「おーい、ねこ〜」薄暗い部屋に少女の声が響く。「起きてるか〜、朝だぞ〜」彼女は二、三度呼び掛けたのち、フートンにダイブした。「ぐえっ!?」「ぐえっじゃねぇよ!朝だぞ起きろバカヤロー!」 1 #nltkst
2016-02-28 00:00:03彼女の名はルナ。とある事情により、ここミヤコ幼稚園に身を置いている。「ねむみを感じる……」フートンがもぞもぞと動く。「またなごっちに怒られるぞ〜」ルナが乱暴にフートンを剥ごうとする。 2 #nltkst
2016-02-28 00:03:47「うぇー、それは勘弁…」渋々といった様子でフートンから這い出る少女の容姿は、ルナと瓜二つだ。彼女の名はねこむら。ルナの片割れであり、ミヤコ幼稚園の園児である。「オハヨ!」「あい、オハヨー」 3 #nltkst
2016-02-28 00:06:20「はやく着替えなよ!」「…うるさい、ちょっとだまってろ」彼女達はじゃれ合いながら寝室を出る。ここは園立ねこむら光学研究所。ミヤコ幼稚園の庭内にひっそりと佇む小屋。その地下に隠された秘密機関だ。 4 #nltkst
2016-02-28 00:09:57ミヤコ幼稚園の園児達は、それぞれ思い思いの場所で暮らしている。用意された個室を使うほか、自らで家を建てたり、なかには湖で暮らす者もいるとか。ねこむらもそういった者達の1人だ。 5 #nltkst
2016-02-28 00:13:21この施設は、何も彼女1人の力で作られたものではない。様々な『捗り』の力によって創られたのだ。この世界では、それぞれの『捗り』がそれぞれの世界を形作る。これは、そんな無数の世界の中の、一つの物語。 6 #nltkst
2016-02-28 00:15:44様々な捗りがそれぞれの世界をかたちづくる…たろりんさんが言っていたシェアワールド構造ですね…多様性… #5から7 #nltkst
2016-03-23 22:45:05着替え終わったねこむらは、本棚に隠された秘密スイッチを探る。本の背表紙に巧みに偽造されたそれを指で撫でながら、ねこむらは口を開いた。「ふふん、中々にいい出来だよね、この施設」彼女がスイッチを軽く押すと、重々しい音と共に扉が開いた。 8 #nltkst
2016-02-28 00:18:46「まぁ、なんというか、ロマンを感じる」ねこむらの目線の先には、人をダメにする感じのソファに寄りかかるルナ。「わかる、このソファなんて最高だぜ」ルナは寝転がりながら、UNIXの電源ボタンを押した。 9 #nltkst
2016-02-28 00:21:53「じゃあ行ってくるね、留守番よろしく」ねこむらが軽く手を振り、部屋から出る。「あいよー」ルナが返事をすると、扉がひとりでに閉まった。それはもはや他の壁と見分けがつかない。高度な技術だ。 10 #nltkst
2016-02-28 00:23:51「もうこんな時間、急がなきゃ」ねこむらは階段を駆け上がる。昇降口の扉を押し上げ、物置小屋めいた狭い部屋に出る。扉を開けると、そこは緑溢れる森だ。眩しい朝日の木漏れ日に照らされながら、彼女は駆ける。ミヤコ幼稚園へと。 11 #nltkst
2016-02-28 00:27:36