焔が映ろう水面【焔が見せし夢】エアRP
- ogi_MIYAKO
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レイドイベント焔ノ傀儡へのエアRPします。クロエちゃんとアジアンの小話的な物。 タグは 焔が映ろう水面 です
2016-02-15 22:09:31@ogi_MIYAKO また、この話は時系列的に【燻ぶる炎は少女を抱く】の前になります
2016-02-15 22:11:00大きな禍を過ごした村は、一週間ほど前に辞した。女将さんは最後までよくしてくれたし、アジアンが滞在していたという家からは干し肉などをいただいた。青い空はずっと澄み渡っていて、気分がいい。 #焔が映ろう水面
2016-02-15 22:13:56このままずっと歩いて行けれそうな気がする。教会からの任務がなければ東西南北関係なしに歩き回って、気に入った町に少しだけ滞在して。賭場でちょっとだけ稼がせてもらってまた次の目的地へ。 場所が違えば空気も違う。もちろん混沌の発生状況だって変わる。
2016-02-15 22:16:44大戦が終わったからと言って、混沌がおさまるなんてことはない。まだまだ、私の求めるところは果てがない。未知の恐怖が心地いい。 今は教会の任務待ち。ぽっかりと空いたこういう時期には、それこそ研究するのにぴったりなんだけど。
2016-02-15 22:20:04隣を歩く男がどうにも気になってしまう。ひょんなことから私の君主になった人。領地も領民も持たない君主。旗も見たことがないし、聖印を掲げている姿も見たことない。村のうわさでうっかり「流れ者のメイジ」と信じてしまったくらい、君主のにおいがしない。
2016-02-15 22:23:31今だって火鼠くんに話しかけて「君のご主人はとても優秀だね」だなんて言ってる。彼はいつだってご機嫌だった。でも、私に話しかけてくることはほとんどない。会話だって、おはようの挨拶だとか、目的地を決めるだとか、ごはんを食べるとか、最低限の会話をする。
2016-02-15 22:26:09ただ、道中には拍子抜けするくらい触れてくるどころか話しかけもしてこない。だからこそ、こうして一人旅のように気楽で、女の身一つの旅よりもずっと安全でいられる。本当に何がしたいのか分からない人。
2016-02-15 22:28:13なにかあれば。変化があったら、彼の態度も変わってくるのだろうか。私だって今まで君主をもたなかったとはいえ、メイジの端くれだ。多少なりとも君主と良好な関係を気づきたいし、助力は惜しまない。 青い空に紅い影が揺らめいた。
2016-02-15 22:30:10火の鳥だ。火の粉をきらめかせながら、ゆれる影は飛び去って行く。ああいった手合いはよく目にする。たとえば仲間内の連絡手段でもそうだし、戦闘にだって使える。ぼんやりとそれのまわりの混沌濃度が揺れて、また普通に戻っていく。
2016-02-15 22:33:37幸いなことにアジアンは比較的条約の地に理があるみたいで、どこそこの特産物はあれそれだみたいなことを教えてくれる。もっとも、街道をちょっと外れたような場所、つまり表立って歩けないような人が行く場所の、という前書きがつくけど。 #焔が映ろう水面
2016-02-15 22:42:20それでもある程度確立されているようなルートを通っているから、一応の安全は保障されているし、酒場も賭場も宿も一通りはある。ただ、町と町、村と村の距離が変に長かったりするから用意は慎重に、といったところだ。
2016-02-15 22:44:10「クロエちゃん、ちょっと妙な話を聞いたんだ」 昨夜は一人で酒場に行っていたアジアンが、そう切り出した。目の前に地図を広げて、次の目的地はどこにするかと話すところで、だ。いい話ではないような気がする。 「新しい魔境ができたらしい」 「この先に?」 「ああ。比較的近いところだ」
