる。やはりこのあたりか。「そ、そうなんだ……」「うん。でもあれこれ想像する分には問題ないと思うよ」 16

2016-02-10 02:36:19
戯言屋 @zaregotoya

随分と昔の設定すぎて思わず遠い目になるレベルなのだが、不思議と瞳ルール説はその分かり易さからか人気なのであった。私もああいうのは嫌いではない。「『刀剣乱舞と無名世界観は、とりあえず繋がっていない』」 癒しの聖言を唱えて、落ちてきた人の想像の翼を癒した。これで戻れるだろう。 17

2016-02-10 02:39:24
戯言屋 @zaregotoya

「でも芝村原作の作品って、大体が無名世界観と繋がってるんじゃ……」 なかなか痛いところ突かれる。「エヴァ2とかEOGとか、そういうお仕事の場合もあるから」 とりあえずそう言うと、相手は納得したようだった。私も詳しくは知らないのである。きっと大人のあれこれがあるのだろう。 18

2016-02-10 02:42:39
戯言屋 @zaregotoya

「ありがとう。じゃあこれで」「気を付けてね。もうここに来ちゃダメだよ」 想像の翼を広げ、刀剣乱舞沼に戻る落ちてきた人を、私は見送った。……あっちは色々賑やかなんだろうな。そんなことを考える。「どうにかして、他の人を沼に引きずり込めないかなあ」 いや、沼ではない。穴だ、穴だ。 19

2016-02-10 02:46:26
戯言屋 @zaregotoya

終わり。……とりあえず適当に即興で書いたが、しまったアイドレスクラスタはみんな寝ていた罠(白目)

2016-02-10 02:47:16