2016-02-15 22:46:49ここらへん、とアジアンは指先で地図を叩く。確かに、現在地から歩いて早くて1日、ゆっくり歩いても3日程度のところだ。ちょうど条約と連合のはざまらへん。こういった領地の境は領主の覇権争いが激しい。混沌濃度が高くてもおかしくない。 「いいや、ここのあたりはしばらく戦争もなかったはずだ」
2016-02-15 22:49:38「冷戦状態、といっても言い。比較的農耕技術も高いし、土地も恵まれている。交通の便はちょっと悪いけど、それなりに栄えている場所だ。あえて戦争なんてして荒らしたくない場所というわけだから、こんなところに魔境ができるなんてちょっとおかしいとおもわないかい?」
2016-02-15 22:51:51キチキチっと、火鼠君が鳴く。 「ねー、君もそう思うだろう?」 アジアンの爪が、鉄檻をカンカンとはじく。それに抗議するかのように、小さな火炎が昇る。 「あんまりいじめないでよね」 「いじめてないよ。種を越えた交流ってやつさ」
2016-02-15 22:53:55それで、と言葉を続けた。 「ここから一番近い町はそのあたりにあるし、ほかの町ってなると連合に入ってからだいぶん歩くことになる」 二人で持てる荷物や疲労を考えると、魔境近くの町に寄る方が賢明だろう。 「いつこの魔境が消滅するかもわからないから、この町で対策をまつ余裕もない」
2016-02-15 22:57:59「私達が到着するよりも早く、誰かが討伐してくれればいいのだけど」 「被害がでないかぎりは望めないよ」 そして被害が出ていて教会に話がいっているなら、その町に近い私たちが討伐任務を依頼されるかもしれない。大禍災が終わった直後だから、それはちょっとだけ大変。
2016-02-15 23:01:24とにかく魔境にうっかり足を踏み入れないように気をつけながらその町に向かわないといけないわけだ。 「明日の朝、ここを発とう」 そうと決まれば今日は私が酒場に行って、ほどよく酔っ払ったおじちゃんたちにポーカーでも仕掛けよう。ああいう人たちって女子供を見くびるから、しっかり頂かないと。
2016-02-15 23:04:59視線のさまよいが多くなったし、カードを持っていない左手が落ち着きなくなってきた。これはあんまり良い札ひけなかったみたいね。ここはスペードの4を切って……。 #焔が映ろう水面
2016-02-15 23:09:51「嬢ちゃん、イカサマしてないだろうな」 すわった目が三対ほど向けられる。いや、後ろにも一人いるから四対か。 「不正はしてないわ。後ろの人が監視してたでしょう?」 「チッ……」 乱暴にチップが机に叩き付けられる。札が5枚、コインが何枚か。
2016-02-15 23:12:36「安心して。不正はしてないし、それにもう私たちは明日ここを出るわ」 だからもうカモにしたりはしない、という言葉を飲み込む。沈黙は金なり。 「クロエちゃん、迎えにきたよ」 はかったようなタイミングでアジアンが入ってきた。机をちょっとみて、苦笑い。
2016-02-15 23:14:42「もういい時間だから、帰ろう」 「ええ。それではごきげんよう」 ギイッと酒場の戸が鳴る。 「あまりやりすぎちゃいけないよ」 「なんのことかしら」
2016-02-15 23:16:26人の視線、呼吸、体温、その他もろもろを観察して分析して、過去の経験からはんだんするのって賭け事の基本じゃないかしら? 「それでも、だよ」 アジアンの言わんとすることも分かるけど、稼げるときに稼いでおかなきゃね。こういう小さな町が一番稼ぎやすいんだから。
2016-02-15 23:18:24音が聞こえるらしい。それも笛の音だ。魔境ができたと言われる一帯に近づくにつれて、優しく鮮やかな音色が聞こえてくるという噂がちらほらとある。 いかんせんまだ距離があるのと、音が聞こえる人と聞こえない人がいるらしく、信憑性が低い。酒の肴程度に話されていることだ。 #焔が映ろう水面
2016-02-17 20:41:15